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海上自衛隊の最新護衛艦「いせ」の内部を大公開!

2012年03月21日 18時00分更新

文● 中村信博

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ついに飛行甲板に上陸!

 この艦がヘリ空母ではなく「はるな」型の後継DDHであることは、その充実した個艦戦闘装備にも表れている。艦後部にESSM艦対空ミサイルとアスロック対潜ミサイルを発射可能な垂直発射システム(VLS)16セルを持ち、3連装短魚雷発射管を両舷に1基ずつ装備。さらに艦前後には、対空用の高性能20mm機関砲(CIWS)を合計2基装備している。

 同種の艦としては冷戦期の旧ソ連キエフ級航空巡洋艦が挙げられるが、いずれにしてもヘリ空母というには異例なほどの重武装艦なのだ。むしろ次に予定されている、個艦装備を簡略化してさらにヘリ運用能力を引き上げた22DDH(2012年建造開始)のほうが、ヘリ空母というイメージにしっくりくるかもしれない。

いよいよ昇降機に乗って飛行甲板へ。安全を確認後、まずはワイヤーガードがせり上がる

昇降機は約60秒で上昇する。飛行甲板に到着すると、一度甲板から10cmほど高く浮かび上がり、ロックがかかった後で甲板と同じ高さに降ろされる。左写真中央にある金色のものがロック機構だ。ふたたび格納庫に降りていった昇降機を見下ろすと、その圧倒的な巨大さがわかる

広大な飛行甲板。「ひゅうが」型は左舷側に4つの発着スポットを持ち、同時に3機のヘリの発着が可能。なお、甲板上に塗られたアンチスキッドは米空母のものと同じだが、「ひゅうが」型でV/STOL機などの固定翼機の運用は考えられていない

ステルス性を考慮した艦橋構造物。前後対称の形状となっていて、前部は航海艦橋、後部は飛行指揮所となっている。艦橋上部には新型の艦載対空戦闘システム「FCS-3」のフェイズド・アレイ・アンテナを、実戦艦として初めて装備

こちらは前部の航海艦橋。すぐ後部には海図室があり、電子化された海図のほかに予備として従来の紙の海図も保管されている。ちなみにこの時説明してくれたのは女性自衛官(WAVE)で、「ひゅうが」型では海自で初めて女性用区画が設けられ、17名ほどのWAVEが勤務しているという

艦橋に掲げられたイラストには、艦名の由来になった日本海軍の航空戦艦「伊勢」の姿が

後部の飛行指揮所。周辺空域の管制を行なうため、地方空港とほぼ同等の装備がある

飛行甲板前端と船体後部左舷側に設けられたスポンソン上に、それぞれ高性能20mm機関砲(CIWS)を装備している

飛行甲板右舷後部には「Mk.41 VLS」を16セル装備している。内部にはESSM(発展型シースパロー)艦対空ミサイル、および07式垂直発射魚雷投射ロケット(新アスロック対潜ミサイル)の2種類のミサイルが収められており、ESSMなら1セルあたり4発を搭載可能

こちらは最下部の弾薬庫に繋がるヘリ弾薬用エレベーター。その位置は医務室の最寄りにあるため、災害時には負傷者移送用にも使えるようストレッチャーが乗せられるサイズとなっている

不審船対策用として、艦の四方に合計7基の12.7mmM2重機関銃を装備している

艦の両舷には、敵ミサイルを欺瞞するためのMk.137チャフ/フレア発射機を4基搭載

「HOS-303」3連装短魚雷発射管が艦後部両舷に装備されており、新型対潜魚雷の97式短魚雷が収められる

艦の全体がステルス性を考慮して設計されており、ライフラクト(救命筏)が収められたポッドの側面にも、レーダー波を逸らせる特殊な角度で反射板が取り付けられている

※本文中の用語に誤りがありましたので、訂正してお詫びいたします。

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