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帰宅困難者を上陸用舟艇で輸送! 都と米軍の共同訓練を取材

2012年02月07日 18時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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横浜を目指して2時間の航海

参加者を乗せて横浜を目指す。前方には東京ゲートブリッジが

 参加者の乗船とPersonal Shelterへの収容が済んだ午後2時半に、フォート・マクヘンリーは出港した。訓練当日は好天に恵まれ、風や波もおだやかな航海日和。埠頭を離れたフォート・マクヘンリーは、思いのほか速い速度で海面を滑るように進んでいく。目指すは横浜港瑞穂埠頭。約2時間の航行の予定である。

乗船に使用した渡り板を収納。非常に重いので慎重に作業を進める

離岸したフォート・マクヘンリー。報道陣も驚くほどの速さで離れていく

先行するラッセンは早くも東京ゲートブリッジにさしかかる

東京ゲートブリッジの下をくぐる。東京の新名所となるか?

 船が航行を始めるとしばらくして、救命胴衣を身につけた参加者も船上に現われた。乗っている間はなにもすることがないので、乗組員の案内で船内を見学することとなったようだ。波がおだやかで日差しも暖かく、訓練でなければいいクルーズ日和である。乗船当初は緊張した表情をうかべていた参加者も、緊張が解けた様子。

一路横浜を目指すフォート・マクヘンリー。東京湾は非常に交通量が多いので、油断は禁物であるが、参加者はちょっとしたクルーズ気分?

フォート・マクヘンリーの艦橋構造物。操船を行なう艦橋は、建物で言えば3階の高さにある

艦橋の後方には煙突が。主機(エンジン)はディーゼルエンジン2基で、スクリュー2基で推進する

艦橋の内部

船尾にあるボート。ラッセンの搭載艇は臨検などにも使う大きめの複合艇だが、こちらはわりとコンパクト

艦橋構造物の1階に当たる部分には食堂がある。そのほかにも休憩室や小さな医務室などがある

横須賀を目指してどんどんと遠ざかっていくラッセン

遠く洋上に見えた海上自衛隊の護衛艦。大きなヘリ格納庫はあさぎり型護衛艦だろうか? 訓練参加艦かと思ったが、後日確認したところ海上自衛隊からの参加艦は、たかなみ型護衛艦「さざなみ」だというので違ったようだ

 若洲の埠頭を出発したフォート・マクヘンリーは、東京ゲートブリッジをくぐってからは、ほぼフェリーの航路に沿って埋め立て地や東京国際空港、東京湾アクアラインの換気塔「風の塔」などを左右に見ながら、横浜港を目指して進む。混雑した東京湾を慎重かつ軽やかに進みながら、1時間40分程度で横浜港の入り口あたりに到着した。

洋上から見た羽田空港。上空をひっきりなしに着陸機が通り過ぎていく

 ところが、ここで少々入港待ちのため停泊することに。日中は日差しもあって洋上の寒さも感じなかったが、日が傾くと船上はたちまち気温が下がり、真冬の服装でも寒さでガタガタと震えるほどに。結局横浜港の入り口についてから、瑞穂埠頭に接岸するまでほぼ1時間かかった。実際の災害時も入港時に時間がかかることはあるだろうから、もし自分が帰宅困難者となって船での輸送に頼ることがあれば、気温の低い時期はそれなりの防寒具を用意しておいた方が良さそうだ。

順調な航海で横浜港の入り口まで来たが、横浜ベイブリッジを前に足止め

停泊していた場所をスマートフォンのGPSで確認してみた。あと3.5km程度なのに~

午後5時前にようやく瑞穂埠頭に到着

接岸はタグボートの助けを借りることもなく自力で行なう。ロープでしっかりと船を固定

5時20分頃、ようやく船を下りる参加者。お疲れ様でした!

 入港前に足止めをくらったとはいえ、おおむね訓練は順調に進み、参加した職員の方々も洋上輸送のプロセスや注意点について、学ぶところがあっただろう。実際にその経験が生きるような機会はないに越したことはないが、地震から逃げ場のない日本に住む以上、こうした訓練で経験を積んでおくことが、いざという時に役立つのは言うまでもない。読者の方も避難や帰宅困難時の訓練に参加する機会があれば、「たかが訓練」と馬鹿にすることなく、積極的に参加していただきたい。備えあれば憂いなし、である。

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