水洗いで汚れをサッと落とせるタブレット
――昨今何かと話題になるグローバル戦略ですが、富士通のタブレット製品の海外展開についても教えていただけますか？
高田： 実はすでに、Android 2.3搭載の7型タブレット「STYLISTIC MH350」をアジア太平洋地域で2011年秋に発売しておりまして、国内では、先月同じものを法人向けモデルとして販売開始しました。
現時点では、ARROWS Tabそのものを海外に提供する具体的な予定はないのですが、富士通のタブレット事業としては当然グローバル展開を見据えたものとなっています。
スマートフォン、タブレット、パソコン、それぞれの市場の境目がなくなりつつある中、富士通は企画・開発・販売まで1社で完結する数少ない日本メーカーですので、力を集約し、ユーザーの皆さんが求める良い物を作ることに尽力しています。併せて、私どもには薄型軽量・防水・省電力といった技術があり、そしてユーザーの皆さんがインターネットや情報機器をどのように使われるかについては、携帯電話とパソコンの部隊がそれぞれ持っているノウハウがあります。
その意味で、タブレットという製品は、それら富士通の強みを発揮できている商品のひとつであるといえます。
――海外で「防水端末」というと、非常に重くて分厚く、工事現場で使うような業務専用のモデルが中心で、日本市場とは防水のイメージも異なるのではないでしょうか？
高田： 確かに北米市場では、防水端末というとまずMIL規格（米軍の調達基準）をクリアしていることが前提のようなところがあり、日本とは違いますね。ただ、ドイツに拠点を持つ欧州法人が先日開催したプライベートショーでARROWS Tabを展示したところ、ヨーロッパの医療関係のお客様にも防水機能が非常に好評だったと報告を受けています。
従来とは違う、新しい使い道を切り開く「ARROWS Tab」
――確かに、「水のかかるところでもタブレットが普通に使える」というシーン自体、今までになかったものですね。
田中： 幸い、日本でも販売店のバイヤーの方にARROWS Tab Wi-Fiを持参して説明に伺うと、「こういうものを待っていた」という高い評価をいただけることが多いです。
富士通はAndroidタブレット市場では後発ですが、ARROWS Tab Wi-Fiは日本メーカーのメイドインジャパン製品で、防水であったり、すでにユーザーの皆さんがお持ちのネットワーク機器との連携もできたりといった点は、先発の他社製品とは大きく違う部分です。そのため、販売店の方からもユーザーの皆さんに対して説明しやすい、お勧めしやすいという声をいただいています。
田中大氏（富士通 パーソナルビジネス本部 パーソナルマーケティング統括部コンシューマプロダクトマーケティンググループ）
――富士通のタブレットだからできる、従来とは違う新しいシーンを伝えていくのがカギであると。
高田： 「この商品はこういうときに使うもの」という利用シーンをいかにユーザーの皆さんに伝えられるかが重要になってくると思います。
タブレットを見れば、インターネットにアクセスして情報を調べるための道具であることは想像しやすいのですが、それだけだと「だったらパソコンでいいや」「スマートフォンを持ってるし」となりかねません。幅広いユーザーの方にタブレットをお求めいただくというところには至らない。
それに対して、例えば今回のARROWS Tab Wi-Fiでは、「IPX5／IPX7準拠でお風呂や台所でも使える」「ワンセグでいつでもテレビを見られる」「DLNA／DTCP-IP対応でLAN経由で映像／音楽を楽しめる」「日本語を入力しやすい」「指紋センサーで手軽にセキュリティー強化」といったように、新たな利用シーンを可能な限り広げています。インターネットが見られることは当然のものとして、プラスアルファの価値をお伝えできて初めて、タブレット端末が「市場」として広がっていくのではないかと考えています。
