Ivy Bridgeはやや遅れて2012年第2四半期?
そして2012年には「Ivy Bridge」が登場する。当初はInternational CES 2012のタイミングで発表と予想していたが、実際にはやや遅れて第2四半期に投入ということになっている。具体的には4月の早い時期になるようだ。
ラインナップは各方面から明らかになっており、Core i7が2.5~3.1GHz、Core i5が2.3~3.4GHzで投入されるもようだ。動作周波数はあまり上がらないが、例えば一番消費電力の多い「Core i7-3770K」も、TDPが77Wに下げられるなど、性能向上というよりはむしろ省電力化にフォーカスをあてた製品になるようだ。性能改善はむしろGPU側で、ざっくり言ってSandy Bridge世代の倍のシェーダが動作し、性能も倍になるとされている。一応DirectX 11にも対応するはずで、流石にAMDの「Llano」や「Trinity」には及ばないにしても、「Zacate」程度の描画性能は期待してもよさそうだ。
これに続くCore i3やPentium Dual-Coreに関しては、投入はさらに遅れて2012年第3四半期以降、Celeronは2013年に投入というのが現在のスケジュールである。まだ具体的なラインナップも、確定していないもようだ。もっともこのクラスだと、既存のSandy Bridgeベースの製品でも十分代替できるし、インテルとしても急いで32nmプロセスをチップセットなどほかの用途に転換する必要はないから、この程度のスケジュールで十分なのだろう。
その下、つまりネットブック向けのAtomに関しては、2011年9月に32nmプロセスの「Atom D2500/D2700」が発表されたばかりなので、2012年中はこのまま推移しそうだ。Atomの22nmプロセスへの移行は、早くても2012年後半になるが、当初はタブレットなど向けが優先で、デスクトップ向けは2013年に入ってからになるだろう。
ところでこの22nmプロセス。当たり前の話ではあるが本稿執筆時点では、公式にはまだ「投入次期を4月に遅らせた」ということそのものがアナウンスされていない。ただ非公式な話としては、「AMDの32nm製品がそれほど脅威ではないので、急いで22nm製品を投入する必要はなくなったから」ということになっている。これはこれで一理ある。少なくとも「無理に前倒しする」必要性がなくなったのは間違いない。
だが、当初のスケジュールを後送りする理由になっていないのもまた事実だ。インテルは22nmプロセスを少なくとも5工場(オレゴン州の「D1C/D1D」、アリゾナ州の「Fab12/Fab32」、イスラエルの「Fab28」)で稼働させることを発表している。そして、すでに2011年第3四半期中に、22nmを使ったCPUの量産がスタートしていることが、インテルの投資家向け説明会で明らかにされている。普通に考えれば、今もインテルの倉庫には完成したIvy Bridgeが積み上がっているはずだ。これを販売せずに倉庫に積み上げておく理由は、以下の4シナリオくらいしか思いつかない。
- 設計あるいは実装に問題があって、そのままでは販売できない。かつて90nmで製造された「Pentium 4」のB Steppingがこれであった。
- 22nmの歩留まりが低くて、十分な数の製品が取れない。インテルではあまり記憶にないが、NVIDIA「Fermi」の第1世代「GF100」がまさにこれであった。
- 22nmのSpeed Yeild(どの程度の周波数で動作するかの平均値)が低くて、ローエンドはともかくハイエンド品ができない。AMDの初代「Sledge Hammer」がまさにこれであった。
- 22nmプロセスのスループットが予想以上に低く、まだ製品を出荷できる状況になっていない。
どのシナリオも考えられる、というか下手をすると全部かもしれないのだが、何かしらの問題があったのは間違いないと思う。個人的には4番目が一番ありそうに思える。
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