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塩田紳二のWindows 8 IN-N-OUT 第3回

Windows 8のエディションはWindows 7と何が違うのか?

2012年05月10日 12時00分更新

文● 塩田紳二

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アップグレード対象エディションの制限

 マイクロソフトの「Blogging Windows」には、通常エディション、Proエディション、ARM版の3つの比較があり、別の記事ではEnterpriseエディションの記述がある。これらを整理してみよう。

 まずは、パッケージで販売される通常エディションとProエディションの比較だ。この2種は、Windows 7からのアップグレードの場合に、どのエディションからアップグレードが可能なのかが異なる。通常エディションは、Windows 7 Starter、Home Basic、Home Premiumからアップグレードが可能である。ProエディションはWindows 7 ProfessionalとWindows 7 Ultimateを含む、すべてのエディションからのアップグレードが可能だ。

 つまり、Proエディションを入手すれば、現在のWindows 7のすべてからアップグレードが可能である。一方でWindows 7 ProfessionalやUltimateから通常エディションには、アップグレードできない。そのため、Windows 7 ProfessionalやUltimateのユーザーは、アップグレードを行なうのであればProバージョンしか選択肢がないことになる。

 ただし、現時点ではエディションのみの発表であり、アップグレードが可能か否かという区別でしかなく、まだWindows 8のパッケージの種類までは発表されていない。例えば現在のWindows 7のパッケージには、通常版とアップグレード版があり価格が違う(DSP版は除外する)。

 機能面の違いとしては、Proエディションには、BitLockerやファイルシステムの暗号化、リモートデスクトップのホスト機能などが入っている。Windows 8の通常エディションとProエディションの違いは、Home PremiumとUltimate(もしくはProfessional)の関係に近い。

Windows RTとWindows 8/Proの違い

2011年9月の開発者向けイベントで披露されたARM版Windowsを動作させていたタブレット端末たち。これらはWindows RT搭載マシンとなる

 ARM版のWindows RTでは、Microsoft Office(Word、Excel、PowerPoint、OneNote)が同梱されるほか、パソコン用Windows 8にはない、デバイス暗号化の機能が搭載されている。これはおそらく、デバイスのストレージ全体を暗号化するものと考えられ、暗号化パーティションを作るBitLockerとは、別方式なのだと思われる。標準で搭載されるMetro StyleアプリやInternet Explorer 10といった標準バンドルアプリケーションには、大きな違いはないようだ。

 また、Windows RTには複数のストレージデバイスをまとめて扱える「Storage Spaces」機能がなく、Windows Media Playerも同梱されない。それ以外は基本的に、通常エディションのWindows 8と同じである。なお、Windows RTはハードウェアにプレインストールされる形でしか提供されないので、過去のWindowsからのアップグレードも存在しない。

 Windows RTにデスクトップ環境はあるが、従来のWindows用のx86/x64バイナリのアプリケーションは実行できない。可能性としては、.NET Frameworkで開発したアプリケーションは、そのままもしくは再コンパイルなどで、利用できるようになる可能性がある。ただし、バージョン4.0以前の.NET Frameworkが提供されるわけではなさそうなので、.NET 4.0で実行できることが条件となるだろう。

 エディションとしてみるとWindows RTは、付加部分(Officeなど)はあるものの、基本的に通常エディションと同等といえる。

Windows 8 ProとEnterpriseの違いとは?

 Enterpriseエディションは、Blog記事によれば、Proエディションをベースに、以下の機能を追加したものだという。

  • Windows To Go
  • DirectAccess
  • BranchCache
  • AppLocker
  • VDI enhancement
  • New Windows 8 App Deployment

 まずWindows To Goは、WindowsのインストールイメージをUSBメモリーに置き、パソコン内蔵のストレージを一切使わずにWindows 8を起動する仕組みである。Enterpriseエディションにのみ搭載されたのは、書き込まれるWindows 8のライセンス管理などの問題があるからだ。マイクロソフトでは、例えば在宅勤務時にWindows To Goを使って自宅のパソコン上で会社の環境を利用することで、自宅側の設定を変更する必要もなく、ファイルを残してしまい情報が漏洩する危険も回避できるとして、Windows To Goを企業向けの機能であるとしている。

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