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これだけは知っておきたい 最新テクノロジーキーワード 第6回

「マグネシウム・リチウム合金」軽量LaVie Zを実現した新素材

2012年05月16日 12時00分更新

文● 小林哲雄

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複数の会社が素材を提供
加工技術はこれから?

三徳のウェブサイトにあるマグネシウム・リチウム合金の情報と写真。プラスチックに迫る軽さをうたっている

 マグネシウム・リチウム合金は、神戸にある(株)三徳が「サンマリア」という商品名で取り扱っている。同社の資料によれば、一般的なマグネシウム合金(AZ31)と比べて22%軽量となっている。さらに冷間プレス成型が可能だ。また、今までのマグネシウム・リチウム合金は耐食性に難点があったが、サンマリアでは従来のAZ31を超える耐食性を実現しているという。

三徳のマグネシウム・リチウム合金「サンマリア」は比重量1.36と、CFRPの1.60、従来のマグネシウム合金「AZ31」の1.78よりも軽量な素材で、プラスチックに迫るほど軽い

 三徳以外に第一金属(株)も、「LZ91」というマグネシウム・リチウム合金を取り扱っている。こちらはAZ31Bより20%軽量としている。

 LaVie Zの「マグネシウム合金の約75%の重量」という表記は、両社の製品とは異なるうえ、LaVie Z専用に開発と言っているのでカスタム合金だと思われる。だが、すでにマグネシウム・リチウム合金の提供は始まっており、本格的な利用はこれからだろう。

 加工技術に関しては、兵庫県立大学大学院の原田泰典准教授が「超軽量マグネシウム合金の冷間多段深絞り加工技術」という研究結果を発表している。研究の背景として「兵庫県内の企業において、高品位のマグネシウム合金の製法が確立された」と書かれているため、三徳のサンマリアのことを指しているようだ。

マグネシウム・リチウム合金は、ノートパソコンのボディー素材として不可欠な角型のプレス加工条件を見つけるのが今後の検討課題という

パソコン・家電メーカーも、
新素材と無縁ではない

 この手の新素材は一見、パソコンや家電メーカーとは無縁と思われがちだが、パソコンや携帯電話などの軽量化や、プラスチックでは苦手な放熱性と電磁シールド能力を得るために、新素材にも研究されている。

 例えば、2004年に出された工業所有権総合情報館のマグネシウム合金に関する資料(PDF)を見ると、1991年から2003年7月までに、松下電器産業(現パナソニック)がこの分野で出願した特許・実用新案の数は93件で、日本企業の中では金属会社や自動車会社よりも多い。

 また、とあるパソコンメーカーの工場では、「即戦力としてエンプラ(エンジニアリングプラスチック)に詳しい学生が欲しい」と聞いたことがある。軽く・強く(できれば安く)を求められるのはパソコンや家電も同じで、電機メーカーだからエレクトロニクス専攻の学生しか活躍できないわけではない。

 マグネシウム合金は資源が豊富でリサイクル性も高く、軽量かつ強靭というメリットがある。その一方で加工性の悪さから広く利用されていなかった。しかし、素材にリチウムを加えることでさらに軽量になるだけでなく、加工性も高くなる。加工技術の発達とより進化した合金組成、そして後処理によって、マグネシウム・リチウム合金は丈夫で薄型軽量なノートパソコンの実現に寄与するだろう。

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