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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第102回

「Shuriken」で大量のビジネスメールをさばく技

2012年02月14日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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メールの送信ミスを極限まで減らす

 筆者にとってShurikenでもっとも重宝しているのが、添付ファイルのチェック機能だ。昔、原稿を納品したつもりが、添付されておらず締切を突破してしまったことがあった。Shurikenは、「添付」や「送付」といったキーワードが入っているメールを送信する際、添付ファイルがないと警告メッセージを表示してくれる。この機能のおかげで、添付ミスをほとんどしなくなったのはうれしいところ。3000円程度のコストなど、考えるまでもないだろう。

 添付や送付以外の単語で警告を出したいなら、Shuriken本体があるフォルダーに入っている「SENDNGWD.DAT」をテキストエディターで編集しよう。英語を使うなら「attached」を追加してもいい。

筆者のPCでは「C:¥Program Files (x86)¥JustSystems¥INTERNET」に「SENDNGWD.DAT」が入っている。テキストエディターにドラッグ&ドロップすれば編集できる

 機種依存文字を送信する際にも警告してくれる。機種依存文字とは、1や2などの丸付き数字、キログラムなどの単位記号や数式記号のことで、PCやMac、ケータイ、スマホなど環境によって正確に表示できないことがあるのだ。前後の文脈などで、だいたい内容が通じるとはいえ、避けておいたほうがいい。筆者は無意識にこれらの文字を使わない癖が付いているが、機種依存文字がよくわからないなら活用したい。

機種依存文字が入っているメールを送信しようとすると警告が出る

「Shuriken 2012」の充実機能を活用する

 キラーコンテンツというわけではないが、Shuriken 2012にはかゆいところに手が届く機能が充実している。まずは、印刷機能。会議に持参するためにメールを印刷するような時、見栄えがいいに越したことはない。Shuriken 2012は、行間や字間だけでなく、上下左右のマージンやヘッダーやフッターも印刷できる。自動折り返しや行番号の印刷ももちろん可能。新機能として、添付ファイルの情報や総ページ数を印刷する機能も搭載した。

メールを印刷する場合、ヘッダー情報や添付ファイルの情報も記載できるのはありがたい。印刷用に体裁が整えられていないので、行番号の表示も便利だ

 「一太郎2012 承」に入っている音声読み上げソフト「詠太2」と連携して、メールを読み上げる機能を搭載しているのもポイント。試しに再生してみたが、驚くほど自然なイントネーションでかな漢字交じりの日本語を正確に読み上げてくれる。次々とメールを続けて読んでくれるのも手間がかからない。送信日時や見出し、URLなどの読み上げが不要なら、設定でオン・オフできるのも便利。ただ、知人からのメールだとどうしても意識が向かってしまうので、ラジオのように聞くというわけにはいかなかった。メルマガやメーリングリストのフォルダーなら、BGM代わりに流すのはありかもしれない。

「詠太2」がインストールされていれば、メールの読み上げも可能

 以前から搭載している機能だが、「ひみつフォルダ」も便利だ。これは、指定したフォルダを非表示にしてパスワードで保護する機能。Shurikenの起動時にもパスワードを設定できるが、もう1段セキュリティーをかけられる。誰にも見られたくないメールを保存しているフォルダーで有効にしておくといいだろう。

ひみつフォルダに設定すれば、普段は非表示にできる。ショートカットを設定して自分だけは手軽に表示することも可能

メールをデータベース化するならGmailと併用する

 メールの運用で重要なのがバックアップだ。メールサーバーに全データがあるIMAPメールならともかく、従来のPOPメールならダウンロードしたメールはバックアップしておかなければならない。Shurikenにもバックアップ機能が搭載されており、一定間隔で自動保存する機能も備えている。PCが起動不能になるなど滅多にあることではないが、その万一の時にメールデータを失うわけにはいかない。できるだけ、毎日バックアップしておきたいところだ。

 もし、バックアップに手間をかけたくないなら、Gmailを活用しよう。Gmailにアカウントを登録し、すべてのメールを受信するようにしておけばいい。万一、Shurikenのバックアップごとメールデータを失ってしまっても、なんとかなる。

「ツール」→「バックアップ」→「自動バックアップ設定」でShurikenの自動バックアップを有効にする

Gmailにほかのメールアドレスのデータを読み込むには、「設定」→「アカウントとインポート」→「自分のPOP3メールアカウントを追加」でアカウントを設定する

 インストール型のメールソフトの弱点としては、膨大なメールの全文検索が遅い点が挙げられる。例えば、筆者のメインフォルダーには約13万通のメールがあるが、特定のキーワードで全文検索すると約4分かかる。6コアのCPUと16GBメモリー、高速SSDという環境でもこの時間なので、古いPCなら待ちきれないだろう。しかし、約6万5000通のメールが保存されているウェブメールのGmailでは、全文検索にかかった時間は約4秒。倍の13万通があったとしても10秒以内には検索できるだろう。膨大なメールをデータベースとして利用するなら、Gmailに軍配が上がる。この点からも、Gmailアカウントにバックアップしておくことをお勧めする。

数万通の中から数秒でキーワード検索ができる。近い将来、PC上でもこのくらいの処理ができるようになってくれるといいのだが

 Shuriken 2012は無料の体験版が用意されている。興味を持ったらぜひ試して欲しい。設定したアカウントやアドレス帳、メールデータは製品版に引き継げるので、存分に使い倒そう。インストール時には、「Windows Mail」や「Outlook」「Outlook Express」「Becky! Internet Mail」「Thunderbird」などのメールソフトからデータを取り込むこともできる。

40日間無料で利用できる体験版をダウンロードできる

ほかのメールソフトからの乗り換えも簡単

 大量のメールを送受信しているユーザーなら作業効率がアップするうえ、ミスを防いでくれる「Shuriken」の魅力にハマること請け合い。長いつきあいが始まるかもしれない。

■Amazon.co.jpで購入

筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII LTE 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。


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