辛酸をなめたデビュー戦
──いきなりSUPER GTで最も過酷な「ポッカ1000km」ですからね。完走する自信はありました?
鈴木 いや、最初はデータ取りで完走すら考えてなかったですよ。オイル撒いたり、追突したりして、他のチームに迷惑をかけないように、というのを最優先に考えてましたね。現実にはそれ以前の問題でしたが……。
──まさかのレギュレーション違反(燃料隔壁違反)で出走できず、でしたからね。ところで、初代ドライバーの田ヶ原選手と菊地選手はどのように決まったんですか?
鈴木 元々、二人とも星名くんの知り合いで、彼が連れてきたんです。覚えている人もいるかもしれませんが、参戦を発表した当初は菊地選手じゃなくて、滑川 健選手だったんですよ。諸事情により滑川選手が出られないということになって、急ぎ声をかけたのが菊地選手でした。たしかレースの直前に変更になったから、鈴鹿戦のパンフレットには滑川選手の名前が載っていたかもしれません。何もかもがバタバタでした。
──クルマも決まり、ドライバーも決まり、そしていよいよ痛車になった経緯を教えてください。
鈴木 最初、このプロジェクトのメインスポンサーが決まってなくて。新規参戦のチームにいきなりメインでスポンサードしてくれるほど甘い世界ではありません。しかも、シーズン途中からの参戦ですから。そんなとき、Studieのヘビーユーザーであるイースの社長さんが、「これ見てよ」と見せてくれたのが痛車の写真だったんです。「今、このジャンルがキテるんだ」と(笑)。これをSUPER GTでやったら、目立つし面白い。特に「初音ミク」が痛車の中でも大人気だということで。新規チームなわけですし、まずは話題にならないと! という話になったんですよ。そこからですね。
実はこの話、こないだのASCII.jpさんのトークショー(関連記事)で、久々に思い出しました。
2008年は本当にドタバタでスタートして、ボッコボコクルマが壊れて。それでも、最終戦の富士でなんとか完走できたことをよーく覚えてます。最終戦のときに初めて、GTAから「このクルマをGT車両として認めます」というプレートを付けてもらえたんですよ。うれしかったですね。ようやくSUPER GTの一員に認められた、と。
──2008年の最終戦から個人スポンサー制度を始めましたね。
鈴木 イースのきよちゃん(清川氏)が提案してくれたんですが、面白い制度だと思いましたね。例えば、末岡さん(BMW Z3オーナー)も持っているStudieのカルテ(顧客)カードですが、これが現在2万2000人くらいの登録があるんですよ。2008年当時でも1万5000人くらいはいたと思います。そっちもうまく取り込みたいと思っていたんですが、ちょっと難しくて。BMWオーナーならではの独自性を出すというか、オーナーが満足いただけるようなメニューがなかなかできなかった。
個人スポンサーの数字が増えていくのもうれしかったんですが、それ以上にサーキットに足を運んで見に来てくださる方たちが増えてきたのは本当にモチベーションが上がりましたよ。
──今では、応援団の数はGT300の中でトップクラスですね!
鈴木 スピードが早いですよね。普通なら10年くらいかけて今くらいのファンを獲得していくものなんでしょうけど、それを3年半で成しとげてしまったんですから。
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