判断のポイント
ではそんな場合、どういうところで判断すればよいのか。細かい点になるが、次のような部分に留意することをお勧めする。
・人事担当者や社員の印象がよくない
→深刻な問題を抱えている可能性が高い。
そもそも、好印象を持ってもらい、自社への応募を促すためにおこなっている説明会である。こんな印象を抱かせてしまうこと自体が問題であり、相当な課題を抱えているはずだ。
・参加者の扱いが丁寧でない
→そこに集まる応募者も、その日は選考対象者ながら、いずれは何らかの形でお客さんになるかもしれない。なのに、そのような配慮さえないということは、実際の顧客にも配慮がない表れである。
・高飛車、威圧的な印象
→その会社の社風や人間関係の縮図であると考えられるし、明らかに配慮が足りない。さらに、それが問題だと指摘できる人がいない、というマネジメントの問題でもある。
・社員が疲れている印象
→ハードワークや、人間関係などの問題が潜んでいる可能性がある。いずれにせよ留意するに越したことはない。
・選考に進むことを強要される
→応募希望者が少ない、辞退者が多い可能性がある。
説明会やセミナーのあと、有無を言わさず面接や試験が行われたり、書類提出を強要する場合は要注意。
人事は、「採用目標人数」を持ちながら選考しているものだ。ブラック企業であるほど辞退者や離職者は多いため、それを見越して採用人数も必然的に多くなる。説明会に足を運んだ人間は「少しでも興味や可能性がある候補者」という扱いになり、なんとしてでも、一人でも多く選考のラインに乗せていかねばならない対象になってしまうのだ。
その場で選考をおこなうことで、応募者に「この機会を逃すと不利になるかも」と思わせると共に、「きちんと調べてから応募しよう」という時間をなくさせ、判断材料を奪った状態で会社ペースに持ち込むことができる。なぜか選考にすすむように強く促されているように感じたら注意が必要だ。
・あいまいな表現をする
→きちんと説明できない理由がある。
往々にして、具体的な数字を挙げなかったり、抽象的な表現で煙に巻いたりする場合は怪しいと捉えてよい。 たとえば、このような問答でわかる。
「残業はありますか?」
→○「ありますが、大体夜の9時には全員帰っているレベルです」
→×「時期にもよりますが、少ないほうだと思います」
後者の場合、「時期」というのが年間どれくらい発生するのか。半年に1回程度なのか、ほぼ毎日なのか。また、「少ないほう」というのは、発言者の「残業」の基準が月400時間なのか、月30時間なのかによっても変わってくる。極力具体的に確認することをお勧めする。
【筆者プロフィール】 新田 龍
ブラック企業アナリスト 株式会社ヴィベアータ 代表取締役 「ブラック企業ランキング」ワースト企業で事業企画、コンサルタント、新卒採用担当を歴任。日本で唯一の「ブラック企業の専門家」として、TVや各種メディアでのコメンテーター、講演、執筆実績多数。 著書に「伝説の就活」・「逆転内定」シリーズ、「人生を無駄にしない会社の選び方」、「ブラック企業を見抜く技術・抜け出す技術」、「就活の鉄則!」など。 「ビジスパ」にてメルマガ「ブログには書けない、大企業のブラックな実態」を執筆中。
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