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AVライター・鳥居一豊の「ビビビっときたAVデバイス」! 第1回

1万円台でPCの音質が大幅向上!アンプ付きスピーカー4種類

2012年05月31日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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ボーカルの生々しい再現に驚かされる
正確な再現が持ち味のFOSTEX「PM0.3」

コンパクトな印象の「PM0.3」

コンパクトな印象の「PM0.3」

 フォスター電機の「FOSTEX」ブランドは、高品質なHi-Fi用スピーカーだけでなく、業務用のモニタースピーカーや録音用の機材なども幅広く手がけている。

 「PM0.3」(実売価格1万円前後)は、横幅100mmのコンパクトサイズのスピーカーで、ノートPCなどと組み合わせるにもちょうどいいサイズだ。

 背面にはステレオミニ端子のほか、通常のRCA端子の入力も備えており、CDプレーヤーなどのオーディオ機器との接続も可能となっている。ボリューム調整のツマミも背面にあるので、ちょっと使いにくく感じたのが残念。

ウーファーは7.5cmグラスファイバー振動板、トゥイーターは19mmのシルクドームを採用。いかにもスピーカーといった感じのオーソドックスなデザインだ

ウーファーは7.5cmグラスファイバー振動板、トゥイーターは19mmのシルクドームを採用。いかにもスピーカーといった感じのオーソドックスなデザインだ

右側のスピーカーの背面写真。上からボリューム用のツマミ、RCA入力、ステレオミニ入力と左側スピーカーとの接続端子がある

右側のスピーカーの背面写真。上からボリューム用のツマミ、RCA入力、ステレオミニ入力と左側スピーカーとの接続端子がある

 PM0.3の特徴は、色づけのない自然なバランスと、ボーカルを中心とした中音域が極めて充実していること。ラスマス・フェイバーの「Platina Jazz: Anime Standards Vol. 3」から、「ルパン三世・愛のテーマ」を聴くと、ボサノバ風にアレンジされたムーディーな演奏と、深みのある声のボーカルをニュアンスたっぷりに再現した。声の伸びやブレスのかすかな息づかいなど強弱の再現が上手で、ボーカル好きな人にはたまらないサウンドだ。

 女声を中心とした4声のコーラスが気持ちいい「君の神話」を聴いても、高く澄んだ女声をきれいに再現した。発声が明瞭で切れの良い再現になり、情報量もしっかりと出てくる。

 ただし、低音はやや不足気味で、ズシンと来るような迫力やパワー感は不足気味。中域中心のかまぼこ型のバランスで、ややナローレンジではあるが、音楽の大事なところを丁寧に再現してくれるので、思ったほど物足りなさは感じない。

 PC用スピーカーとして使う場合は、音量を絞って聴いても音が痩せず、ボーカルの美しさをきちんと再現してくれるのも美点と言えるだろう。忠実感の高い自然な音色なので、苦手なジャンルもなく、いろいろな音楽をありのままに再現する。

 パーソナル用とはいえ、同社のモニタースピーカーの音を受け継いでおり、バランスの良さは絶品。DTMなど、自分で音楽制作を行なう人に愛用者が多いのもうなづける正直な音だ。

ミニチュアのように音が浮かぶ定位の良さが魅力
タイムドメイン「TD-mini」

近未来的な雰囲気の「TD-mini」

近未来的な雰囲気の「TD-mini」

 PCとの組み合わせにも適したサイズで卵型スピーカーというと、オラソニックの「TW-D7」を思い浮かべる人も多いと思うが、タイムドメインの「TD-mini」(実売価格1万9000円前後)も、卵を横にしたようなフォルムを採用している。

側面から見たところ。スピーカー部は卵を横にしたような形をしている

側面から見たところ。スピーカー部は卵を横にしたような形をしている

 不要な音の反射による波形の乱れがないなど、オーディオ的に理にかなった形状だ。スタンド一体型なので、使いやすいのも魅力と言えるだろう。アンプを内蔵する右側のスタンド部分には、ボリューム調整のツマミがある。

右側スピーカーのスタンド部分にはボリューム調整と電源スイッチを備える。操作がしやすく使い勝手がいい

右側スピーカーのスタンド部分にはボリューム調整と電源スイッチを備える。操作がしやすく使い勝手がいい

背面の接続端子部。中央のケーブルの先にはステレオミニ端子があり、ステレオミニ出力がある多様な機器と接続できる。このほか、ACアダプターの接続端子や左側スピーカーとの接続端子がある

背面の接続端子部。中央のケーブルの先にはステレオミニ端子があり、ステレオミニ出力がある多様な機器と接続できる。このほか、ACアダプターの接続端子や左側スピーカーとの接続端子がある

 TD-miniは、音の定位が強烈にいい。ボーカルがフワっと中央に浮かび、ちょっと奥のドラムス、右手側のギターと、それぞれの音の配置が目に見えるような再現だ。この定位の良さを知ってしまうと、一般的な四角い箱に入ったスピーカーの音が不自然に感じてしまうほどだ。

 「君の神話」を聴いても、4人のコーラスが整然と並び立ち、美しく溶け合っている様子がはっきりとわかる。バックの音楽との対比もしっかりと再現され、精密に再現されたステージのミニチュアを見ているようだ。

 一方、低音は少々不足気味。ジャズのウッドベースは量感が多めで不満は少ないが、バスドラムの力強い響きなどはどうしても不足気味になる。どちらかというと、ボーカル曲や小編成のアコースティック楽器の演奏などをきめ細かく聴きたいという人に向いているだろう。

 音の粒立ちがいいため、小音量でもひとつひとつの音が精密に再現され、気持ち良く聴きとれる。音色も自然で、ピアノ協奏曲でも、強調感やクセっぽさのない自然な音になり、ホールで聴いているような雰囲気が出る。

 定位の良さを活かすため、ノートPCの両脇にぴったりと寄せるのではなく、5~10cm程度の距離を空けて広めに置き、ほんの少しスピーカーを中央に向けるとボーカルの定位がより明瞭になる。

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