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『ビッグデータ革命』の著者に聞く 第1回

分析する意味とは? リアル店舗でもネットの解析が必要になる理由は?

なぜビッグデータが注目されるのか、素朴な疑問に答える

2012年03月10日 09時00分更新

文● 柿木彰/野村総合研究所 ビジネスインテリジェンス事業部長
聞き手●桶谷仁志

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「枠組み」は何に活用するかがわかって初めて役に立つ

 私たちが『ビッグデータ革命』の読者として想定しているのは、第1にITベンダーの皆さんです。

 多くのITベンダーさんが、2011年までに、ビッグデータビジネスのためのプラットフォームを作り、提供する体制を整えています。ただ、プラットフォームだけでは、具体的なビジネスにはつながりにくいというのが現状ではないでしょうか。

 前述した「ビッグデータは不連続ではない」という認識の下で、企業のデータ分析に取り組んだ実績、ノウハウを持つ、私たちをはじめとしたコンサルティング企業と一緒になって、プラットフォームの活かし方を提案していくことが大事なのではないでしょうか。プラットフォームの強みと、データ分析におけるコンサルティングの強みがともに発揮されてこそ、ビッグデータビジネスのための相乗効果が生まれます。

 『ビッグデータ革命』には、その観点で読んでいただける事例がちりばめられています。

成果の道筋すら見えてこない=そんなの当たり前

 第2の読者は、ビッグデータに関心を持つ、一般のビジネスパーソンです。その方たちには、まず第1章の「ビッグデータとか何か」を読んで、ビッグデータの概要をつかんでいただきたいと思います。

 この章では、ビッグデータとビッグデータビジネスに関して、私たちなりの定義をさせていただきました。当社はコンサルティングとシステム構築の両面に強みを持っていますから、その立ち位置から、公平な立場で、ビッグデータを定義し、事例を紹介しています。一般のビジネスパーソンならば、第1章を読んでいただくだけでも、ビッグデータに関する必要十分な知識を得ることができるはずです。

 第3に想定される読者は、今まさに、ビッグデータビジネスに取り組んでおられる企業のご担当者です。いくら考えても、現状では成果を挙げるための道筋さえ見えてこないというケースも多いのではないでしょうか。私たちは、そのような方々に心から共感します。

 というのも、第2章、第3章、さらに第4章を読んでいただければわかるように、私たち自身が長く、いまで言う“ビッグデータの世界”で試行錯誤を繰り返してきたからです。

 データの分析によって、事業の付加価値を発見するというのは、そう簡単なことではありませんし、地道な作業の積み重ねも必要です。こうした私たちの過去の経験を踏まえて、一緒に考えてみませんか、というのが、本書『ビッグデータ革命』で伝えたいメッセージの一つです。

 私たちは過去に、ビジネスインテリジェンスという分野だけでも約10年、コンサルティングの歴史を含めて考えれば、さまざまな分析の業務を数十年にわたって手がけてきています。おかげで、数多くのコンサルタントが、産業別に、あらゆる分野に配置されています。私たちとの協業によって、そうしたコンサルタントとともに、ビッグデータビジネスという切り口で考え、試行錯誤することが可能だと思います。

位置情報(=スマホ)とデータ処理(=クラウド)が未来を切り開く

 野村総合研究所が自主的に、具体的に、すぐに始められることの一つが位置情報を使ったビジネスと、テキストマイニングの技術を使ったビジネスです。私たちの持つ技術と、読者が持つビジネス価値を掛け合わせることで、まったく新しいビジネスモデルが誕生するかもしれません。そんなビッグデータビジネスのダイナミズムを、本書を読むことで、まずはシミュレーションしてみてください。

 将来的に、顧客接点のビッグデータビジネスのキーテクノロジーは、位置情報とテキストデータの分析だと見ています。デバイスとしてはスマートフォン、データ処理の場所はクラウドです。スマートフォンとクラウドの間にあって、分析に値する主なデータは、位置情報とテキストであり、この2つから、未来を切り開くビジネスモデルが生まれて来ると思われます。

 もっとも、従来から分析対象になっている数値データもやはり重要です。数値データやWebアクセスログと位置情報、テキスト分析を掛け合わせた総合的な分析がさらに盛んになってくるはずです。

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