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なぜバイドゥはSimejiを買ったのか? 開発者から真実を聞く

2012年05月17日 12時00分更新

文● 美和 正臣、写真● 小林 伸

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初期Simejiのデザインを
公衆の面前で「キモイ」と評価

――ところで、どういう風に知りあわれたんです? おふたりとも日本Androidの会のメンバーのようですが。

足立:Androidの会でお会いする前に、怪しい集会があったんですよ。

矢野:私の知り合いのクリエイターの方と足立さんと、もうひとり木南さんというAndroidの初期のころから書籍をお書きになっている方がいて、4人で「Androidでこんなことができたらいいね」という妄想共有会みたいなことをしてたんですよ。木南さん側が連れてきたのが足立さんで「“adamrocker”って人がいるんだよ、キモイねー、なんでそんな名前にしたのー?」とか話していたんですよ(笑)。

足立:実は木南さんとその前日に会っていまして「明日さ、初めてデザイナーさんとかいう人と会うんだけど、怖いからついてきて」と言われまして(笑)。会ったら「金髪だー」と。私も木南さんも技術畑でみんな髪の毛は真っ黒が普通だったんですけど「き、金だ」とか言って(笑)。会う前は「大丈夫ですか? 僕が行っても」とかいいながら。デザイナーさんってどんな人かなと興味もあって(笑)。

矢野:もうなんの実にもならない話でペラペラしゃべっていて「将来AndroidはARみたいなこともできるようになってね」とか話してたんですよ。その会合のあとABC(Android Bazaar and Conference)に行ったら、ずっと床に座って、開発してる人がいるんですよ。見たら足立さんでした。とにかくそれがすごい印象的でしたね。なんかSimejiにランチャー機能をつけていました。

足立:ランチャー機能ってのがあって、それの調整をしてたんですね(笑)。いや、革命的だと思ったんですよ、あの機能。

矢野:なくなったけど(笑)。

足立:ちがうちがう、それはハード的な制約ができたから。ソフトウェアキーボードってずっと立ち上がってるものなので、なんとかかっこよくしたいと思っていたのですよ。パッと持ち上げたときには電話機能が立ち上がるとか、横に振った時には地図が、手前側に倒したらブラウザー、反対側にしたらメールが立ちあがるといったようにできればかっこいいなと。それができるポジションがIMEで、「これは革命的だ!」と思ったらセンサーを使いすぎて電池がなくなることが分かったんです(笑)。これではだめだ、と。そこで思い浮かんだんです。「トラックボールを押しながらやればいいじゃん!」と。そうしたらAndroid端末からトラックボールがなくなってしまって(笑)。

――仕様の変更というのには泣かされますよね。話を戻しますが、ABCのところで再会されて。

矢野:そうです。たまたまABCで講演する予定があったので、どんな話をしたらいいのかという相談を足立さんとはちょくちょくメールでしていたんです。講演ではアイコンの作り方とか、技術者が知りたいけどわからないようなことを取り上げてくださいという話でしたので。じゃあ、Simejiのアイコンは汚らしいので、ちょっときれいにしましょうという内容で話しました。

Simejiのアイコンの歴史。左のVer.1が矢野さんが参加する前のもの。だんだんと洗練されていっている。いかにデザイナーの力が重要かということがよくわかるだろう

足立:すごい失礼な話ですよね。僕はすごく気に入ってたのに、公衆の面前で「キモイ」って言われて。全然かわいくないと。

矢野:実写のキノコだったんですよ。日本語入力アプリなのかどうかも分からないじゃないですか。本物のキノコとかインストールしたらおかしくなりそうじゃないですか。

足立:実際、Androidマーケット(現Google Play)のコメントもセクシーなコメントがいっぱいだったんですよ(笑)。ほぼスパムなんですけど。キノコのアイコンっていうだけで「ホットなページはこちらだ」ってコメントが入っていて(笑)。

――そのあとデザインを相談されるようになって、一緒に組むようになったんですね。

足立:スキンギャラリーなどもWebページが絡んできますので、割ときちんとしたデザインを入れていったほうがいいだろうという判断もありました。あと、当時アプリに対してロゴを作ったりしてる人がいなかったんですよ。だけどユーザーがいるものなのでコミュニケーションデザインが多少あったほうがいいだろうという考えがあって、ロゴを作ってもっとユーザーさんにかわいがってもらおうとは考えていました。

――現在、ローカルギャラリーにあるスキンは矢野さんが作ったものなんですか?

矢野:私が作ったのもあります。このメタル模様とかですね。土下座のデザインとかもそうです。

――今スキンだけで何種類くらいあるんです?

足立:うーん、400くらい。

矢野:いっとき、みんなでチェックしたよね。ちょっとセクシーなのもありました。ポロリしてるような感じですね。こういうのは女性が使うからポロリがあるのはだめだと。たぶん水着でもだめですよね。

足立:簡単にチェックできるシステムを作って、矢野さんお願いしますという形にしました。

――ということは、すべて矢野さんがこれはOK、これはダメとか判断されているわけですか。

矢野:みんなで著作権キャラが入ってないかとかチェックして、選別して残ったのがこれですね。最初このスキン着せ替え機能のサービスを始めた時に、まったく何もないのではダメだろうと入れておいたものとか、私と一緒にデザインを担当してくれてる秋葉さんが作ってくれた男性向きのソリッドなものとかが含まれています。週1で、水曜日に更新すると決めていて、少しずつ増やしていってるところです。

――人気のスキンはどれなんです?

矢野:ダウンロードランキングにあったりなかったり、若干反映できてないところがあるんですけど、“チョコ”です。これがやたら人気あるんですよね。

足立:キーボード部分に“チョコ”を適用したらどうなるんだろうという興味は強いと思うんですよね。

矢野:ユーザーは女性が多いと思いますね。暖色系とかピンクの人気が圧倒的にありますから。3つの色にしてどれが人気かなと見てみるとピンクが多いです。

――Simejiを使われている男女比っていうのは……。

矢野:デコ的なものとかカスタマイズしたいというのは、どちらかというと女性かなという印象はありますね。

――50:50ぐらいですか?

矢野:どうだろう、わからないですね

足立:プライバシーについては取らないという方針なので、わからないです。「昔、こんなスキンがあったんだけど」という問い合わせが来たときにメールアドレスを見ている限りでは全員女性っぽい名前ですね。

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