これで儲けようなんてことはまったく考えてないわけですけど
―― Gumroadでデータを買いましたよ。デカいですねえ、解像度が。
寺田 見た見た、メールアドレス。ありがとうございます! メールが来るわけですよ、売れるとね。
―― あんな大解像度で公開していいのか、って思ったんですけど。
寺田 いいんじゃないの? もちろん商用では使わないでねって書いてあるけど、使う人は使うだろうし。あれ、原画サイズだから、印刷に使おうと思えばいくらでもできるんだよね。
―― しかもGumroadのダウンロードリンクは、買った人以外でも開けちゃう。
寺田 “どうせコピーするやつは金払わないだろ”思想だね。で、“買うやつは買うし”思想。みんなで買って、ばんばんコピーもするやついるだろうしね。
―― なんでGumroadにアップしてみたんですか?
寺田 やっぱり面白そうだからさ。こういうのが好きなんで、ついやってしまう方でしょ?
―― そう言えば、誰よりも早くKindleを買って、自分の絵を入れてスクロール速度を確認したりしてましたよね。
寺田 向こうから送ってもらったりしてね。ガジェット好きだからコンピューターで描いているところもあって。最近は個展で原画を売ることを何度か経験して、それがデジタルでも行われるんであれば、ということでやってみたところもあるし。
―― すでにいろんな派生サービスもできていて、ダウンロードリンクの分からない、いわゆる「ぶっこ抜き」のできないものを作っている人もいますけど。
寺田 「Gumsafe」のこと? あ、それやったやった。
―― おっ、さすがに試すのも早いですね。
寺田 あれもまだ、あそこに飛んじゃった人が「これ偽装?」なんて思ってしまうかもしれないしね。そこら辺は難しいよなあ。
―― やってみて何が面白かったですか?
寺田 レスポンスの速さだよね。特に最初の2時間くらいで20人くらい買ってくれて、メールが来るたびに2ドル。手数料取られて1ドル60セントくらいだけど、買う方もお金払った瞬間に手に入るという、その見え方が面白い。まあ、これで儲けようなんてことはまったく考えてないわけですけど。
―― あ、やっぱり。
寺田 物事にどうして値段が付いていくのか。その仕組みを考えるとね、間にいろんな人がいて、初めて高額な商品が生まれていくんで。個人と個人との間での商売では、ものすごい金額は生まれない。あのシステムはそういうことだからさ。だから、ただレスポンスが面白いからやってましたね。「また買ってくれた!」ってね。