60Dより赤みがかった色に
一般的な被写体の撮影は推奨しないという60Da。では、60Dとどれくらい発色が変わるのかを比べてみた。まずはマクベスチャートを光源別に撮った写真を見てみよう。
60Da(左)と60D(右)の比較撮影サンプルその1
それぞれ大型ストロボ(色温度約5200K)、ストロボのモデリングランプ(色温度約2500K)室内の普通の蛍光灯で撮影、ホワイトバランスはすべてオートのままだ。
基本的に60Daは色が浅く、彩度が低い印象を受ける。特に赤系の色では顕著で、紫の発色は大きく差が出ている。
また光源の種類による発色の差は大きく、赤みの強いタングステン光に近いストロボのモデリングランプではストロボや蛍光灯に比べて差が大きい。ホワイトバランスがオートなのである程度は補正されていると見れば、一般的な被写体でも商業用途でなければ意外に使えそうだ。
次はホワイトバランスを「晴天」に設定して屋外で撮り比べてみた。
60Da(左)と60D(右)の比較撮影サンプルその2
ホワイトバランスを晴天に固定することで補正されない発色を確認できる。2機種の写真を見比べると確かに60Daのほうが赤く色カブリしているのがわかる。特に、画像編集ソフトでRGBのチャンネル別にヒストグラムを確認すると、赤のチャンネルのヒストグラムの盛り上がり具合が60Dに比べて大きく、赤の感度が高い。
赤い被写体を選ぶと色が飽和しやすい傾向があり、青い花では紫に写っている。これはこれでもアリだが正確な発色ではないことを覚えておこう。
ただし、まったく普通に使えないわけではなく、多少赤に色カブリしているだけなので正確な発色を求められるような用途でなければ好みの範疇で使うのもアリだ。
ちなみに、デジタルデータなのだからレタッチしてしまえばいいと思うかもしれないが、撮影条件や被写体の色の状態によっては赤が飽和していることもあるので、完全に正確な色を再現できない場合もある。
60Da(左)と60D(右)の比較撮影サンプルその3
次に夜景の比較画像を見てみる。感度の比較もできるようにISO 100からISO 12800まで撮ってみた。暗闇に光る点光源は星の写真に近い状況である。
ところどころで点光源になっている部分を見比べると、60Daのほうが赤い光が少しだけ大きく明るく写っているのがわかる。
ホワイトバランスはこれも晴天に固定して撮影しているため、赤みの強い光源が60Dよりも明るくなっている。実際に星を撮った場合にも同様に60Dよりも明るく写るだろうと考えられる。
感度の違いについては60Daと60Dで描写の差はない。最高感度のISO 12800ではさすがにノイズが多く見られ偽色も多いが、ISO 3200までならノイズはあまり目立たず偽色も少ないので、実用性のある写真を撮ることができる。
確かに赤かぶりの発色になりがちだが、見た目で「これはありえない!」というような発色にはそうそうならない。考え方次第ではあるが、この赤の色相の強い絵柄を特性のひとつとして考えれば普通の撮影もそれなりに楽しんで面白い撮影ができるだろう。
60Daは天体撮影専用機だけあって、そっち方面に興味のある人にはかなり気になる機種だ。一応推奨はされないものの、一般的な撮影も可能で、しかも60Dがベースになっているため基本的な機能はすべて共通。
キヤノンいわく「一般的な撮影はお薦めしません」となっており、多少色の変わった風変わりな写真になりはするが、まったくもって普通に使えない訳ではない。
普段は普通に使いつつも、夜は天体写真を撮るような使い方も十分可能だと思う。