金環食を撮るには何が必要?
さて、金環食は太陽を撮ることになるため、普通の状態では明るすぎて撮影がまず不可能。そのため減光するための「NDフィルター」が必要だ。
最近の一部のコンデジなどにはNDフィルター内蔵機種も出てきているが、露出差2段や4段程度のNDフィルターでは役にたたない。もっと大幅に減光させるNDフィルターが必要だ。
光量を1/400にする「ND400」というフィルターでも単体ではきつく、プラスして「ND8」フィルターくらいを重ねがけをする必要がある。
大体参考までに日食状態でない場合の露出値だが、「ND100000」でF16、1/500秒くらい、「ND10000」でF16、1/5000秒くらい、「ND400」+「ND8」(ND 3200相当)でF22、1/8000秒くらいとなる。
なお、金環食の時には露出が約3段から4段くらい落ちるので、ND400+ND8でも何とかなるが、ND10000あたりがあると便利だろう。
筆者は元々、ケンコーの「マルチホルダー76」という製品を持っているため、今回はそれにあわせたND10000を購入して準備している。
マルチホルダー76はフィルター径最大77mmまでのレンズに対応できる。77mm径の広角レンズで使うと四隅がけられてしまう可能性があるが、超望遠撮影をするなら問題はないだろう。
なお、より大きなフィルター径に対応する「マルチホルダー100」もある。
60Da(左)と60D(右)で太陽を撮影
実際に太陽を撮ってみたのが上の写真。露出値はISO 100でF11、シャッタースピードは1/2500。晴天時の13時くらいに撮影している。黒点までばっちりと写っている。
太陽を撮影した場合、レンズの焦点距離が1000mmだと撮像素子上に実測で約直径10mmの大きさに写る。60Daに400mのレンズを装着すると、撮像素子上に直径約4mmで写る。
撮像素子サイズが長辺が22.3mm、短辺が14.9mmあるため、400mmで直径約4mmの大きさに写るとすると、上下の約1/4の大きさに写ることになる。縦に4つ並べると一杯になるわけだ。大体の写る大きさがイメージできるだろうか?
金環食は三脚や手持ち撮影でもいいが、画角を同じ(常に中央に捕らえたいなど)に保ちたいなら、前ページで紹介したポラリエを使うと便利だ。
まだ間に合う? 金環食撮影の準備
5月21日の金環食は、東京では朝の6時19分に部分日食が始まり、7時31分くらいに金環食になりはじめ、7時37分まで約6分間鑑賞できる。部分日食が終わるのは9時2分くらいだ。
今から準備すれば普通は間に合うのだが、実はNDフィルターが市場でかなり品薄になっている様子。もちろん金環食が起こるからである。金環食を撮りたいと思うなら、急いで準備したほうがいいだろう。