このページの本文へ

“稼げる”キーワードで前年比132%、近江牛.com (4/4)

2012年05月28日 11時00分更新

文●三浦たまみ

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

供給過剰な今こそ、新たな市場を開拓

ob02_09-2.jpg

「ECサイトは1回あたりの購入金額が低くなっているのに、売り上げは横ばい。つまり出荷数が増えて忙しくなっているということなんです」と語る権さん

 2010年末現在、日本国内におけるインターネット利用率は約80%と、高齢者と小さな子ども以外、ほぼすべての人がネットを使っている。現在、国内では、これ以上飛躍的なインターネット利用率の増加は望めない。
※総務省「通信利用動向調査」より

 しかし、ECサイトの出店数そのものは、年々増加傾向にある。ネットの利用者は増えないのに、競合店はどんどん増えているのが現状なのだ。

「しかも、楽天市場では、1店舗あたりの売り上げは横ばいなのに、1回あたりの平均購入金額は2008年の7800円から、2011年の6900円と、11%も減少しているデータがあります。つまり、その分、出荷数が増え、忙しくなっているということです。この状況は、モールに限らず、独自ドメインのECサイトでも同様だと思います」(権さん)

 こんな供給過剰な時代に突入した今だからこそ、『近江牛.com』のリニューアルのように、今まで以上に、自社の強みを見極めたうえで、誰に、何を売っていくのか明確にして新しい市場を開拓していかなければならないのだ。

「右から左にモノを売る小売りは、ますます厳しくなっていくと思います。今後は、ECサイト=小売りという枠にとどまらず、ECサイトで見つけた新しいニーズを開拓したり、自分たちにしかできない新しい役割りを見い出すことが求められます。いうなれば、Web2.0ならぬECサイト2.0という段階にきていると思います」

※ ※ ※

 プロの視点を取り入れてネットショップを分析すると、店主も気づかなかった強みや弱みを改めて確認でき、今後、誰に、何を訴えていけば良いのか明確になる。中長期的な販売戦略を立てる意味でも、リニューアルなどのタイミングでプロの力を借りるのは、プラスに働く可能性が高いといえるだろう。(完)

ob02_10.png

「近江牛.com」からリンクが貼られている、牧場や生産者農家に関するあらゆる情報を掲載したWebサイト「牧場チャンネル(http://www.omigyu.com/)」。新保さんの「エシカル・ソーシング」の考え方を表したコンテンツひとつ。この他にも、新保さんは、牛糞を水田に還して飼料を作り、そこで実った牧草を牛が食べる自給飼料を推進し、「資源の循環」にも積極的に取り組んでいる。また、脂肪を注入するなどして意図的に作られた霜降り肉ではなく、赤身のお肉のおいしさを広める活動もしている。さらに、消費者の食に対する知識を向上させる方法も日々、思案している

前へ 1 2 3 4 次へ

この連載の記事

一覧へ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています