それに対してJINS PCはシンプルだ。メガネ店チェーンとしてのJINSとZoffは似たような業態だが、PC対応メガネの売り方は対照的である。JINS PCは度なしの製品が「パッケージ入り」で店頭販売されているのだ。カラーは16種類あり、その中から選べるようになっている。その代わり、度をつけたりフレームの形を変える、といったことはできない。他方で価格は3990円と、ぐっと安い。
メガネを常用する人からすると「なんで度付きじゃないの?」と思うが、この販売形態ならば、メガネをかけない人(メガネ店でメガネの注文をした経験がない人)でも、あまり躊躇することなく買える。店頭にぶら下がったパッケージを持ってレジにいきさえすれば買えるのだ。
また、日頃コンタクトをしている人ならば、JINS PCをかけることで、コンタクトをしたままPC対応ができる、というメリットもある。
こうした違いを見ると、メガネ使いのシンプルな要望に答えているのがZoff PCで、メガネは普段かけていない人への浸透を狙ったのがJINS PC、という言い方もできるだろう。JINSはこの種の「度なし・機能付き」のメガネを「機能性アイウエア」と呼んでおり、JINS PCもそのひとつである。
青い光をカット
茶色強めの「Zoff」と薄めの「JINS」
そもそもこれらの「PC対応レンズ」を使ったメガネの仕組みは、どうなっているのだろうか? 実際のところ、JINS PCもZoff PCも、同じような仕組みである。
液晶ディスプレーからは、さまざまな波長の光がでている。中でも目の疲れに影響していると言われるのが、紫外線から可視光の青の領域の光であるという。そこで、メガネにフィルターをかけてこの部分の光を減らし、目への負担を軽減しよう、というのがこれらのレンズの仕組みだ。なんのことはない、ようはサングラスと同じである。
実際のところ、大昔から「パソコン用サングラス」的なものはあった。筆者が記憶する限りでも、20年前くらいにはパソコン雑誌の広告(後ろのモノクロの部分だ。ああ、懐かしい)にあった。
それらと最新のPC対応レンズが異なるのは、どうやらLEDバックライトの普及にあるようだ。これらのレンズでは、LEDバックライトから特に多く出る、紫外線から可視光の青の領域をカットすることで、より目への負担を軽減しよう……というのが狙いである。
青の領域を弱くするという考え方から、JINS PCもZoff PCも、レンズはブラウンがかったものになっている。外から見れば「ブラウンのカラーレンズ」に見えるだろう。だがそこに、JINS PCとZoff PCの最大の違いがある。
写真で見れば一目瞭然。JINS PCはかなり薄め(なんとなくわかる程度の)ブラウンであるのに対し、Zoff PCははっきりと「ブラウンのカラーレンズ」に見える。前者は外出時にかけていてもそう違和感はないが、Zoff PCは「あ、カラーレンズだ」と誰の目にもわかるくらいの違いがある。