Western Digitalの「WD Caviar Green」でデータ保存に余裕のあるパソコンライフを
タイ洪水を乗り越え、HDDは進化する
2012年03月30日 14時00分更新
タイの洪水で品薄が続いたHDD、その現状はどうなっている?
2011年10月にタイで発生した大洪水はIT業界に少なからぬ打撃を与えた。アユタヤ地区には、PC/IT機器やデジタル家電の生産にとって重要な工場が多数存在するというが、特に大きな影響が出たものにハードディスク(HDD)の生産がある。世界のHDDの1/4がタイで生産されているという調査もあるほど。
タイには世界のHDD市場を2分する米ウエスタンデジタルと米シーゲイト・テクノロジーがともに大規模な工場を持っているほか、磁気ヘッドやモーターなどHDD生産の核となる部品を生産する日本の企業の工場も集中している。単にタイでHDDが生産できないだけでなく、HDDそのものの部品不足という問題も発生し、世界的な品薄状態が発生した。
秋葉原でも流通在庫が減少した10月末から徐々にHDDの市場価格が高騰し、11月半ばにはそれ以前の最安値と比較して、一気に2~3倍の価格となるケースも散見された。内蔵用のドライブだけでなくそれを使った周辺機器メーカーの外付けHDDの値段も上がり、年末に自作したり、増えたデータのバックアップを考えていたユーザーにとってHDDを買いにくい状況が発生してしまった面もあっただろう。
とはいえ年明けにはそれも緩和。(2.5インチの大容量モデルなど一部を除いて)HDDそのものの供給は安定傾向になった。価格も緩やかな下降傾向を示しており、洪水から半年が過ぎた現在(2012年3月末)では、2TBの売れ筋モデルが1万円を切る程度で落ち着いており、3TBを超す製品も市場に潤沢に出回っている。価格はもちろん、商品の在庫やモデルの選択肢という面でも申し分ない状況である。
つまり昨年の秋以降、HDDを買うチャンスを失してしまったユーザーにとって、そろそろHDDの購入を検討してみてはどうか。
アキバ店員に聞く、悩んだ時こそが買い時!
ここではそんなHDD市場が“いまどんな状況”にあるのか、毎日のように価格推移を眺め、顧客の生の声を聞いているショップ店員の方に聞く。その上でHDDを購入する上でベストな容量や価格帯、注目の機種の性能検証をしていくことにする。
まずは編集部の取材に応じてくれた、ソフマップ秋葉原本館・周辺機器担当の宮田 将さんに、同店の6階の周辺機器コーナーでの状況などを聞いた。
店頭でのHDDの販売状況について宮田氏は、以下のように語る。
宮田 「タイ洪水の影響も徐々に薄れてきており、価格も以前のレベルに戻りつつあります。HDD製品の購入を検討されるお客様の数も増えていますね。
“内蔵型”“外付け型”ともに容量2TBの製品が多く出ていて売れ筋となっています。目的としては、動画の保存やシステム/データのバックアップ先として、大容量HDDのメリットを活かしたいと考えているお客様が多いようです。
HDDを買い控えている間でも、保存すべきデータは常に増え続けているはずですから、折を見て増設をご検討いただくことをお勧めします」
内蔵型では、ウエスタンデジタルの「WD Caviar Green」シリーズがよく売れているという。タイ洪水の影響を特に強く受け、一時期は出荷数も大幅に減ったとされる同社のHDDだが、秋葉原の状況を見る限りでは製品供給も潤沢で問題がなさそうだ。
外付け型でもウエスタンデジタルの「My Book Essential 2TBモデル」(WDBACW0020HBK-JESNK)が、USB 3.0対応や3年補償などといった特徴も備えており人気だという。価格と容量のバランスを考えた場合、現在もっともコストパフォーマンスが高いのが2TBモデルになることもあり、人気の一因となっている。
WD Caviar Greenシリーズの参考バイト単価 (3月27日時点の秋葉原販売価格を元に推定) |
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容量 | 3TB | 2TB | 1.5TB | 1TB |
参考価格 | 1万5000円 | 1万円 | 8800円 | 8400円 |
1GB単価 | 4.9円 | 4.9円 | 5.7円 | 8.2円 |
WD Caviar Greenは最大3TBが選べる。容量のバリエーションが豊富でユーザーのニーズに広く対応できる点が受けているという。容量とコストのバランスが取れているため、人気が高いのは2TBモデルだという。
WD Caviar Greenシリーズの取材時点での価格は2TBの「WD20EARX」で9980円、3TBの「WD30EZRX」で1万4980円。1.5TBの「WD15EARX」は8280円なので、確かにユーザーの関心が2TBモデルに向かうのは分かる。
宮田 「HDDの価格がタイ洪水前のレベル、あるいはさらに安価な水準になるかどうか、正確な時期を予想するのは正直難しいと思います。まだ様子見と考えるお客様も少なくはないでしょうが、(データは増え続けるため)必要なときに必要なニーズを満たしてくれるHDDをご購入いただくのがいいかと思います」
今後は製品そのもののモデルチェンジが進み、ドライブ自体の性能やインターフェースでは進化を続けていくだろう。また1TBプラッターの製品の普及が進めば、大容量でデータ転送速度も速い製品がより身近になる。特に外付け製品では、「USB 3.0やThunderboltといった新規インターフェイスを搭載する製品が増え、市場を広げていくのではないでしょうか」と宮田氏も話す。
一方で店頭ではセット販売している外付けケースとともに内蔵ドライブを購入していくユーザーも多いという。内蔵型ドライブはパソコン本体に内蔵する以外にもこうした応用が可能だ。またOSなどを入れるのではなく、単純なデータの保存先として考えるなら性能よりも容量と価格のバランスで最適な製品を選ぶという選択もありうるだろう。