消費電力を確認
AMDによれば、Radeon HD 7770/7750の最大消費電力はそれぞれ80W/55Wで、Radeon HD 6770の108WやGeForce GTX 550 Tiの116Wと比較すると大幅に削減されている。そこで、気になる消費電力についても確認してみることにしよう。
計測には「Watts up? PRO」を使い、30分放置して最も低い状態をアイドル時、3D Mark11 Version 1.0.3実行中、最も消費電力が高かった時点を高負荷時とした。ちなみに、今回はテスト環境としてIntel Z68 Expressを使用しているため、アイドル時についてはオンボードグラフィックスの数値も付け加えている。
アイドル時の消費電力だが、Radeon HD 7770/7750とも60W前後とRadeon HD 6770の74.4Wから大幅に削減されている。また、オンボードグラフィックスとの比較ではRadeon HD 7770で10.8W増、Radeon HD 7750では9.5W増と軽微にとどまっており、このクラスのビデオカードを使用するユーザーであれば、アイドル時の消費電力増加はほとんど気にならないだろう。
高負荷時についても、Radeon HD 6770よりRadeon HD 7770で15.7W。Radeon HD 7750では30.2Wと大幅に削減されている。ちなみにRadeon HD 7770とRadeon HD 7750との比較では14.5Wの差がついており、TDP程ではないが消費電力には比較的大きな差があることがわかる。
GPU温度
Radeon HD 7770/7750はミドルレンジクラスの製品のため、実際販売されるモデルでは各社オリジナルクーラー搭載モデルが大勢を占めることになるはずだ。そのため、リファレンスクーラーの性能はそれほど重要ではないかもしれないが、一応GPUの温度についても確認しておきたい。
Radeon HD 7770/7750についてはGPU-Zで正確な温度が測定できないため、Catalyst Control Centerを使用して温度を測定。Radeon HD 6770とGeForce GTX 550 TiについてはGPU-Zを使って測定を行なっている。アイドル時は30分放置した時点での温度を、高負荷時はOCCT4.1.0のGPUTestを30分実行した中で最も高かった時の温度としている。
アイドル時の温度については、Radeon HD 6770が33度とやや高いもののその他はいずれも29度で安定している。また、高負荷時はRadeon HD 7770で72度、Radeon HD 7750で69度と2スロット占有タイプながらRadeon HD 7770のほうが高い結果となった。これは、コアクロックやストリーミングプロセッサ数が高いことに加えて、Radeon HD 7770に搭載されているGPUクーラーがかなり静音向け設定となっていることが理由だと思われる。
今回のテストではRadeon HD 7750のGPUクーラーが最大で50%までファンの回転数が上昇しているのに対して、Radeon HD 7770のGPUクーラーは39%までしか上がっていない。実際にテストをしていても明らかにRadeon HD 7770のGPUクーラーのほうが騒音値は少なかった。
いずれにせよ、冷却性能に問題はなくリファレンスクーラーでも十分な冷却が可能となっているようだ。
消費電力大幅削減でミドルレンジにふさわしい扱い易さの
Radeon HD 7770/7750
上位モデルのRadeon HD 7770は、前世代のRadeon HD 6770より平均で約2割ほど高速化されており、確実に1ランク上の性能を実現したビデオカードとなっている。また、ゲーム系のベンチマークの結果を見ると、比較的重量級のゲームでも設定次第では十分楽しめる性能を備えており、多くのユーザーにとっては満足行くパフォーマンスを提供してくれるはずだ。
消費電力もRadeon HD 6770から約15W削減されており、この点でも完成度の高い製品に仕上がっている。唯一苦言を呈するとすれば、相変わらず補助電源を必要とする点。実際には5W分の削減ができればいいわけで、このあたりについては今後発売されるサードパーティ製に期待といったところだろう。
下位モデルのRadeon HD 7750は、高負荷時にやや弱さを見せることがあるものの、Radeon HD 6770やGeForce GTX 550 Tiと同等のパフォーマンスを実現。それでいて、大幅に消費電力が削減されている。補助電源も不要でカードサイズも168mmと短いことから、これまで内部スペースや消費電力の問題で、ローエンド製品で我慢していたユーザーにとっては非常に魅力的で取り回しの良いモデルになりそうだ。
いずれにせよ、消費電力が増加傾向にあったミドルレンジモデルにおいて、消費電力が大幅に改善されたRadeon HD 7770/7750は、今後のミドルレンジ帯のビデオカードの新たな指標として大きな意味を持つ製品になるだろう。
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