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DDoS防御機能の充実でセキュリティも強化できる

A10の新ADCはキャリアモデル用ASICの搭載で性能アップ

2012年02月16日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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2月15日、A10ネットワークスはAXシリーズの新モデルとしてAX3200-12およびAX3400の提供開始を発表した。いずれも1Uサイズのミッドレンジモデルという位置づけ。同社の1Uサイズのモデルとしては初となるFTA(Flexible Traffic ASIC)テクノロジーを搭載し、DDoS攻撃に対する防御を専用ASICで処理することで従来のソフトウェア実装に比べて大幅なパフォーマンス向上を実現した。

DDoS攻撃からの防御を強化

 A10ネットワークスは、同社のADC(Application Delivery Controller)であるAXシリーズに、L4 CPS(Connection/Second)およびセキュリティ機能を強化した新モデルとして「AX3200-12」と「AX3400」を追加、同日提供開始すると発表した。

会場に展示されていた実機。ポート構成が同一ということもあり、外観上もほぼ同一に見える

 いずれも1Uラックマウント筐体のミッドレンジモデルだが、従来はキャリア等向けとなる2Uサイズのハイスペックモデルで採用されていた専用ハードウェアであるFTA(Flexible Traffic ASIC)-2を1Uモデルとして初めて実装した点が特徴となる。AX 3200-12とAX 3400は、ポート構成はまったく同一の10Gbps SFP+×4ポート、1Gbps SFP×4ポート、1Gbps Copper×20ポートで、違いはスループット性能のみとなる。AX3200-12では110万L4 CPS/18Gbpsで、AX3400は200万L4 CPS/38Gbpsと、約2倍の性能差がある。税別の価格は、AX3200-12が869万9000円、AX3400が1499万9000円。

新モデルの概要

FTA-2の外観。キャリア向けモデルに実装された前バージョンのFTA-1に比べると約2倍の性能向上が図られているという

 著名Webサイトに対するDDoS攻撃によるサーバーダウンなどは繰り返し発生しているが、ファイアウォールなどによる保護はコストパフォーマンスの面で問題があるなど、必ずしもWebサーバー運用者にとって使いやすいものではないという。一方、WebロードバランサーはWebサーバの前段で全トラフィックをチェックして振り分ける、という役割を担うことから、DDoS攻撃からサーバーを防御する機能を組み込むには好適なデバイスであり、ユーザーからのDDoSへの対応強化が求められていたことに応えたのが今回のFTA-2の組み込みにつながった形だという。従来のFTA-2非搭載モデルでは本体CPUによるソフトウェア処理でDDoS防御を実現していたが、AX3400ではSYN Flood/secで約14倍、AX 3200-12では約7倍という大幅な処理性能向上を達成している。

ロードバランサーによるDDoS防御

FTA-2搭載による性能向上を非搭載モデルとの比較で示したグラフ。専用ハードウェアの効果が一目瞭然となっている

カスタマーサポートを重視

 今回の製品発表には、同社の創業者でCEOのリー・チェン氏が同席し、同社の基本的な成り立ちを語った。同社は7年半前に同氏が1人で創業したということだが、それに先だって日本の大企業で働く友人と会食した際に聞いた、既存のネットワークベンダーのサポート体制の劣悪さが同社創業に大きな影響を与えたという。最高レベルのサポート契約を結んでいるのに、問い合わせに対する回答が1ヶ月経っても戻ってこない、というレベルだったそうだが、それを聞いたチェン氏は同社のビジョンとして「進化した製品を作るテクノロジーリーダー」と「優れたカスタマーサービス」という2面を重視するという方針を立て、実際にそれが市場で評価されたことで急成長を実現できたという。

CEOのリー・チェン氏

日本の代表取締役社長兼CEO、ヴァイスプレジデント南アジアの小枝 逸人氏

 また、日本の代表取締役社長兼CEO、ヴァイスプレジデント南アジアの小枝 逸人氏もサポート体制の重要さについてコメントした。同社のコールセンターで電話に応対するのはバイリンガルのエンジニアであり、電話を受けた時点でほぼ問題を特定でき、対応も米本社の開発者と迅速にやりとりできる体制ができていることで問題に即応することができるようになっており、競合他社に対する大きなアドバンテージになっているという。同氏は調査会社のレポートによれば、2011年の売り上げ目標に基づいたシェア調査では、国内のこの市場のトップベンダーであるF5に僅差の2位になると予測されていたと紹介した上で、実際の同社の2011年度の業績は目標を上回っていたため、「実績値に基づくシェア分析が出るのが楽しみ」だと自信を示した。

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