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Western Digitalの「WD Caviar Green」でデータ保存に余裕のあるパソコンライフを

タイ洪水を乗り越え、HDDは進化する

2012年03月30日 14時00分更新

文● 二瓶 朗、ASCII.jp編集部、写真●小林 伸、機材協力●ウエスタンデジタル

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「WD Caviar Green」を例に取りながら
データ保存に適したHDDの条件を考える

 後半では取材中にも売れ筋モデルとして紹介されたウエスタンデジタルのWD Caviar Greenを紹介しながら、データ保存に活用するのに最適な“この春のHDD”を選ぶ条件について考えていこう。

 店頭でも売れ筋というコメントをいただいたウエスタンデジタルのHDD製品。製品について詳しく調べると確かに「これぞ買い得!」と思えるポイントがいくつかある。ここでは同社HDDとしてはボリュームゾーンを担うWD Caviar Greenの特長について見ていこう。

WD Caviar Greenシリーズにはさまざまな容量が用意されている。写真は1TBモデル

 ポイントの1つ目は安心感。ウエスタンデジタルは、言うまでもなく世界最大のHDDメーカー。同社のHDDはPCメーカーや周辺機器メーカー、ハードディスクレコーダー、MFPなどにも幅広くOEM提供されており、ある意味世界のスタンダードブランドと言えるだろう。

 WD Caviar Greenシリーズのリテールパッケージには代理店による2年保証が付いており、1年保証中心の他社製品に比べて長めである。駆動部品が多いHDDはその分だけ故障の危険性もはらんでいるので、こうした配慮はうれしい。

 2つ目は豊富なラインアップと価格のバランス。主流となる1TB以上だけで見てもWD Caviar Greenには、1TB~3TBまで500GB刻みに容量が選べる。1~2TBモデルの実勢価格は近付いてきており、メリットがあるのは2TBモデルだと考えるが、容量の選択肢が豊富であればそのぶんだけ、予算の自由度も高まる。

 WD Caviar Greenは内蔵HDDの定番モデルのひとつであり、価格もこなれている。

 すでに書いたように、2TBの店頭価格は1万円を切る程度で、1GBあたりの価格は5円を切る。大容量の動画や写真ファイルを保存するデータトライブを選ぶ際にはやはり高容量にこだわりたいので、少しでも安く買えるならそれに超したことはないと考えるユーザーが多いだろう。ここは同じメーカーの中で、どの容量を選ぶかという場合にも重要となる。

 3つ目が“エコとパフォーマンス”の両立。昨今の節電ムーブメントに従うなら、HDDにもやはり低消費電力、低発熱モデルを選びたいもの。後述するようにOSやアプリケーションをインストールする起動ディスクではなく、データディスクやセカンドドライブとして活用するのであれば、性能よりも省電力、低発熱、静穏性といった部分にもこだわりたい。

Greenという言葉が示すように、ウエスタンデジタルのラインアップの中でも、グリーン性能やエコに配慮したモデルであることが分かる

 エコを実現するために、WD Caviar Greenには“IntelliSeek”“IntelliPower”という調整機能が搭載されている。IntelliSeekはシーク速度、IntelliPowerはディスクの回転速度/キャッシュアルゴリズム/転送速度を調整するものとなる。常にフルパワーで動くのではなく、実用上問題ない範囲でHDDの駆動速度を調整し、電力消費の低減や振動、騒音などを低減する。

WD Caviar Green 2TBモデル(WD20EARX)の主なスペック
容量 2TB
インターフェース SATA(6Gbps対応)
キャッシュ容量 64MB
回転速度 IntelliPowerにより選択
消費電力 リード/ライト時 5.3W
アイドル時 3.3W
スタンバイ/スリープ時 0.7W
重量 約640g

 なお、WD Caviar Greenシリーズの回転数は、このIntelliPowerの機能があるため、実質的には公開されていない。

 一般的にはパフォーマンス重視の考え方で、マニアほどベンチマーク結果のいいドライブを選択しがちだが、現実的なPCの利用環境を考えるとそれがすべてではない。家庭で深夜に作業する際に不快な音は極力避けたいし、複数台のHDDを内蔵して利用するなら少しでも消費電力が低く、発熱も少ないほうがいい。誌面上では中々表現しにくい部分でもあるのだが、データの保管庫としてHDDを見るなら、グリーン性能こそ重視したいポイントではないだろうか。

 WD Caviar Greenは決して、性能に妥協した製品ではない。容量、価格、エコといった部分を強調したとしても極端にパフォーマンスが低いというのでは、やはりストレスがたまる。とはいえ、以下のベンチマークテストのとおりパフォーマンスは十分だろう。低発熱であることを考えると、寿命の長さにも期待できそうだ。

WD Caviar Greenの性能を知る

 WD Caviar Green 2TBモデル(WD20EARX)のベンチマークテスト。定番ベンチマーク「CrystalDiskMark 3.0.1」と「HD Tune 2.55」で計測した。参考比較対象として、WD Caviar Greenの旧モデル(サイズは1TB/WD10EADS)も同一ベンチマークで計測した。

