統合GPUだけで3Dゲームもプレイできそうな描画性能
Core i7-3770K搭載によるパフォーマンスは期待に違わぬ高さで、Windows エクスペリエンス インデックスやCINEBENCH R11.5のスコアを見ると軒並み高い値を示しており、歴代のCore i7と比較しても明らかな性能向上が見て取れる。
CINEBENCH R11.5のCPUスコア | |
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Core i7-3770K(MR4300E) | 7.48pts |
Core i7-2600(他社製ミドルタワー) | 6.77fps |
Core i7-870(他社製ミドルタワー) | 5.45fps |
もっとも、CPUの演算性能については、めざましい進化とまでは言いがたく、Sandy BridgeコアのCore i7-2600と比べても小幅なスペックアップにとどまる印象だ。発売前からいわれていたとおり、Ivy BridgeではCPUよりも統合GPUの強化に重きを置いており、集積度が上がった分の大半をGPUコアに割り振っている。実際、描画性能の向上は、本製品でも顕著に表れており、ディスクリートGPUなしでも3Dゲームをプレイできる水準に達している。統合GPUの描画性能が高いCPUとしてはAMDのAシリーズもあるが、バイオハザード5ベンチマークの結果で比較してみると、Core i7-3770Kを搭載した「Endeavor MR4300E」はそれをも上回っている。
バイオハザード5ベンチマーク(DX10版/テストA/1280×720ドット) | |
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Core i7-3770K(MR4300E) | 52.4fps(ランクB) |
A8-3850(自作ミニタワー) | 49.6fps(ランクB) |
CPU単価はA8-3850の方がはるかに安いので、コストパフォーマンスはそちらが上だが、A8-3850のTDPが100Wであるのに対して、Core i7-3770KのTDPは77Wと低く、ワットパフォーマンスの観点でいえば後者に軍配が上がる。それを搭載した本製品の消費電力をワットチェッカーで計測してみると、アイドル時にはわずか27Wを示しており、ベンチマークの実行などで意図的に高い負荷をかけた場合でも80W台半ばにとどまっていた。
また、Ivy Bridgeでは、Sandy Bridgeにも搭載されていた動画のハードウェアエンコード機能「Quick Sync Video」が2.0にグレードアップしているが、その変換速度も飛躍的に向上している。同機能に最適化済みの「CyberLink MediaEspresso 6.5」を使い、尺が5分のMPEG-2動画(1920×1080、30フレーム/秒)をMP4(1280×720、30フレーム/秒)に変換してみると、所要時間は実に24秒だった。以前、Core i7-2600で同じ動画変換を行った際には1分近くかかっている。ハードウェアを別途増設することなく、CPUひとつでこれほど高速な動画変換をできることにも魅力を覚える。
なお、試用機に搭載されていたCore i7-3770Kは倍率ロックフリー版だが、チップセットがH77の「Endeavor MR4300E」ではオーバークロック設定には非対応だ。通常版のCore i7-3770を選んでも性能はほとんど変わらないはずで(定格クロックは100MHz低いが、ターボ・ブースト時の最大クロックは同じ)、そちらを選択しても問題ない。