前述のとおり、昨夏からようやく人気ソフトのMac版がリリースされはじめたということで、今までの「自尊心がために買う人」から、「自尊心を満たしつつ実用的なMacを購入する人」に購買者の主軸は移っていくのではないだろうか。
ある果粉は「果粉と果黒が水と油である理由」なる分析をウェブに掲載。意訳すれば「ひとつは完璧なモノへの追求と実用性の追求の対立だろう。果粉は完璧なモノを持ちたがり、果黒は実用的かつ1元でも安く買いたがる」「もうひとつはエクスペリエンス至上主義と保守的なスペック至上主義の対立だろう。慣れたシステムを自分でカスタマイズする人間と、使えば使うほど慣れていき、使い心地に満足する人間の対立だ」といったところか。その掲載に対して「人の器が小さいのが根本的な原因だろ」とのコメントも……。
中国のApple製品を取り囲む環境は日本のそれと異なり「Apple製品は新しい体験を提供する未知なるデバイスであり、果粉こと中国のマカーは保守的ではなく進歩的な人」でもあり、自己所有欲だけでないことは留意しておこう。
ところで最近、衝撃的なニュースが報じられた。広東省深センの中国企業「唯冠科技」が、iPadの商標権をAppleより早く所有しているとし、iPadの輸出入や販売の差し止めを求めたのだ。
これを受けて中国各地の都市で当局が調査に入ったものの、一方で多くの都市で平常通りの販売が現地メディアの報道により確認されている。
このニュースの反応としては、「今後iPadを買えるのか心配だ」とする意見が多く、製品が売られなくなることを喜ぶ声は少数だ。その少数の声にしても、中国外製品排除といった愛国的なものではなく、「金持ち果粉に制裁を!」といったニュアンスがメインであった。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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