CrystalDiskMarkの結果を見ると、シーケンシャルリードはWD20EARXが113.6MB/秒。WD10EADSの54.24MB/秒より倍以上のパフォーマンスを叩き出していることがわかる。右がWD20EARX、左がWD10EADS

HD Tuneの結果からも、転送速度やアクセスタイムなどの数値が、WD20EARXを確実に上回っていることがよくわかる。同じく右がWD20EARX、左がWD10EADS

 最後にタイ洪水による供給危機を乗り切った現在では、市場在庫もおおむね潤沢であることも付け加えておく。

6Gbps対応のSeral ATA端子などを装備する

用途を明確にすれば、選ぶHDDはおのずと見えてくる

 増大するデータのためにパソコンのHDD容量が足りなくなったら、メインのHDDを換装したり、データ用にセカンドHDDを搭載したりすることをオススメしたい。デスクトップ型パソコン(特にタワー筐体のパソコン)を使っているなら、内部ドライブベイを余らせておくのはもったいない。システムHDDを換装するよりもはるかにカンタンなのだから、ぜひセカンドHDDの追加を考えるべきだ。

 また、ノート型パソコンを使っていたり、増設するスペースがないデスクトップ型パソコン(例えば液晶一体型パソコン)を使っている人にも、外付けHDDという解決策がある。当初から外付けHDD製品として発売されているものもあるが、内蔵HDD向けに販売されているHDDを、ちょっとした自作作業で外付けドライブとして利用できるHDDケースやクレードルといったものも販売されている。

 こうしたセカンドHDDを用意して、ある程度の保存容量を確保できたら、さまざまなデータを保存する以外にも、決して失うわけにはいかない重要なデータを保存するバックアップ先として活用したい。といっても面倒な操作はナシで、日々のバックアップならデータをセカンドHDDにコピーしておくだけで十分安心感を確保できるだろう。

 日々パソコンを使っていると、いつの間にか内蔵HDDがデータで一杯になっているのもの。例えば、フルHD放送されているBSデジタル番組をフルレート(24Mbps)で録画すると、2時間で20GBを超えてしまう計算だ。90時間ほど録画すれば、1TBのHDDがすぐにいっぱいになってしまう。60分のドラマを1クール(10本前後)録画しても、150GBはカタい。

 さらに、激しく高画質化が進んでいるデジタルカメラで撮影した静止画の容量も侮れない。OLYMPUS「PEN EP-1」のRAWモードで撮影すると、写真1枚のデータ容量は約14MBとなる。気軽にパシャパシャと撮影すれば、100枚程度はすぐに撮ってしまうものだけど、それだけでざっと1.5GBもの容量が必要となる。

 たとえRAWではなくJPEGで保存したとしても、最高画質を保つなら容量は半分程度にまでしか圧縮できない。最近ではSDメモリーカードなども大容量化しているため、意識しにくいが、気付けば旅行などで8GB、16GBといった容量いっぱいまで撮ってしまうケースは多いもの。

 デジタル音楽フリークにとっても、楽曲データのサイズ増大は見過ごせない。気付けば200枚、300枚といったCDを手にしているという人は少なくないはず。これを例えばiTunesのApple Lossless形式(ALAC)で高音質のまま保存しようとすると、あっという間に100GBなんて超えてしまうものだ。最近では24bit/96kHzなど高音質の音楽配信もあり、CD品質に比べて3~4倍の容量になる。

主なデータの容量
データの種類 基準となるサイズ 100GBに保存できる量
デジタルカメラ
(1230万画素RAW)
14MB/枚 7314枚
テレビ録画
(BSデジタル放送)
約21GB/2時間 9.6時間
CD収録の音楽
(WAV形式)
最大700MB/枚(80分) 195時間

 気がつけばパソコンが手狭で使いにくくなっているなんてことは良くあること。必要な時に重要なデータをバックアップするスペースすら残っていない! なんて事態に陥ることもある。

ふと思い立って自分のコンピュータを調べたら! HDDがいっぱいになっていて驚愕することも! そうなったらセカンドHDDを追加

 もちろんHDDそのものも常に進化を続けている。WD Caviarシリーズにも、1TBプラッターの製品が追加され、さらなる高容量化と高速化が実現されていくのは間違いないところ。また、6Gbps対応のSATAなどインターフェースの改善も進んでいる。つまい高容量で高速なHDDに、自分のお気に入りのデータをドンドン保存できる時代がさらに進んでいくのだ。

 HDD市場のニュースとしては、ウエスタンデジタルがHGST(日立グローバルストレージテクノロジーズ)の買収を完了し、特に3.5インチではシーゲイト・テクノロジーとの二強時代に突入した点も忘れてはいけない。HGSTのはHDDは、世界で初めてハードディスクを実用化したとされるIBMの伝統を継承するメーカーで根強いファン層がいる。

 日々増大するデータでパソコンが手狭になってきたと感じたら、そろそろセカンドHDDの購入に踏み切ってもいいタイミングだろう。売れ筋のHDDはネットなどでの口コミ情報も多く、活用法やトラブルシュートなどに有効活用できる可能性も高い。そういう意味でも、ウエスタンデジタルのWD Caviar Greenは、まず考えたい選択肢のひとつに入ってくるのではないだろうか。

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