デスクトップとはまったく別に存在する
Metroスタイルの実行環境「WinRT」
先述のとおり、Metroスタイルアプリケーションには、専用のAPIセットであるWinRTが用意される。これは、タブレット向けアプリケーションなどを作りやすくするために定義されたAPIセットで、従来のWin32 APIとは違うものだ。さらにいえば、実行ファイル形式もデスクトップアプリケーションとは違っている。
一方で、デスクトップアプリケーションと同じく、C#やVisual BASICなどの「CLR」(共通言語ランタイム)を使う開発言語やVisual C++を使って、Metroスタイルアプリケーションを開発できる。実行形式は違うが、開発の基本的な部分は従来と同じわけだ。
さらにMetroスタイルでは、HTML5とJavaScriptによるアプリケーション開発も可能だ。Metroスタイルではウェブブラウザーを起動することなく、HTML5+JavaScriptのアプリケーションを動かす仕組みがある。ただし、HTML5レンダラーやスクリプトエンジンは、Internet Explorer 10のものを流用している(図3)。一見、大きく違って見えるMetroスタイルとデスクトップ環境だが、どちらも同じ「Explorer」(Windows Explorer)が表示に関わっている。スタート画面自体も、実際にはExplorerが表示しているのだ。
共通部分もあるMetroスタイルとデスクトップ環境だが、基本的にデスクトップ環境とMetroスタイルは分離されている。CP版では、デスクトップ環境からMetroアプリケーションの実行ファイルが見えるが、ここも最終的にどのようになるのかわからない。Metroスタイル側とデスクトップ側は、簡単な文字のコピー&ペースト程度は可能だが、例えばプロセス間通信はできないという。それくらい分離されているわけだ。
Windows 8の基本的な構造を理解したところで、次回からは、Windows 8に導入される技術や新しいスタイルなどを見ていくことにしよう。
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