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天体撮影専用のデジイチ「EOS 60Da」で夜空や金環食を狙え!

2012年05月09日 12時00分更新

文● 周防克弥

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意外と簡単な天体写真の撮り方

ビクセンの「ポラリエ」を用いて「追尾撮影」するための準備をする(後述)

ビクセンの「ポラリエ」を用いて「追尾撮影」するための準備をする(後述)

 天体写真というとちょっと普通の写真よりも敷居が高い気がしてしまうかもしれないが意外に撮るのは簡単だ。

 一言で言うなら、しっかりとした三脚にカメラを固定して、撮影モードをシャッターを開けっ放しにする「B」(バルブ)モードにすればいいだけだ。

 ただし、この「しっかりとした三脚」と、シャッターを開けっ放しにするための「リモートスイッチ」か「リモートレリーズ」が必要で、あらかじめ用意しておかなければならないのが難点である。

 しかし、準備さえできれば後は晴れた夜空を待って撮るだけである。普通の写真と違って露光時間が多少かかるが、数分や数十分放置しておけば撮れる。

 ちなみに筆者が昔撮っていた頃はまだ銀塩フィルムだったため、一晩使って何枚も撮っては現像して、また撮りに行っての繰り返しだった。しかし、今はデジカメなので確認して撮り直すことも簡単だ。

 まず天体写真にはいくつかの種類があるが、大きく分けると「星の流れている軌跡が見える写真」と「星が点で写っている写真」2つだろう。ほかにも望遠鏡にカメラを装着して超望遠で月や土星、木星などの惑星を撮ることもあるが、ちょっと高度な技術と機材が必要になってしまうので今回は省略する。

左が固定撮影、右が追尾撮影の写真。後者のほうが暗い星や淡い星団などを写すことが可能だ。共に約4分の露光を行なっている

 最初の「星の流れている軌跡が見える写真」は「固定撮影」と呼ばれる一番簡単な方法で、三脚にカメラを固定して置いておくだけでいい。カメラを固定したまま長時間露光させると、地球の自転によって動いた星の軌跡が写る。

 次の「星が点で写っている写真」は星の動きに合わせて露光中のカメラを移動させる「追尾撮影」と呼ばれる方法で撮影する。地球の自転に合わせてカメラを少しづつ動かすことで、星を動かさずに撮れるわけだが、専用の機材が必要になってしまう。

ポラリエの前面(左)と背面(右)。サイズは幅137×奥行き58×高さ95mmで重さは約740gほど。少し大きめのデジカメという印象。単三電池2本を使用して星の動きに合わせてカメラを追尾させることができる

 追尾撮影は一見高度な技術と機材が必要に思われ、実際に望遠レンズで星雲や星団などをアップで高精度な撮影をしようとすると「赤道儀」と呼ばれる架台(役割としては三脚の雲台に近い)と望遠鏡が必要になってしまうのだが、最近は比較的安価に追尾撮影できる機材が発売されている。

 それがビクセンの「ポラリエ」(POLARIE)だ。同社の直販サイトで3万9800円(三脚セットは5万4600円)で発売されている。

側面には傾斜計が備わっており、撮影する地点の緯度に合わせて設置する。ちなみに、東京の緯度は約35度なので撮影をするときには傾斜計の角度を35度に合わせる

側面には傾斜計が備わっており、撮影する地点の緯度に合わせて設置する。ちなみに、東京の緯度は約35度なので撮影をするときには傾斜計の角度を35度に合わせる

角に穴が開いており、ここから覗き込んで北極星の位置を合わせる。簡易的な設定ではあるが、広めのレンズでそれほど長時間の露光をしないならこれで十分に星を静止状態で撮れる

角に穴が開いており、ここから覗き込んで北極星の位置を合わせる。簡易的な設定ではあるが、広めのレンズでそれほど長時間の露光をしないならこれで十分に星を静止状態で撮れる

背面側にはねじ込み式のコンパスが内蔵されている。設置時にしっかり北に向けよう

背面側にはねじ込み式のコンパスが内蔵されている。設置時にしっかり北に向けよう

雲台の取り付け

 使い方は、表側の雲台ベースを突起しているネジ2本を緩めて取り外し、そこに雲台を装着。カメラとともに雲台ベースを本体に付け直し、本体の電源を入れるとこの雲台ベースの部分が地球の自転に合わせてゆっくり回転。星の動きに合わせ、静止した状態の星の写真を撮ることができる。

オプション極軸望遠鏡を装着したところ

オプション極軸望遠鏡を装着したところ

 また、北極星の位置をより高精度に合わせるための極軸望遠鏡がオプションで発売されている(直販価格1万4200円)。長めのレンズを使う場合や長時間露光させる場合にはあると便利だ。

 覗き込むと北極星の位置合わせ用のガイドになる目盛りが見えるのだが、夜だと暗くて見えなくなる可能性があるのでペンライトなどでレンズ先端側を照らす道具が必要だ。

 レンズについては、撮る被写体と画角によって異なるので一概には言えないが、例えば北斗七星の全景を撮りたいのであれば、60Da(APS-Cセンサー)+50mmレンズぐらいでもいける。フレームギリギリに全景を収める場合でも70~80mmぐらいあれば問題ないだろう。

 アンドロメダ大星雲やバラ星雲を撮りたいとなると、300~400mmクラスの望遠レンズがほしいところ。ただし、ポラリエだと荷重の関係上、400mレンズをつけたデジタル一眼は支えられないかもしれない。

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