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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第85回

Tegra 3で新生したAndroidタブ Eee Pad TF201の実力は?

2012年02月09日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 実はTF201では、Tegra 3による省電力化のほかにも、「PRISM Display Technology」と呼ばれる、ASUS独自機能によるディスプレーまわりの省電力化が図られている。今回のテストでは、これらの機能が有効になる「省電力モード」に設定した上で、ディスプレー輝度を「自動調光」に設定して使用している。そのため、TF101とまったく同じ条件ではないが、ユーザーの利用シーンに即した設定だと考えている。バッテリー駆動時間の面でかなり優れた値が出ているのは、これらの省電力機能がきちんと働いている結果だろう。

 特筆すべきは、これらの設定がとにかく簡単ということだ。パソコンのようにキーボードから切り替えられるわけではないが、Androidの通知領域をタップして、目的のアイコンをタップするだけでいい。この種の「ノートパソコン的作り込み」がAndroidのタブレットでも生きてきたかと思うと感慨深い。

TF201の通知領域。省電力機能の設定のほか、ディスプレー輝度を上げる「Super IPS+」の設定や、本体・モバイルキーボードドックのバッテリー残量などがわかりやすく整理されている。省電力設定の切り替えは「省電力」「バランス」「ノーマル」の3種

モバイルノートとしての完成度が高まった

 ちょっとだけ気になったのは、タブレット部とモバイルキーボードドックをつなぐコネクター部のカバーが、すべて取り外し式であったことだ。どれもごく小さなものなので、ふとした拍子になくしてしまいそうだ。モバイルキーボードドックを常につけて使うと割り切るなら、箱にでもしまっておけばいいが、そうでないとちょっと気になる。コストはあがるだろうが、ここはシャッター式などの「なくならない構造」にしてほしかった。

白いのが左右のロック機構、黒いものがコネクタ部のカバー。特にロック機構のものは、タブレット部に埋め込まれるようにはめ込むため、ちょっと取り外しにくい。使わない時にはなくさないよう注意

 逆にいえば、ハード的に気になったのはそのくらい。現状のAndroidタブレットで、3GなどのWAN系内蔵にこだわらないのであれば、もっとも完成度の高い1台と言える。

 他方、今回テストしたモデルは内蔵フラッシュメモリーが64GBと多いためか、価格が6万9800円と少々高い。7日に発表された32GBモデルなら1万円安くなるので、内蔵ストレージに音楽や動画を詰め込もうと思わないなら、そちらの方がいいかもしれない。

 ただこれはTF101の時にも感じたが、「Windowsが動作するパソコン」にこだわるのでなければ、TF201は価格でワンランク高いUltrabookと、同等の完成度があると感じる。アプリの有無やワークフローなどを考えると、誰もがパソコンと入れ替えられる性質のものではないが、「完成度の高いモバイルノート」として、この製品を選ぶという選択肢はある。あくまで、「Androidでも仕事はできる」という人にはだが、そういう人はそう多くないだろう。「仕事はしないけど、タイプでストレスを貯めたくない」人のためのモバイル機器としてお勧めだ。

お勧めする人
・低価格でも、長時間使える「ネット端末」を探している人
・Androidを「ビジネスツール」として使いたい人
Eee Pad TF201の主な仕様
CPU Tegra 3
メモリー 1GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 10.1型ワイド 1280×800ドット
ストレージ 内蔵フラッシュメモリー 64GB
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1
インターフェース タブレット:micro HDMI出力、カードリーダー(microSD/SDHC対応)、マイク/ヘッドホン兼用ジャック
ドック:USB 2.0×1、カードリーダー(SD/SDHC/MMC対応)
サイズ タブレット:幅263×奥行き180.8×高さ8.3mm
ドッキング状態:幅263×奥行き180.8×高さ19.4mm
質量 タブレット:約586g、ドッキング状態:約1.1kg
バッテリー駆動時間 タブレット:約12時間、ドッキング状態:約18時間
OS Android 3.2.1
価格 6万9800円

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。最新刊は「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)。

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