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速い薄い軽い長持ち! ノートPCの新たなスタンダード

ウルトラブック(Ultrabook)の選び方

2012年05月14日 12時00分更新

文● 石井英男

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ウルトラブックの要件とは?

 「ウルトラブックとは何か?」という、基本的な概念は理解していただけたと思う。そこでここからは、ウルトラブックと名乗るための具体的な要件と、ウルトラブックを選ぶ際に重要となるポイントについてじっくりと解説したい。

 なお、以下に示す要件については、すべてが公式に明らかにされているわけではなく、一部筆者の推定も含まれているので注意してもらいたい。

ウルトラブックのガイドライン
スペック インテルが示す要件 備考
薄さ 21mm以下 18mm以下や15mm以下のガイドラインもあり
CPU 第2世代以降のCore iシリーズ 最大4スレッドの同時実行が可能
バッテリー駆動時間 5時間以上必須、8時間以上推奨 ――
インターフェース 無線LANが必須 有線LANやD-Sub15ピンなどは任意
高速復帰 休止状態から7秒以内 ――
価格 1000米ドル以内のモデルがある ラインナップに用意されていればOK

最厚部21mm以下が基本だが、画面サイズで要件が変化

 ウルトラブックの最大のウリが、ボディの「薄さ」である。

 海外で売られているモデルでは、スリムノートPCと呼ばれる製品でも最厚部30mm程度、一般的なノートPCでは最厚部が40mmを超える製品も珍しくはない。一方、ウルトラブックのガイドラインでは、最厚部21mm以下とされており、従来のノートPCに比べて遙かに薄くなっていることがわかる。

 最新のガイドラインでは、厚さが21mm以下、18mm以下、15mm以下という3種類のカテゴリーが示されており、液晶サイズが14型以上のものは21mm以下、14型未満のものは18mm以下という規定もあるようだ。

 例えば、オンキヨーの14型液晶搭載ウルトラブック「DR6A-US31C7」の最厚部は19.3mmであり、21mm以下という要件を満たしている。また、デルの13.3型液晶搭載ウルトラブック「XPS13」の最厚部は18mmであり、こちらも18mm以下という要件を満たしている。

14型の大型液晶を搭載したオンキヨー DR6A-US31C7の最厚部は19.3mm。14型液晶搭載ウルトラブックのガイドラインである21mm以下という要件を満たしている

 ただし、こうした要件はあくまでガイドラインであり、多少オーバーしてもウルトラブックと呼んで差し支えないようだ(日本HPの「HP ENVY14-3003TU/3004TU」の最厚部は23mm)。ボディの薄さについては、薄いほうが携帯には便利だが、21mm以下でも十分にスリムであり、ウルトラブックとして販売されている製品なら、それほど気にする必要はないだろう。

CPUは第2世代以降のCore iシリーズ

 ウルトラブックの要件ではCPUも規定されており、第2世代以降のCore iシリーズを搭載することになっている。ただし、通常電圧版ではなく、発熱が小さい超低電圧版を搭載する。

 現在発売されている製品はすべて第2世代Core iシリーズを搭載しており、具体的な型番としては、Core i7-2677M(1.8GHz)/Core i7-2637M(1.7GHz)/Core i5-2467M(1.6GHz)/Core i3-2367M(1.4GHz)が採用されている。これらは、すべてデュアルコアで、Hyper-Threadingテクノロジーを搭載しているため、最大4つのスレッドを同時に実行可能である。

春モデルのウルトラブックには、すべて第2世代Core iシリーズが搭載されている

 ほぼ同じ価格帯で販売されていたCULVノートでは、シングルコアのCore 2 SoloやCeleronを搭載していたものもあり、Hyper-Threadingテクノロジーにも対応していないことを考えると、ウルトラブックの性能の高さとコストパフォーマンスの優秀さがよくわかる。

 例えば、レノボの13.3型液晶搭載ウルトラブックの上位モデル「IdeaPad U300s 108074J」はCore i7-2677Mを、下位モデル「IdeaPad U300s 108075J」はCore i5-2467Mを搭載している。

