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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第84回

レノボに聞く 2012年のThinkPadとIdeaPad、Windows 8

2012年01月26日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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――今回はThinkPadとIdeaPadで、それぞれ魅力的な製品が発表されました。しかし両ブランドの差がわかりにくくなっていくのではないか、という危惧もあります。例えばThinkPad X1のような製品は、コンシューマーも非常に強く意識したものになっていると感じます。両者での「市場の食い合い」はどう見ていますか?

ホテンシャス「食い合いは、本当に小さなものに過ぎないと思いますよ。確かに、ThinkPad X1はコンシューマーにも魅力的な商品ですが、あくまでThinkPadは“プロ”のためのものです」

ホテンシャス「なにが違うかというと、結局は“販路”が異なるのです。ThinkPadは店頭を中心とした製品ではありません。それに対してIdeaPadは、リテールストアでの販売を軸にした、完全にコンシューマーに向けた商品です。それぞれでのブランドに合わせた受け持ちがあり、市場ではきちんと分かれた形で受け取られていると認識しています」

レノボが「スマートテレビ」を手がける理由

レノボが中国市場に投入する「SmartTV K91」

ホテンシャス「まったく別のものですが、新しい可能性として、今回初めてデモンストレーションしたのが『スマートテレビ』です。これは、我々にとってはじめてのスマートテレビになります。この製品は、まず中国市場でローンチすることを予定しています。コアなコンシューマーに対して提供できる機器、例えばスマートテレビやスマートフォンになると思いますが、こういった商品群についても、我々は大きな成功を納められることを期待しています。なにしろ、我々のブランドは中国市場でとても強い力を持っていますからね」

――では、テレビのようなジャンルにおいても、既存の家電メーカーと闘っていけると考えているわけですね?

ホテンシャス「いくつかの国では、我々は非常に強いブランド力を持っています。ほかのいくつかの国ではそこまでではありませんが。我々は、そういったブランド力の強い国々で、新しい商品群の成功を目指しています。スマートテレビを中国でローンチするというのも、そういった戦略の中でのことなのです」

ホテンシャス「日本ではNECとのジョイントベンチャーを行なっています。NECはとても強い価値を持つパートナーです。NECはとても多くのプロダクトラインを持っていますが、中でも、オールインワンPCについては、完全にテレビ機能を統合した製品があります。スマートテレビのようなカテゴリーは、そういった製品からも花開くことになると思います」

――スマートテレビはどのような人々向けの製品と考えていますか?

ホテンシャス「もちろんエンターテインメントですよ! あれで仕事をしようとは思いません(笑)。特に、非常に若い層に魅力的な製品になるのではないか、と考えているところです」

ホテンシャス「人々はスポーツイベントを見る時、同時にソーシャルネットワークを見ています。スポーツに関する細かな情報もいっしょに見ています。そういうライフスタイルが染み込んでいる層に対して、スマートテレビはとても魅力的な製品と映るのではないか、と思います。だって、友達といっしょにテレビを見るのは楽しいことですよね? それと同じようなものだと考えればいいでしょう。ソーシャルネットワークはオンラインによって、そういう価値をテレビに与えてくれるのです」

ホテンシャス「しかし他方で、大画面の機器で複雑なインタラクションを実現するのは決して簡単ではありません。家族で写真を見るには、テレビは自然な機器ですし、ゲームをするにも自然な機器です。そういった用途が向くでしょう。将来的に、ソーシャルネットワーク連携も含めたこういった用途は、多くがスマートテレビの上で行なわれることになるでしょう」

ホテンシャス「最後に紹介したいのは『Lenovo Cloud』です。現在、人々は4つのスクリーンを利用します。ひとつはPC、残りはタブレット、スマートフォン、そしてテレビです。人々はそれぞれの前で時間を過ごすわけですが、やりたいことは『どこに写真があるか』を覚えておくことではないはずです。映像がどこにあったかを意識なんてしたくない。こういったすべてのデバイスで、簡単に(コンテンツを)シェアできる機能を、用意しておく必要があります。それを自然に、自動的にできるということは、これからのデバイスにとって重要なことになるはずです」

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。最新刊は「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)。

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