「TIGER & BUNNY」は女性が観ていた
―― タイバニは、女性には向けていなかったんですか。
丸山 男性だけでなく、女性も応援してくれるというのは、企画された段階では自分はわからなかったんですよ。僕は想定できてなかったですね。一緒に制作している方々の中には、女性ファンも支持してくれそうだと確信している方もいたかもしれないんですけど、自分は企画書段階で言うと、男性を中心に支持してもらえる作品かなと思ってたんです。でも、フタを開けてみたら女性の方の反響が大きかった。
タイバニのときに僕が組んだ編成は、関西のタイムテーブルなんですけど、タイバニ、「DOG DAYS」、「よんでますよ、アザゼルさん」で、一番下が「灼眼のシャナ」の再放送。男子向け・男子、女子・男子という風に組んだつもりでした。フタを開けてみたら、女子・男子、女子・男子みたいになっていたという。
―― “食わず嫌い”を味わってもらった形になったわけですね。
丸山 そうですね。タイバニの場合は完全に“結果的に”、でしたけれども。編成で異なるジャンルを交互に入れていくのは、男女だけじゃなくて、ジャンルもですね。「メカもの」と「恋愛もの」では毛色が全然違うけど、そういうものもわざと枠の中で混合してみたり。あまり近い作風のものが並ぶよりは、バラバラのほうができればいいかなと思っていて。
……でも正直言うと、そもそもこちらが男性向け、女性向けと決めること自体が、実は不遜な話だと思うんです。誰が観ても面白くなる可能性ってあると思うので。「この層にこのジャンルをぶつける」と送り手が決めこんだ瞬間に作品の可能性をせばめてしまうと思ってます。僕はテレビの人間として、男性にも女性にも、若い人にも年配の方にも、もしかしたら誰にでも“刺さる”かもしれないと思って送り出さなければと感じてます。
作品はあまりターゲットを決めないほうがいい。見る方の好みを勝手に決め込まない、ターゲットを決め込まない方が、化学反応が生まれやすいことはあると思います。
―― 化学反応ですか。
丸山 はい。アニメに限らず。だから編成も、アニメに限らずいろんなジャンルを分けないでわざと交ぜてます。バラエティの下にアニメを挟んで編成したり。たとえばバラエティーを見ている人がいて、「あはは、芸人さん面白いな」なんて言っていて、眠らなくて、たまたまそのまま観始めて、「お、面白い」となったらアニメの第一歩だと思うんですよね。来週もそのバラエティーのあとにアニメを見始めたりするじゃないですか。
編成のラインナップを決めるときも、僕とか担当者の好みばかりで選んでいると絶対狭くなるんですよ。局の色ってMBSとしてはまったくいらなくて、雑色のほうがいいんですよね。色がもう雑多にあって、MBSってやっている作品の方向性はよくわからんとか、節操がないとか言われたほうがいいんですよ、むしろ。
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