共有相手の追加はメールアドレス以外に
連絡先を登録している相手なら名前やグループでも検索できる
「Googleドライブ」フォルダーを開けば同期したファイルにアクセスできるが、ほかのユーザーとファイルを共有する機能などを使うには「Googleドライブ」のウェブサイトにアクセスして操作する必要がある。「Dropbox」や「SugarSync」はフォルダー内にあるファイルの右クリックメニューから共有操作ができるので、この点もアップデートを待たれるところだ。
まずはファイルを共有してみる。クラウドサービスのメリットとして、ファイルを友人や取引先と共有する際、ファイル本体を送らずに済む点がある。保存されているファイルやフォルダーのURLを送るだけで済むので、メールのサイズを気にしなくていい。URLを送信した後に、ファイルを修正することも可能。間違ったファイルのURLを送ったことに気がついたなら、共有を解除してアクセスできなくすることもできる。メールに添付して送る場合は、それまでだ。
ウェブ版の「Googleドライブ」にアクセスし、共有したいファイルにチェックを入れる。複数ファイルやフォルダーも共有できる。チェックしたら、左上の「共有」アイコンをクリック。「ユーザーを追加」で共有相手を追加すればいい。メールアドレスのほか、連絡先に登録している相手なら名前やグループでも検索できる。この点は、Googleのサービスであるメリットだ。メールを受け取った人はリンクをクリックすると、ブラウザーでファイルにアクセスできる。
ファイルをクリックするとプレビュー画面が開く。画像だけでなく、動画も再生できるがインターフェースはいまいち。例えば、画像を次々と表示することはできず、写真のビューワーとしては使いにくい。ちなみに、「Dropbox」ならスライドショーのように鑑賞できる。
「Googleドキュメント」と連動しているのは大きなポイント。オフィス文書をクリックすると、「Googleドキュメント」で表示され、閲覧だけでなく編集も行なえる。外出先でオフィス文書の修正を行なうことがあるなら、手放せない機能だ。
ファイル名以外にオフィス文書やPDFファイルの中身まで検索可能
多数のファイルをアップロードしている場合、検索機能が活躍する。「Googleドライブ」では、ファイル名だけでなくテキストファイルやオフィス文書、PDFファイルの中身まで検索し、キーワードを含むファイルを抽出してくれる。入力ミスをした場合でも、「もしかして:~」とGoogle検索のように候補を挙げてくれるのが便利。さらに、「Evernote」のようにアップロードした画像をOCR処理し、写真に含まれている文字列も検索できるようになっている。現状は英語のみのようだが、いち早く日本語も検索できるようになって欲しいところだ。
さらに、ヘルプによると、Googleゴーグル機能により「エベレスト山」と入力するとエベレストの写真を検索できるという。いくつかの写真で試してみたが、ヒットできなかった。まだ、対象項目が少ないのかもしれない。
Google Chromeをメインのブラウザーとして使っているなら、Googleドライブに対応した拡張機能を利用できる。例えば、Gmailの添付ファイルを「Googleドライブ」にアップロードするなら「Gmail Attachments To Drive」が便利だ。この拡張機能をインストールすると、Gmailの添付ファイルの隣に、「Save To Drive」というリンクが現れ、ワンクリックで「Googleドライブ」に保存できるようになるのだ。
そのほか、「Googleドライブ」内の写真をレタッチできる「Aviary for Google Drive」や動画編集が可能な「WeVideo for Google Drive」といった拡張機能も公開されている。
現在はAndroidアプリのみ。iOS版も登場予定
Androidスマートフォン向けのアプリが公開されている。各種ファイルのプレビューのほか、オフィス文書をGoogleドキュメントで編集することもできる。PCと比べてストレージの容量が少ないので、自動同期こそしないが、「オフライン」機能を使うことでファイルをSDメモリーカードに保存できる。もちろん、ほかのユーザーとファイルやフォルダーを共有することも可能だ。
まだ公開されていないものの、ヘルプにはiOS 3.0以降にも対応すると記載されている。近いうちに登場することだろう。
こんなユーザーは「Googleドライブ」を使ってみよう
長年ブラッシュアップを続けてきた「Dropbox」と比べると、細かいところで「Googleドライブ」が劣っている。「Dropbox」の無料プランで十分! というユーザーには乗り換えるメリットはあまりないかもしれない。
しかし、容量が足りずに有料プランを契約している、もしくは契約しようとしているユーザーなら「Googleドライブ」のコストパフォーマンスは見逃せないところ。個人ユースで必要になるかどうかはわからないが、TBクラスのストレージプランも用意されているのも頼もしい。筆者は「Dropbox」を愛用しているのだが、有料プランを解除しようと思っている。幸いなことに、旧プランで容量をアップグレードしていたので、格安で25GBの容量を利用できるのも理由のひとつ。一方、「Dropbox」は友人を誘うなどの方法で、最大18GBの容量を無料で利用できる。iOSで利用するファイルや各種アプリと連携するデータ、写真などは「Dropbox」に残し、アーカイブしておきたい資料などは「Googleドライブ」に保存しようと思案中だ。
名刺管理のために「Evernote」を利用している人も要チェック。日本語のOCRが機能するようになったら、「Googleドライブ」の方が安い。プレミアム会員の月額450円あれば、100GBもの容量を利用できる。もちろん、「Evernote」にある1GBのアップロード制限などはない。
今のところ、機能が洗練されているとは言えない「Googleドライブ」だが、手軽に大容量ストレージを利用できるのは快適。まずは、無料プランを試して、使い勝手をチェックしてみよう。ニーズに合うようなら、運用コストを削減するチャンスだ。
筆者紹介─柳谷智宣
1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII LTE 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。
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