上級機との差はどれだけあるのか?
基本画質をチェック
ここからは、前回と同じシチュエーションで撮影した映像で、基本的な画質をチェックしていく。
基本的には、ミドルクラスモデルと前回紹介したハイエンドモデルの撮影映像を並べて掲載しているが、ソニーのみ上位機種が同タイミングで撮影できなかったため、ここでは上位機種の画像は掲載していない。
結論を言ってしまうと、やはり全体的に精細感が甘くなる傾向になる。こればかりは価格を考えると仕方のない部分だが、少々物足りなさも感じる。
まず、キヤノンのHF R31は細部のディテールが甘いが、中央付近の木々や建物はくっきりと再現し、甘さを感じさせない映像に仕上げている。パナソニックのV300Mも同様で、やや強調感はあるものメリハリの効いた画質と言える。
一方でソニーのCX270の場合、精細感の甘さを感じるが、無理にエッジを立てるような画作りをせず、ストレートな画質だ。
個人的な感覚としては、光学性能に差のあるこのクラスのモデルならば、多少のメリハリの強調などの演出をした方が大画面テレビで見たときの満足度は高いと思う。やりすぎるのは禁物だが……。
JVCケンウッドのGZ-VX770は解像感がかなり高く、明らかに1クラス上の実力だ。ガラス屋根の建物もディテール感がリアルで映像にぐっと実物感が出てくる。問題は空の青さが強調されすぎている印象で、やや人工的な画になっているのが惜しい。
原色に近い色に対してより彩度を高めている感じで、パっと見るときれいなのだが、不自然さもつきまとってしまう。
各社微妙に異なる色彩の違い
スタジオで撮影した花の映像では、精細感などではあまり不満はなく、特に色再現の違いが際立った。いずれも各社の上位モデルに近い色再現の傾向になるが、じっくりと見比べると微妙な差があって面白い。
キヤノン HF R31 と上位機種(HF M52)
パナソニック V300Mと上位機種(HC-X900M)
JVCケンウッド GZ-VX770と上位機種(GZ-G5)
ソニー CX270
ソニーのCX270は鮮やかな色もしっかりと出ているが、やや影の落ちた暗い赤色など、暗色や色の深みがよく出ており、生々しい再現になる。キヤノンのHF R31も同じ傾向で忠実度の高い再現だが、赤色はわずかにピンクに寄せて少し華やかな印象にしている。濃いめの色では色にじみが出た点が気になった。
パナソニックのV300Mは、3MOSの上位機に迫る階調感の豊かな色を再現できていた。ややディテール感は不足した表現になっているのが惜しい点。
JVCケンウッドのGZ-VX770は、上位機でも気になった色温度の高さが本機でも見られた。テレビで見ているような明るく鮮やかな感じではあるのだが、忠実度という点では多少違和感を感じてしまう。
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