「OpenStreetMap」を元に実装した地図情報
問題は、先に挙げた地図パーツや位置情報データがどのような形で実装されているのかという点だ。その回答はシンプルで、OpenStreetMap Foundationが3月8日に「Welcome, Apple!」というエントリでアップルのOpenStreetMap採用を紹介している。
アップルからの公式声明こそないものの、OpenStreetMap Foundationによれば、アップルはiPhotoアプリで米国外の地図表示にOpenStreetMapのデータをベースにした独自の地図タイルを使用しているという。だが、使われているデータは2010年4月以降と若干古く、必要なクレジットも明記されていないとの注釈がある。これを示唆するレポートはWiredからも出されており、チリ/オーストリア/イタリアにおいて、Google MapsにはないがOpenStreetMapには存在する地図情報が確認できたということで、少なくとも一部地域でOpenStreetMapの使用が確認されているという。
アップルがどのような地図情報データベースを構築しているのか、詳細は不明だが、地図タイルの一部はOpenStreetMapを流用してアップルが独自のタイルパーツに書き換えたものであること、また少なくとも米国内はU.S. Census Bureau(米国国勢調査局)の通称「TIGER」(Topologically Integrated Geographic Encoding and Referencing)と呼ばれるデータベースを参考に住所情報の取得が行なわれていると考えられている。
GIS関連のBlogの指摘によれば、この地図情報の実装は現時点で不完全であり、あまり優れたものではないこと。地図データの古さや中途半端な実装から、アップルのシステムは正式ロールアウト前のベータ版的な扱いであり、iPhotoには仮のものが組み込まれているのではないと予想しているようだ。
実際、iPhotoにおける地図機能は、位置情報からの住所の割り出しと、その周辺地図の表示のみに限られており、地図検索やルート詮索などの機能は実装されていない。正直なところiPhotoではそこまでの機能は必要ないわけで、「まずはテスト」といった意味合いが強いのだろう。
なお、アップルがほかのサービスに対してどのような地図タイルを使っているかは、同じ地図が「Apple」「OpenStreetMap」「Google Maps」の3種類のサービスでどのように見えるかを比較するサービスが非公式で公開されている。それぞれ参照してみてほしい。
