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痛みを伴ったIBM自体の変革も振り返ってみた

課題解決からビッグアジェンダへ!IBMの新コンサル戦略

2012年01月18日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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1月17日、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)は、戦略コンサルティングサービスの新体制紹介や2012年の方針・戦略に関する説明会を行なった。説明会では、従来の「課題解決型サービス」から、より包括的な「ビッグアジェンダ型サービス」への移行やCxOごとの施策、実際のコンサルティングの事例が解説された。

自身の変革から生まれた「ビッグアジェンダ型サービス」とは?

 IBMの「戦略コンサルティンググループ」は、事業戦略やオペレーション、経理・財務、組織・人事、そしてITまで幅広い領域をカバーするコンサルティング部門。2002年のプライスウォーターハウスクーパースコンサルティング買収により、IBMのビジネスに組み込まれ、システムインテグレーションやアウトソーシングなどのIT面でのコンサルティングにとどまらず、企業の経営戦略策定までを包含するのが大きな特徴となっている。

日本IBM 常務執行役員 トランスフォーメーション・ストラテジー&ソリューション担当 金巻 龍一氏

 発表会において日本IBM 常務執行役員 トランスフォーメーション・ストラテジー&ソリューション担当 金巻 龍一氏は、過去IBM自体がたどってきた痛みを伴う「トランスフォーメーション(変革)」の道程を説明した。1980年代、IBMは全世界で40万人の社員を抱える世界最大のコンピューター会社で、売り上げの半分をハードウェアが占めていた。しかし、1990年代に入り、ダウンサイジングやオープン化の流れに乗り遅れ、厳しい業績で大きなリストラを経験することになる。この課程で、単にやり方を変えるだけの「リエンジニアリング」ではなく、やること自体を変える「トランスフォーメーション」に挑み、組織変更やハードウェア事業の買収、各種M&Aなどにより、サービス事業が売り上げの6割近くを占める企業に生まれ変わった。こうしたIBMのような包括的なトランスフォーメーションを実現するために製品やアウトソーシング、システムインテグレーションとともに提供されるのが、コンサルティングサービスだという。

1990年代からのIBM自体のトランスフォーメーション

 従来こうしたコンサルティングは、顧客の課題を解決する形で、戦略策定、マネジメントやオペレーション改革、ITの導入へと進むアプローチが一般的だったが、IBMでは今後「ビッグアジェンダ型」というアプローチを展開するという。これは課題を1つずつつぶしていくのではなく、ビジネスや会社の「あるべき姿」をビッグアジェンダとして描き、理想と現実のギャップをシミュレーションや解析によって埋めていく改革手法。金巻氏は、「お客様の不安や課題を織り込み、経営会議でいつも寝そべっている課題を一気に仕上げてしまうのがビッグアジェンダ型」と説明する。この背景には、戦略策定に基づいたトランスフォーメーションを実行している途中に戦略課題が生まれてしまい、再度この課題を織り込んだ戦略の立案を進めなければならない長期的なサイクルが増えているからだという。

 ビッグアジェンダが展開される分野として、金巻氏は「Globalization」「Enterprise Cost Optimization」「Smarter Commerce」「Big Data」「Smarter City」などを挙げた。「こうしたキーワードの下に、さまざまなジレンマやオプションが隠れている。文化やビジネスを理解するコンサルタントがこれらを掘り起こし、最適化を図っていく」(金巻氏)。また、機能ではなく、予想されるビジネスの実績や新たに提供できるようになる体験から提案する「シーン駆動型アプローチ」、事業戦略やオペレーション、経理・財務、組織・人事、ITなど領域を管轄するCxOに対して異なるコンサルティングを提供する「マルチオーナーサポート」、さらに震災関連プロジェクトのように複数の企業を統括する「ビジネスプロデューサーモデル」などをビッグアジェンダの「コンポーネント」として導入すると説明した。

グローバル・ビジネス・サービス事業 戦略コンサルティングリーダー 事業戦略コンサルティングリーダーの池田和明氏

 後半は、グローバル・ビジネス・サービス事業 戦略コンサルティングリーダー 事業戦略コンサルティングリーダーの池田和明氏が、戦略コンサルティンググループの組織体制や日本企業の変革モデルを紹介した。まず組織体制に関しては、CEO(経営)、COO(オペレーション)、CFO(財務・経理)、CHRO(人事・組織)、CIO(IT)を顧客にするマルチオーナーサポートに対応したチームに再構成。それぞれで顧客インタビューやレポート提供などを行なっていくという。

1990年代からのIBM自体のトランスフォーメーション

 各分野ごとの事例も披露され、個々の地域で独立した需給計画を行なっていた企業をグローバルで統一した韓国のエレクトロニクス会社(オペレーション分野)や、1993年に3週間かかっていた財務データの集計をほぼリアルタイムにしたIBM自体(財務・経理分野)、人事部の管理業務を60%から10%に削減し、人事部を戦略的な業務にシフトさせた日本の製造業(人事分野)などが挙げられた。

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