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イメージング、ゲーム、モバイルを柱に

「変わるのは今しかない」ソニー新CEOが経営方針を示す

2012年04月12日 20時51分更新

文● ASCII.jp編集部

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 市場が急拡大する一方で、アップルやサムスンの後塵を拝するモバイル事業では、ソニーとエリクソンの共同事業からソニーグループへと取りこんだ携帯電話機事業で、商品開発から市場投入までの期間を半分程度に短縮する、スピード感を重視した事業展開を行なうという。また、ソニー単独の事業ではなかったため、ほかの事業との融合が十分ではなかった点も解消し、スマートフォンの「Xperia」、ソニータブレット、パソコンの「VAIO」などとの融合も加速する。

 平井氏は「スマートフォンはハブになる」と述べ、機器間だけでなくソニーの持つエンタメコンテンツやサービスから、イメージングやオーディオの要素技術のさらなる導入など、ソニー独自の資産や技術を活用して、シェア拡大と売り上げ増を図るとしている。2014年度の売り上げは、2012年度の2倍を目指すという。

Xperiaを中心としたモバイル事業は、ソニーが持つ技術や資産を活用するハブとして、成長が期待されている

 そのほかにも、新規事業として期待されるメディカル機器分野については、同社の持つデジタルイメージング技術を活用するとともに、同分野の事業買収を積極的に行なうことで、将来の柱のひとつを目指すとしている。ただし、売上高目標は2014年度で500億円と、売り上げ規模としては控えめである。

2013年度での黒字化を目指すテレビ事業の立て直し

 懸案のテレビ事業立て直しについては、既存の液晶テレビの進化と収益化、新世代のディスプレー技術の商品化、さらにモバイル機器やネットワークサービスとの連携が大きなテーマとしてあげられている。

テレビ事業立て直しの3つのポイント

 まず液晶テレビ事業の収益化は、サムスン電子との液晶合弁会社から撤退して調達先の柔軟性を確保するなど、すでに改革が始まっている。パネル事業のほかに固定費の30%を削減するなどにより、固定的費用全体で60%のコスト削減を目指すとしている。さらに、商品モデル数を11年度に比べて12年度は40%削減するほか、サプライチェーンや一時費用の改善などにより、30%のオペレーションコスト削減も実現するという。

収益改善のために大きなコストダウン施策を実施する

 次世代ディスプレーについては、まず今年からサムスン電子やLGエレクトロニクスが製品投入を予定している有機ELディスプレーは他社との協業も検討して調達を進める。また、2012年1月に発表した同社の独自技術「Crystal LED Display」についても、時期は明示されなかったが商品化を目指すとしている。これらの施策により、2013年度には黒字化を達成するとしているが、コスト削減による部分が多いだけに、市況によっては達成は難しくなるものと思われる。

不採算事業切り離しなどにより1万人の人員削減も
技術開発力強化を重視

 平井氏が示した経営方針の施策にはほかにも、既存事業の見直しなども含まれている。子細は割愛するが、収益が見込めず前述した重点事業との連携もない事業分野については、他社との提携や切り離しも含めて検討するという。これら事業切り離しも含めて、1万人の人員削減も発表された。

 一方で平井氏が再三強調したのは、ソニーのDNAを生かす「技術開発力の強化」である。研究開発を担当する2名の執行役を設けたのもその一環である。「市場ニーズをとらえたうえで、技術的にどう夢を叶えるか」を実現するために、研究開発の強化を図ると平井氏は述べている。

 説明会の最後に示された2014年度の目標数値は、グループ売上高が8兆5000億円以上、うちエレクトロニクス事業は6兆円以上で、営業利益率5%と示された。2014年という目標を切った以上、ここ1~2年のソニーは大きな改革を実現する必要に迫られる。特に、業界トップのサムスンですら、価格下落に苦しむテレビ事業の立て直しは、相当な難航が予想される。今後の平井氏の舵取りに期待したい。

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