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Microsoftが若きエンジニアをサポートする理由 第2回

日本から世界を目指す、Pitapat合田氏

錯覚からドキドキする、ソーシャルマッチング「Pitapat」

2012年05月09日 11時00分更新

文● タトラエディット、語り●合田 武広、遠藤 諭、写真●小林 伸

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どんなサービス?

遠藤  「どんなものを作っているんですか?」

合田 「僕たちはFacebookアプリを作っていまして、SNSでつながっている『友達』の中から気になる人に一歩近づけるようなものです。友達の友達だとか、同じイベントに参加して一度会っただけの人だとか、そういった身近だけれどもちょっと遠い知り合いを近づける。そんなアプリです」

遠藤 「どうやって近づけるんですか?」

合田 「たとえば、互いにちょっと好感をもっていたとします。異性なら食事に行きたいとか、ドライブに行きたいだとか、飲みに行きたいということがありますよね?」

遠藤 「まぁ、なかなか言い出せないですよね」

合田 「そうなんです。でも、きっかけさえあればできると思っています。とくにぼくらの世代では恋愛に関してアクティブに行動できる人が少なくて。『草食系男子』なんていわれますよね? 出会いはたくさんあって、気軽に友達登録をしあっていたりもするんですけれど、そこから一歩踏み出さないところがあるんです」

遠藤 「じつは、男子に限らず30代までの女性の独身の女性の半分以上が、恋愛は自分の人生にとってあってもなくてもいいと言っている調査結果がありますよ。その調査を見ると、40代までの独身の自宅率がものすごく高くなっていて。そうした人たちは出会いと恋愛がつながっていないのかもしれない。で、具体的にはどのようなアプリなの?」

合田 「(画面を見せながら)Facebookの異性の友達の写真がこうやって表示されてるわけですよ。この写真を見て自分が『けっこういいな』と思ったらこのマークをつけて、『ちょっとしゃべりたいかな』と思ったらこのマークをつけてとか…」

遠藤 「要するに『いいね』だけじゃ分からないから異性としての感度を3段階で表現してつけるわけなんだ」

合田 「そうですね。写真を見て気になっている人を登録していきます。この時点では相手には通知されませんが、ドキニコアルバムという自分のアルバムに異性をためていく……。もし、誰かが自分のことをドキニコアルバムに入れてくれたら、それがわかるようにもしています」

遠藤 「1クリックで告白できちゃうんだ」

合田 「いえ、誰がドキニコアルバムに入れたのかを名前で知らせるのではなくて、この○人の異性の中の誰かが自分のことを好きだ。というところまでです」

遠藤 「ちょっとこれ、かなり焦らされますね(笑)」

合田 「恋愛ゲームをやっている感じですね(笑)。自分も相手のことをドキニコアルバムに入れたら、マッチングされたことが双方に通知されます。それまでは誰だかわからなくて、通知されてはじめてあの友達なのかって知ることができる。両想いになっても、初めは誰だか分からないのですが、お互い5通のメッセージを交換すると、誰とマッチしたかが分かる仕組みです。そして、ここがキモなんですが、マッチングしたら二人だけの限定のクーポンがもらえる仕組みを入れています。例えば映画や食事の割引チケットだとか」

遠藤 「その昔、『プロポーズ大作戦』というテレビ番組があってね。その中に『フィーリングカップル5×5』という大学生の男女各5人が対面して気に入った相手をボタンで選び、お互いが押したときにカップルが成立するというコーナーがあったんだよ。これに関しては、私の著書の『ソーシャルネイティブの時代』(アスキー新書)に過剰に詳しく書いたんだけど、たしかにOKなカップルにプレゼントをしてしまうというのが重要な意味を帯びていたような気がする」

合田 「そうなんですね。そしてカップルになったあと、もらったチケットが二人でしか使えないとなると……。それがデートに誘うきっかけになるんです」

遠藤 「なるほど! それはいいアイデア! 昔はモテるためにロックに詳しくなっちゃった人とかいたけど、もうそんな努力はいらないんだね。だってロックのコンサートのチケット貰っちゃったら『これ僕もあんま詳しくないんだけど、一緒に行かない?』って言えちゃうじゃない。恋愛のためのムダな努力がいらないっていうのがいいよね。それで、このサービスを始めたきっかけは?」

合田 「もともと3人で始めたものなんですけど、僕たちはブレイクスルーキャンプという学生の開発コンテストでいっしょのチームとして参加していました。チームメイト全員がエンジニアなんですけれどね」

遠藤 「もしかして、全員モテなかったと(笑)」

合田 「それは置いておいて(笑)。 最初に自分たちが思っている『解決したい問題』をリストにしました。問題といっても些細なことです。朝起きられないとか、洋服が決められないとか。電車が混んでる、というのもありました。そうした日々の問題をあらいざらい書き出して。それで一番何を解決したいかというと、やっぱり恋人がいないということだったんですね。加えて僕はSNS上では700人くらいの友達がいますけれど、ただ一度会ったきりの人ばっかりで」

遠藤 「わかるわかる」

合田 「近くの人と話さずに、ネットの人とメールやチャットで話すことに違和感を感じたんです。SNSの付き合いを、オフラインの場に持って行きたいなっていう思いから始めました。これは恋人や友達探しにかぎったことではなくて、ビジネス上の付き合いもマッチングして何かできるかもしれないですし、そういう漠然とした物をつなげたかったんです」

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