 動画エンコードやRAW画像の現像など、CPU性能が重要になる用途では、ターボ・ブースト・テクノロジーに対応したCore i7またはCore i5を搭載したモデルがお勧めだが、ウェブブラウズやOfficeなどを利用した文書作成といった比較的負荷の軽い作業なら、Core i3搭載モデルでも十分なパフォーマンスである。

 なお、インテルは、2012年4月24日に開発コードネーム「Ivy Bridge」として知られていた第3世代Core iシリーズを発表したが、4月に発表されたのは通常電圧版のみであり、ウルトラブックに搭載することはできない。

 ウルトラブックに搭載可能な超低電圧版第3世代Core iシリーズの発表は6月になると予想されており、Ivy Bridge搭載ウルトラブックも6月か7月に登場する可能性が高い。

バッテリー駆動時間は5時間が必須、推奨は8時間以上

 ネットブックの不満点の1つに、バッテリー駆動時間の短さが挙げられる。サイズはコンパクトだが、公称バッテリー駆動時間が3~4時間程度しかない製品が多く、常に持ち歩いて使うには心許なかった。しかし、ウルトラブックでは、バッテリー駆動時間は5時間が必須で、8時間以上が推奨とされているので、バッテリー駆動時間についても満足できる。

下手なモバイルノート以上の駆動時間を誇るウルトラブックだが、薄さや重量の要件を満たすためにバッテリーの取り外しができない設計となっているモデルも少なくない。気になる人は必ず確認しておこう

 例えば、日本HPの13.3型液晶搭載ウルトラブック「HP Foilo13-1009TU」の公称バッテリー駆動時間は約9時間、ASUSTeKの13.3型液晶搭載ウルトラブック「ZENBOOK UX31E-RY256」の公称バッテリー駆動時間は8.1時間である。どちらも8時間を超えており、ウルトラブックよりもボディが厚い、従来のモバイルノートPCと比べても遜色はない。

 AC電源のない外出先で頻繁に利用することが多いのなら、公称バッテリー駆動時間も忘れずにチェックしておきたい。公称バッテリー駆動時間が8時間以上の製品なら、ACアダプターに接続できない環境でも安心して使えるだろう。

無線LANの搭載は必須、有線LANやWiMAXなどは任意

 ウルトラブックは、薄さを重視しているため、インターフェースに関しては必要最低限のものを搭載すればよいとされている。ウルトラブックよりも前に登場したアップルのMacBook Airも考え方は同じだ。

 具体的には、無線LANの搭載は必須だが、有線LANやD-Sub15ピンなど、それ以外のインターフェースの搭載については任意である。

 しかし、実際には利便性を高めるために、HDMI出力やUSB 2.0/3.0などのインターフェースを備えた製品が多い。HDMIやUSBのコネクターは比較的薄いため、ウルトラブックへの実装は容易だが、有線LANやD-Sub15ピンのコネクターは厚みがあり、厚さの制限が厳しいウルトラブックでは、なかなか実装が難しい。

デジタルカメラの画像を転送したい人は、SDカードスロットの有無を確認しておこう

各種インターフェース用のコネクターが別途用意されているモデルも(画像はZENBOOKに付属するミニVGAコネクター)

 ところが、東芝の13.3型液晶搭載ウルトラブック「dynabook R631/28E」は、厚みの大きい有線LANとD-Sub15ピンのコネクターを背面のヒンジ部分に配置することで、ボディの薄さを犠牲にすることなく、利便性を高めている。dynabook R631シリーズは、現在日本で発売されているウルトラブックの中で、唯一WiMAXに対応していることも魅力だ。

 また、ASUSTeKの「ZENBOOK」シリーズは、独自形状のミニVGAコネクターが用意されており、付属の変換アダプターでD-Sub15ピンへの変換が可能だ。さらに、ZENBOOKシリーズは、USBポートに接続するLANアダプターも付属しているので、有線LANも利用できる。

 個人用途で使うなら、有線LANやD-Sub15ピンの有無はそれほど問題にならないだろう。一方、会社で仕事に使う場合は、企業内LANに接続したり、プロジェクターに接続してプレゼンするといった使い方も考えられるので、有線LANやD-Sub15ピンを備えた機種を選ぶのがよいだろう。

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