ソフトバンクは2011年度3月期の決算説明会を開催。連結売上高が3兆2024億円、連結営業利益は6752億円に達するなど、7期連続の増益を果たすなどの好調ぶりを、孫正義社長がアピールした。
KDDIのiPhoneリリースに危機感を持つも
ユーザーの流出を食い止める
その孫社長が説明会の冒頭に触れたのが、KDDIからのiPhone発売。同社の好業績を支えるiPhoneだが、国内での独占販売状態が崩れたことで、外から見えている以上に大きな危機感を抱いたとする。
特に既存のiPhoneユーザーが、MNPによってKDDIに流出する可能性については「100万人レベルに行くのではないか」と最悪のシナリオも想定していた。しかし、2011年度Q3には300億円、Q4には100億円ものコストを要したキャンペーンにより、数万レベルにとどまったという。想定していた中では最高にいい結果になったと笑顔を見せた。
また、営業利益率でドコモを上回る21.1%という数値を出している点にも力を込めた。「通信業界は本来スケールメリットが利く業界」にも関わらず、利益率でNo.1なのは経営的に誇れるものではないかとする。
移動体通信事業における2012年度の成長要素としては、7月25日に始まる900MHz帯の「プラチナ電波」のスタート。孫社長が“唯一の弱点”と語るつながりにくさもこれで大幅に改善するはずと自信を見せる。連結設備投資額も2012年度は過去最大の6000億円を予定。ここで一気に電波を強化すれば、設備投資は一息をつくという予測になっている。
iPhone/iPad/クラウドを組み合わせたサービスが
これからの事業の前提条件
ソフトバンクの収益の大半は移動体通信事業によってもたらされているが、一方で孫社長は、移動体通信事業はあくまで「モバイルインターネットを提供するために買収した」として、ソフトバンクが「インターネットカンパニーである」とあらためて強調する。
2012年度第3四半期の決算説明会で紹介された、「2016年度に連結営業利益で1兆円」という目標も、移動体通信事業を拡大することだけで狙っているのではない。インターネットカンパニーとして、「iPhone(スマートフォン)」「iPad(スマートパッド)」「クラウドサービス」という、現代の三種の神器を組み合わせたサービスが必要であるとする。
すでに成功している事例では、iPadやiPhoneを企業に販売する際に「Google Apps for Business」をセットにしているというものがある。販売したID数は2011年度Q4だけで19万ID。Google AppsのIDを世界で一番売っている企業であることを紹介した。
同時に、この三種の神器を利用した業務の効率化を社内で進めている。今年度に入ってからは、「コピー禁止令」を社内に発令したという。「社内でコピーは一切許さない。これができない奴は会社を辞めていい」と、本人も“無茶振り”と苦笑する指示を出したという。ちなみに決算説明会でも次回からは紙資料は配らないと宣言。「アナリストとメディアの皆さんも、次回は必ずiPadかモバイルPCを持ってきてください」と笑って語った。
