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「まるでロケ番組」のような行楽風景が撮れる進化した最新ビデオカメラたち 第2回

今やズームは50倍超! 侮れないコンパクトモデルの実力

2012年03月06日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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上級機との差はどれだけあるのか?
基本画質をチェック

 ここからは、前回と同じシチュエーションで撮影した映像で、基本的な画質をチェックしていく。

 基本的には、ミドルクラスモデルと前回紹介したハイエンドモデルの撮影映像を並べて掲載しているが、ソニーのみ上位機種が同タイミングで撮影できなかったため、ここでは上位機種の画像は掲載していない。

 結論を言ってしまうと、やはり全体的に精細感が甘くなる傾向になる。こればかりは価格を考えると仕方のない部分だが、少々物足りなさも感じる。

キヤノン HF R31(左)と上位機種の「HF M52」(右)で撮った日中の映像。R31は細部のディテールこそやや甘くなっているが、くっきりとした見通しの良い映像。空の青さの階調感もスムーズだ

パナソニックのV300M(左)と上位機種の「HC-X900M」(右)で撮った映像。V300Mはくっきりと輪郭を立たせる画作りで、やや太書きではあるが甘さは感じにくい。色再現はやや控えめ

JVCケンウッドのGZ-VX770(左)と上位機種の「GZ-G5」で撮った映像。周辺でやや甘さを感じるが、全体的にかなり高精細、ディテール感もかなりよく出ている

ソニー「CX270」で撮った映像。精細感が不足しているほか、色の鮮やかさもやや大人しくなってしまっている。空の青さは比較的しっかりと出ている

ソニー「CX270」で撮った映像。精細感が不足しているほか、色の鮮やかさもやや大人しくなってしまっている。空の青さは比較的しっかりと出ている

 まず、キヤノンのHF R31は細部のディテールが甘いが、中央付近の木々や建物はくっきりと再現し、甘さを感じさせない映像に仕上げている。パナソニックのV300Mも同様で、やや強調感はあるものメリハリの効いた画質と言える。

 一方でソニーのCX270の場合、精細感の甘さを感じるが、無理にエッジを立てるような画作りをせず、ストレートな画質だ。

 個人的な感覚としては、光学性能に差のあるこのクラスのモデルならば、多少のメリハリの強調などの演出をした方が大画面テレビで見たときの満足度は高いと思う。やりすぎるのは禁物だが……。

 JVCケンウッドのGZ-VX770は解像感がかなり高く、明らかに1クラス上の実力だ。ガラス屋根の建物もディテール感がリアルで映像にぐっと実物感が出てくる。問題は空の青さが強調されすぎている印象で、やや人工的な画になっているのが惜しい。

 原色に近い色に対してより彩度を高めている感じで、パっと見るときれいなのだが、不自然さもつきまとってしまう。

各社微妙に異なる色彩の違い

 スタジオで撮影した花の映像では、精細感などではあまり不満はなく、特に色再現の違いが際立った。いずれも各社の上位モデルに近い色再現の傾向になるが、じっくりと見比べると微妙な差があって面白い。

キヤノン HF R31 と上位機種(HF M52)

キヤノンのHF R31(左)とHF M52(右)で造花を広角で撮影。R31は濃い赤で多少色にじみが出ているが、精細さも十分。若干濃いめにも感じるが色の再現は鮮やか。葉っぱの質感も豊かだ

同じくHF R31(左)とHF M52(右)で造花をマクロ撮影してみた。マクロになると、色の鮮やかさがよりはっきりとわかる。R31でもディテールはほとんど不満のないレベルだ

パナソニック V300Mと上位機種(HC-X900M)

パナソニック V300M(左)とHC-X900Mの広角比較。V300Mでは精細感の甘さをやや感じるが、色の階調感のスムーズさがよく出ており、あまり不満を感じない

同じくV300M(左)とHC-X900M(右)でマクロ撮影。V300Mでも色階調を豊かに再現するだけでなく、やや彩度の高い鮮やかな再現をする。ディテールも十分きれい

JVCケンウッド GZ-VX770と上位機種(GZ-G5)

JVCケンウッドのGZ-VX770(左)とGZ-G5(右)の広角撮影。GZ-VX770はバックの色がやや青みがかってしまう傾向で色温度が高め。手前のピンクの花は鮮やかできれいだが、後ろの赤い花は色にじみが出ている

同じくGZ-VX770(左)とGZ-G5(右)で花をマクロ撮影した。GZ-VX770では特に赤系の色がややピンクに寄った華やかな印象になっている。精細感は十分高く、手前の葉のぼけ方もきれい

ソニー CX270

ソニー CX270の広角で撮った花。解像感にわずかな差を感じるが、比較的ディテールなどもよく出ている。色合いは特に赤色の階調感がよく出ており、くっきりした再現

ソニー CX270の広角で撮った花。解像感にわずかな差を感じるが、比較的ディテールなどもよく出ている。色合いは特に赤色の階調感がよく出ており、くっきりした再現

同じくCX270の花のマクロ撮影。ディテール感はかなりよく出ており、造花の素材の質感まではっきりと再現されている

同じくCX270の花のマクロ撮影。ディテール感はかなりよく出ており、造花の素材の質感まではっきりと再現されている

 ソニーのCX270は鮮やかな色もしっかりと出ているが、やや影の落ちた暗い赤色など、暗色や色の深みがよく出ており、生々しい再現になる。キヤノンのHF R31も同じ傾向で忠実度の高い再現だが、赤色はわずかにピンクに寄せて少し華やかな印象にしている。濃いめの色では色にじみが出た点が気になった。

 パナソニックのV300Mは、3MOSの上位機に迫る階調感の豊かな色を再現できていた。ややディテール感は不足した表現になっているのが惜しい点。

 JVCケンウッドのGZ-VX770は、上位機でも気になった色温度の高さが本機でも見られた。テレビで見ているような明るく鮮やかな感じではあるのだが、忠実度という点では多少違和感を感じてしまう。

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