発熱については、発熱量こそさほど気にならないのだが、発熱地点がピンポイント化しており、特に底面やキーボード側にかなり伝わってくる傾向にあるのが気になった。発熱量が小さいのも、テストを行なった日が特に気温の低い日であったことを、勘案しておく必要がある。パームレストは熱を持たないので、手の平は問題ない。だが、底面の発熱量は大きめなので、「モバイルノートは膝上で使う」という人には、ちょっと気になるのではないかと思う。
低価格個人向けノートとして高い完成度
一歩踏み込むと弱さも
これらのことを総合すると、Folio13はUltrabookとして、実に「普通」だ。特別に優れたところもないのだが、逆に大きく不満に感じるところもない。「これがあるから!」という積極的な魅力に欠けるのは事実だ。
だが、あえてここまで触れてこなかったが、Folio13の価格は7万9800円からと、かなり安い(HP Directplusの直販価格)。重さや厚み、CPUスペックなどに多少の不満はあるが、この価格の前にはかすんでくる。モバイルノートというより、「メインのパソコンとして選び、時には持ち出す」という使い方ならば、かなりぴったりくる選択なのではないだろうか。
例えば、省電力設定用ソフトはかなりシンプルだ。複雑な設定項目があるわけではないので、「省電力設定をつきつめたい」という向きには不満だろうが、この機種ではあえてそうしているのだろう。あまり複雑なことは考えず、シンプルに使える良さを狙っている、という印象を受ける。他方でピークシフト用の設定は用意されているあたり、かなり今日的である。
Folio13は「低価格個人向けノート」として、かなり完成度の高いパッケージングになっている。「モバイル」という点でこれに不満を持つ人は、そもそもFolio13の想定ユーザーとは違う可能性が高い。
だが低価格ノートとして見た場合にも、筆者があまり好きになれない点がひとつある。それはディスプレー品質だ。どうにもコントラストが低い。文字を読むだけならいいのだが、動画などを見ることを考えるとちょっと不満だ。個人向けとして考えると、もう一声クオリティーの高いディスプレーパネルを採用してもいいのでは、と思う。購入を検討する際には、そのあたりを「目で見て」確認し、納得してから選ぶことをお勧めする。
- お勧めする人
- ・低価格でコンパクトなノートパソコンが欲しい人
- ・シンプルさと使い勝手を重視して選びたい人
HP Folio13-1000 の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-2467M(1.60GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 13.3型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | SSD 128GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
インターフェース | USB 3.0×1、USB 2.0×1、HDMI出力、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅318.5×奥行き220.2×高さ18~20.3mm |
質量 | 約1.5kg |
バッテリー駆動時間 | 約9時間 |
OS | Windows 7 Home Premium SP1 64bit版 |
HP Directplus 直販価格 | 7万9800円から |
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。最新刊は「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)。
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