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iPhoneアプリ「I am “86”」はどうやって誕生したのか?

祝・86(ハチロク)発売! あの無料の86の開発者を直撃

2012年04月06日 18時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部

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子供の頃の原体験をアプリで再現したい

──それでは、「I am “86”」のこだわりポイントを教えてください。

喜馬 子供がクルマをマネるとき、ハンドルを握るフリをしながら「ブーン」とか口に出して言いますよね。そのような原体験が誰しもあると思うんですよ。僕の持論なんですが、流行っている遊びにはどこかに原体験が再現されています。なので、クルマの原体験をデジタルデータ化することを突き詰めて、そしてシンプルに、という部分を非常にこだわっています。子供心に戻る、みたいな。

──子供の頃、そうやってクルマを運転するマネをしました! なるほど、たしかに原体験ですね。Facebookに自分が走った動画をアップできるというのも、子供の頃に同じものを好きな友達同士で集まっているような感覚ですね。

喜馬 Facebookとの連動は最初から考えていたことなのですが、アメリカとかドイツとか国外でも同じように(良い意味で)バカなことをやっているという連帯感が生まれますよね。子供の頃の原体験を世界中で共有できるんです。

──ランキングとかも本格的ですよね。やっていることはアレなのに(笑)。ところで、スピードメーターは260km/hまでありますけど、本当に出せるんですか?

喜馬 工夫次第では出せます(笑)。僕はできませんけど。先ほどもちょっと話に出ましたが、例えば走っている助手席で使えば、もしかしたら出るかもしれませんね。サーキット走行するクルマに積んでおくとか。

──それはちょっと反則のような……。やっぱり自分の足で出さないと! このアプリは無料ですけど、有料にしなかったのはなぜでしょうか?

喜馬 企画としてはまだβ版みたいなものなので、これでお金をいただくということは考えていません。まずは楽しんでいただければ。有料か無料かという話はその先だと思っています。

──今後、86に限らずクルマのプロモーションでソーシャルな展開を考えていますか?

喜馬 スポーツカー好き同士が垣根を関係なく繋がれる、ということが念頭にありますので、それを活性化させるために、さまざまなコンテンツを揃えていきます。86だと「スポーツカーカルチャー構想」というプロモーションがあって、7つのカテゴリーに分かれています。

 例えば「峠カルチャー」というカテゴリーでは、「86 峠セレクション」という企画があります。全国のみなさんから峠の情報をいただいて、86個の峠をランク付けするんですが、現在はベースとなる86個の峠の精査をしているところですね。それを、Facebookなどのコミュニティーの中でアレがいい、コレがいいといったランキングを付けていただくと。これを年度ごとにランキングを出して更新し、紹介する峠を毎年入れ替えていくことを考えています。そのランキングを見て興味を持った峠に行き、そこで新しい仲間に出会ったりとか、一緒にドライブに行ったりとか、そのような広がりになってくれないかなと思っています。

 趣味の世界はなんでもそうだと思うんですけど、オーナー(ユーザー)同士の語り合いみたいなコミュニケーションは重要ですよね。クルマってプライベート空間なのが良いところでもあったんですけど、逆にそれがコミュニケーションを邪魔しちゃってたのかな。なので、みんなで開放して、もっと交われる空間を用意していきます。

──そのような空間ってこれまでユーザー主体で、サークルだったりオーナーズクラブだったり、ネットだと車種限定のファンサイトみたいなのがありますよね。それをメーカー主体でやるという意義を教えてください。

喜馬 まず、できあがっているところにあとからメーカーが入っていくのは避けたかった。メーカーが真ん中に立って、マニアックな人から興味はあるというカジュアルな人まで、このブランドが好きな人は全員集まれ! と声に出すことで、それまでこのようなコミュニティーに入りたいけど入れなかった人も気軽に集まれると思うんですよ。それでコミュニティーが盛り上がれば、メーカーがやった意味もあるんだと思います。

──先ほどの峠の話ですが、メーカー主導でやるとなると、どうしてもドリフトだとか改造車だとか、違法な部分が浮き彫りになってくると思うんですが、このあたりはどうお考えでしょうか?

喜馬 もちろん、峠での暴走行為はしてはいけないので、そこはしっかり啓蒙していきますし、それこそコミュニティーでみなさんで声をかけ合っていただくこともできますよね。峠は見て美しい、走って美しいという以外にも楽しみはあります。峠のレストハウスで飲むコーヒーだったり、景色の写真を撮影したり、仲間との交流だったり。峠への見え方もこれで変わってほしいという思いはあります。スポーツカー=交通事故が多いクルマ、というイメージも変えていきたいですね。

この2モデルは限定車。エアロがかなり“攻めた”ものになっている

──交通ルールを守って、スピードを出すならサーキットで、ですね。個人的には峠にWi-Fiスポットがあるとありがたいんですが。

喜馬 それはいいですね。Facebookにもチェックイン機能がありますし、ネット環境があれば全国の峠でどれだけチェックインできたのか、スタンプラリー的な遊びもできますしね。今後の課題として考えておきます(笑)。

──86とは関係ないことになってしまうのですが、ASCII.jpとしては絶対に外せない質問があるんです。北米トヨタでは初音ミクとコラボしていましたが、日本ではしないのでしょうか?

喜馬 初音ミクですか(笑)。北米トヨタは独自にやったので、日本と無関係といえば無関係なんですが、展開としてはアリですよね。SUPER GTではBMWとコラボしていますし、クルマ好きとミク好きの親和性は高いと思います。時期が来たら考えたいですね。最初から手を出すと節操ないと思われるでしょうし。

 そういえば、先日東京ドームでライブをやってましたよね。本当にすごい人気ですよね、初音ミクさんは。札幌のメーカーが作ったんですよね。

──あ、東京ドームではなく、隣のシティーホールです(旧・JCBホール)。なかなか詳しいですね(ここから一方的にミクについて語り出すので省略)。ミクさんと86のコラボ、超期待しています! それでは、最後に今後の展望を教えてください。

喜馬 実は86に関しては、TV広告などは一切打ちません。通常であればそうしたことに使うお金を、すべてソーシャル展開に回すくらいの覚悟でやっております。もちろん、TVの影響力は知っていますし、お金が潤沢にあるなら広告も打ちたいんですけど、今はとにかく86ファンのための場を作ることに尽力しております。

 売るための広告よりは、楽しんでもらうための施策に力を入れていきます。しばらくは、地道に展開していきますので、どうかよろしくお願いします。86のショップやグッズ、そして、2013年には86のワンメイクレースも予定しています。86オーナーはもちろんですが、クルマは買えないけど好きだという人も大歓迎ですので、みんなで盛り上がっていければと思います。

──ありがとうございました。トヨタ久々のスポーツカー「86」、楽しみにしています!

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