エンドユーザーコンピューティングの課題は技術で解決
ヴイエムウェアの新製品でBYODや自宅作業は根付く?
2012年05月08日 06時00分更新
5月7日、ヴイエムウェアはエンドユーザーコンピューティング分野における事業戦略・新製品発表会を行なった。ポストPC時代を見据え、アプリケーションやデスクトップ、データ、そしてユーザーを「n対n」で適切つなぐための製品と戦略が披露された。
Horizonブランドでアプリケーションやデスクトップを統合
発表会の冒頭、エンドユーザーコンピューティングの現状を説明したヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏は、同社の調査を引き合いに、情報漏えいに関する要件が厳しく、モバイル端末の業務利用がきわめて制限されている国内の動向について説明した。
調査によると全体の71%で会社支給のノートPCを自宅へ持ち帰ることが禁止されているという。また、個人所有のモバイル端末の業務利用については、韓国が96%なのに対し、日本では22%にとどまっているという。こうした中、三木氏は、「どちらが良い悪いではなく、モバイルデバイスが業務で活用されていないのは事実。これに対し、セキュリティを確保しつつ、PCの利用に関わる課題を技術的になんとかしようというのが、弊社の提案」とヴイエムウェアのエンドユーザーコンピューティング戦略の基本的な立ち位置について説明した。さらにポストPC時代には、アプリケーション、デスクトップ、データ、そしてユーザーなどのネットワークを介して散らばっている各要素を「n対n」で適切につなぐ必要があると説明した。
こうした要件に対応し、今回発表されたのは、仮想デスクトップ用クライアントの最新版「VMware View 5.1」のほか、アプリケーションやデスクトップのポータルを提供する「VMware Horizon Application Manager」、ファイル共有サービス「VMware Project Octopus」などエンドユーザーコンピューティング分野の製品群になる。製品の詳細に関してはヴイエムウェア ストラテジック アライアンス部長 名倉丈雄氏が説明した。
まず、VMware View 5.1では、VMware View Storage Acceleratorに対応し、ストレージ側からのロードされるデータをVMware側でキャッシュすることで、トラフィックやCPU負荷の削減を実現。仮想デスクトップの起動時に大量のデータ送受信が行なわれるブートストームの問題を解消する。また、ストレージ側のクローン機能を用いてプロビジョニングを効率化するVCAI(VMware View Composer Array Integration)や物理デスクトップから仮想デスクトップへの移行を円滑に行なえるようにVMware View Persona Managementの機能強化が図られた。さらにアーキテクチャの改良により、リモートで利用できるUSBメモリの互換性が高くなったほか、仮想デスクトップ用のプロトコルであるPCoIPも低速な回線の利用に対応。あわせてVMware Viewの管理に最適化された管理ツール「VMware vCenter Operations for VMware View」も提供開始される。
また、同社が「パーソナルクラウドブローカー」と呼ぶVMware Horizon Application Manager 1.5も新たに発表された。アプリケーションと仮想デスクトップ、データなどをユーザーと適切に結びつけるべく、シングルサインオンとユーザー向けポータルを提供する。「ユーザーがポータルにアクセスすると、自身が使えるアプリケーションが表示される」(名倉氏)。シングルサインオンはActive Directoryに加え、SAML経由でも可能になり、SaaSとの連携に対応した。従来、サービスのみだったが、本バージョンからオンプレミスで利用できるよう仮想アプライアンスとして提供されるようになった。
VMware Project Octopusは、「企業版Dorpbox」ともいえるオンラインストレージで、PCやスマートフォン、タブレットなどからのデータアクセスや共有をセキュアに行なえる。今回β版として提供されることが発表された。
デスクトップ分野での仮想化に関して、ここ数年で製品の拡充を一気に進めてきたヴイエムウェア。コンシューマ系のクラウドやモバイルデバイスの普及にあわせて、包括的な製品ポートフォリオをますます整備しつつある。
この連載の記事
-
第13回
ビジネス
リモートワイプや警告レポートが可能になった「LanScope An」 -
第12回
デジタル
RSA主催のセキュリティ協議会がBYODセキュリティ報告書 -
第11回
ビジネス
法人向け「050 plus」に公私分計対応のBYOD用オプション -
第10回
クラウド
BYODの実践も披露!NTT Communications Forumの注目展示 -
第9回
ビジネス
プロが語る「ビジネスの現場でスマホを安全に使う方法」 -
第8回
TECH
ソフォス、MDMの最新版「Sophos Mobile Control 2.5」発表 -
第7回
ビジネス
BYOD調査、許可企業は12.6%だが過半数が利用 -
第6回
デジタル
マカフィー、企業向けモバイルデバイス管理製品EMMの最新版 -
第4回
ソフトウェア・仮想化
ノックス、Windows Phone対応のMDM「MobileIron VSP」 -
第3回
ビジネス
自社導入で44万台のデバイスを管理!IBMがMDM市場に参入 - この連載の一覧へ