Microsoftが若きエンジニアをサポートする理由 第2回
日本から世界を目指す、Pitapat合田氏
錯覚からドキドキする、ソーシャルマッチング「Pitapat」
2012年05月09日 11時00分更新
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世界に向けて~ 大学をクリエイティブしたい
遠藤 「アメリカでも受け入れられるサービスにしたい?」
合田 「そうですね。デザインもアメリカに向けて色の濃いものにしていて。SNSの土台も最初から自分たちで作っても会員集めが大変なので、最初はFacebookのプラットフォームを利用するつもりです。今後は繋がりのソーシャルグラフですとか、友達の紹介だとか、Facebookにはない情報をどんどん溜めていって、いつかは独自のサービスとしてやっていきたいですね。サービスを作る上でのスタートアップがスムーズにいったのは、ブレイクスルーキャンプのおかげでもありますけれど」
遠藤 「世界を目指すことも、ブレイクスルーキャンプで?」
合田 「はい。ブレイクスルーキャンプのスポンサーとなっている日本マイクロソフトの方に『世界を目指せ』と 発破をかけられました。日本だけを目指すのではなく、どんどん世界へやっていこうと、日々のミーティングのたびに言ってくださって。大きな励みになりました。『一緒に世界を目指そう』と言ってくださらなかったら僕たちはもしかしたら起業もしてなかったかもしれない」
遠藤 「ほんとですか!」
合田 「もう全員が『ここから世界にサービスを出していこう』っていう雰囲気になっていました。それに、数々の起業家の方を紹介していただいたり、Facebookの日本代表の児玉さんとも実際にお話をして、意見を伺ったりもできました。当時、僕はまだ起業してなかったんですけれども、すでにシリコンバレーで起業している同年代の方もいたりして。『だったら自分でもできる』と。使命感や挑戦してみたいという気持ちが生まれて、参加して本当に良かったと思っています」
遠藤 「世界に向けると、いろいろと準備が必要なのでは?」
合田 「技術面でいうとサービスの本質とは関係ないインフラ面でコアな所がありますよね。クラウドサービスを使う事によって、世界でやっていくにもいきなりサーバーを東南アジアとかアメリカに設置することができない。ブレイクスルーキャンプのスポンサーとなっている日本マイクロソフトの方が面倒を見てくれて、海外のサーバー利用がボタンクリック1つでできたりですとか。スケールアウトも容易にできるとか。そういったコアな部分でほとんど僕たちのリソースを割かずに、アプリケーションの開発に専念できました。ブレイクスルーキャンプでは毎日教えてくれる方もいて技術面のサポートもとてもよかったです」
遠藤 「学生のうちから世界を目指してもの作りをするのは、いい刺激になるね」
合田 「はい。ウェブサービスはFacebookとかTwitterなど、米国発のものが中心ですよね。そうした中で、日本発の新しいものを作っていきたいと本当に思っているんです。ただ誰かがやらなければ後から付いてこないかなと思って。最初はうまくいかないかもしれませんが、僕たちが挑戦しているのを見ていた後輩がもっとすごいものを作りだしていくかもしれない。その連鎖が日本の流れを変えていくのではないかと。そのためにも世界に向けてどんどん挑戦していこうと思っています」
遠藤 「先輩と後輩のほうがサービスとしては切磋琢磨されるかもしれない。上司と部下ではこうはいかないもんね」
合田 「いま僕がやりたいのは、大学をもっとクリエイティブにしたいということです。現状、技術系の大学だと、ただプログラムを学ぶだけで単位をもらえる、というものになっているような気がしています。これではクリエイティブなものは生まれませんよね? 大学1年生、いや、高校1年生くらいからどんどんサービスを作り出すことを実践できる環境を作りたい。って、じつのところ、僕はプログラミングが大嫌いだったんですけれど。でも実際作ったらすごい楽しくて。ユーザーに使われると、もっとうれしいんです。それを最初に経験できる場所があればもっとエンジニアも、エンジニアという概念じゃなくて作ってビジネスやる人みたいな。そういった流れを僕が作りたいなと思っています」
遠藤 ほぼ同じ話題が英国でもニュースになっていましたよね。グーグルの元CEOエリック・シュミット氏が、英国の使うことしか教えない教育の現状を警告したと。たぶん、いま世の中を良くしていくには、テクノロジーというのは避けて通れないから、ベーシックな教育として、しかもそれのクリエイティブなやり方があるべきですね」
合田 武広(ごうだ たけひろ)
株式会社Pitapat代表取締役。1988年生まれ。東京工業大学工学部卒。学生時代にベンチャー企業のアルバイトを通してサービスを作る楽しさを実感する。2011年9月のブレークスルーキャンプ優勝をきっかけに、同年11月株式会社Facematch(現株式会社Pitapat)を設立。
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