開幕戦は予選から大荒れに荒れたレースに
いよいよ、SUPER GT 2012シーズンがここ岡山国際サーキットで始まった。今年の「GSR&Studie with TeamUKYO」はご存じの通り、初音ミクZ4とセガのProject Mirai Z4の2台体勢になった(関連記事)。以後、記事では0号車を“ミクZ4”、4号車を“Mirai Z4”と表記する。
特に読者が(筆者も)気になっているのは、合同テストでのクラッシュ(関連記事2)のため、満足に走れないまま本番当日がやってきてしまったMirai Z4のほうだろう。ちなみに、ライバルである痛車勢はすべてエントリーされている。#27 イカ娘フェラーリ、#2 エヴァンゲリオン紫電、#5 マッハGOGOGO458(マッハ先輩)。さらに去年ハルヒポルシェを走らせていたDIJONレーシングは、装いも新たに#48 音々コルベットとして挑み、ミクZ4とともに合計6台の痛車が岡山国際サーキットのグリッドに並ぶ。
もちろん、痛車以外のライバルとしてアウディ R8や、メルセデス・ベンツ SLS、最新型のポルシェにランボルギーニ、日本車ではスバルのBRZや日産 GT-R GT3、トヨタのプリウスといった変わり種まで、どれをとっても見どころしかないラインナップだ。
バラエティー豊かなGT300クラスの練習走行では、大方の予想通りポルシェとランボルギーニが際立つ速さを見せた。しかし、ここでベストタイムを出し、1位になったのは去年のミクZ4最大のライバル、#11 ゲイナーである。今年はアウディ R8にスイッチし、去年以上の執念でチャンピオン獲得を目指してくるだろう。田中哲也選手が「1'40.633」でトップタイムをマークし、練習走行は終了した。このときは雨だったのだが、さすが“雨のダンロップ”である。
一方、ミクZ4は10位、Mirai Z4は18位とミクチームは伸び悩んでいた。番場選手にこのときの状況を聞くと「セッティングが合わなくて、ちょっと乗り切れてなかった」とのこと。佐々木選手も「ちょっとリアが滑りやすくて……」と、まだ走行2回目のクルマに苦戦していたようだ。
ピットウォークを挟んで迎えたノックアウト予選。去年の実績を考えればミクZ4もMirai Z4も、ともに最後まで勝ち残れるハズだったが……。Mirai Z4は佐々木選手がQ1(一回目)をドライブするも、まったくタイムが出ず、なんと23位というここ数年でも一番悪い順位で、Q1すら通過できずに終わってしまった。
佐々木選手は「アウトラップでスピンしてしまったんですが、そこからまったくリズムに乗れず。気温が低かったのでタイヤもなかなか温まらないし、まったくいいところがないまま終わってしまって。せっかくたくさんの人が応援に来てくれたのに、スイマセン」とすっかり肩を落としていた。予選を一度も走れなかった番場選手は「これがまだ予選でよかったですよ。決勝だったら確実にヤバかった。決勝では後ろに数台しかいないので、オーバーテイクショーを見せられればいいな」と前向きだ。
実は、このQ1を通過できた痛車はミクZ4だけという悪夢のような出来事が起こってしまった。しかも、20位・イカ娘フェラーリ、21位・マッハ先輩458、22位・音々コルベット、23位・Mirai Z4、24位・エヴァ紫電と、痛車が下位でストレートフラッシュという非常に苦しい状況だ。Mirai Z4はもちろんだが、ほかの痛車勢にも決勝での巻き返しを期待したい。
さて、唯一勝ち残ったミクZ4だが、Q2(2回目)は片岡龍也選手がドライブする(ノックアウト予選は同じドライバーが続けて走れないルールのため)。Q2が始まる前に、空は晴れているのに雹が降ったり、大雨→晴れ→大雨→晴れと天候がめまぐるしく変わっていた。これにはドライバーだけでなく、応援に来た観客席のみなさんも苦行を強いられることとなった(雪ミクさん、荒ぶり過ぎ!)。
片岡選手は最初インターミディエイト(浅溝)のタイヤでスタートしたが、路面が乾きつつあったのでスリックに交換し、再びタイムアタック。なんと「1'31.167」というタイムで一時トップに立つ。しかし、ギリギリで#33 ハンコックポルシェがこのタイムを上回り、結局2位でQ2を通過したのだった。好成績をマークした片岡選手だったが「細かくミスがあったので、自己評価するなら90点の成績ですね」と、なかなか厳しく自己分析していた。
Q3(3回目)に進出したミクZ4をドライブするのは谷口選手。なお、このQ3にはR8、SLS、BRZ、GT-R、そしてなんとプリウスという今年投入された新型車がことごとく勝ち残っており、それらニューマシンのポテンシャルの高さを物語っていた。谷口選手は果敢にアタックをし、「1'30.043」というタイムを出すものの、他のライバルたちは29秒台に6台もひしめき合うハイレベルなタイムアタックを展開。その中で一歩抜きん出たのが、#911 タイサンポルシェだった。ドライバーの横溝直輝選手は、岡山国際サーキットのコースレコードを塗り替える「1'28.975」を叩き出し、文句ナシのポールポジションを獲得した。結果、ミクZ4は7位。4月1日の決勝は7番手グリッドからスタートする。
谷口選手は「今年の勢力図が見えた予選順位でしたね。われわれもまだ大きいとはいえ、リストリクターを絞られて、最高速度が5km/hは落ちてます。直線ではランボやポルシェと戦うのがキツイですね。ベストラップで1秒以上違うし。ただ、まだどのチームもドライタイヤでロング(長時間)を走ってないので、どうなるかわかりません。われわれはそこに付け入るために、アベレージラップを高くして、しぶといレースをしていきます」
まさかプリウスの後塵を拝してしまうとは残念だが、谷口選手と片岡選手ならきっと表彰台に立つレーシングミクさんを見せてくれることだろう。加えて、Mirai Z4のオーバーテイクショーも決勝での見どころだ。
決勝日は現地で、あるいはパブリックビューイング(グッスマカフェ&グッ鉄カフェ&LMP CARSなど)で観戦しつつ、Twitterでもミクチーム(と痛車チームの仲間たち)を応援しよう!
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