音が目の前に浮かぶような定位感が見事!
卵型がユニークなオラソニック「TW-S7」
そこで、まずはUSBスピーカーとアナログ入力のスピーカーを聴いてみよう。USBスピーカーは実売1万円前後と安価ながら、コストパフォーマンスの高さで知られるオラソニックの「TW-S7」を選んだ。
このモデルは、コンパクト(幅108×奥行き108×高さ141mm)かつ卵型のボディがユニークで、一見するとオシャレ系スピーカーのように見えるが、実はこの卵型という形状はオーディオの理にかなった形状で、数々のメリットがある。
平面のバッフル板(スピーカー前面の板)のような音の不要な反射の影響が少なく、定位に優れている。また、背面には「パッシブラジエーター」と呼ばれる共振によって低音を増強するユニットを備えており、小型スピーカーながら十分な低音再生ができるようになっている。
編集H:卵型のボディも面白いですが、USBバスパワーで使えて電源が不要というのも手軽そうでいいですね。
鳥居:USBバスパワーのアクティブスピーカーは手軽で使いやすいですが、供給できる電力に制限があるので、大出力が苦手という弱点もあります。そこをTW-S7は大容量キャパシターに電力を蓄えることで最大10W+10Wの出力を実現しています。
編集H:音を聴いてみると低音もけっこう出ているし、なんと言っても定位がいいですね。音がスピーカーの間に浮かぶような感じで現れます。
鳥居:このサイズにしては低音は立派だし、全体的なまとまりも良いですが、最大の魅力は音像定位が明瞭なことですね。細かい音もきちんと再現されることもあって、ステージが目に浮かぶようです。
例えばウィントン・マルサリスとエリック・クラプトンによるブルース曲のライブを聴くと、ビッグバンド編成の楽器群が写実的に再現される。低音はドラムスのずしっとした重量感こそ不足しがちになるが、ベースのぶりぶりとした鳴りっぷりの良さはきちんと再現され、不満は少ない。高域のクリアさもあり、軽快でリズミカルな演奏だ。
クラシックでは、(記事執筆時の)年末の定番であるベートーベンの交響曲第9番を聴いたが、ホールの響きもしっかりと再現され、「歓喜の歌」の合唱も、各パートの声がきちんと整列してそれぞれの位置に定位した。このステージ感の見通しのよさは大きな魅力と言える。
編集H:USB接続だけで手軽に使えるし、すでにかなり満足度が高いですが!
鳥居:さすがは評判のいいモデルだけはありますね。もうひとつ感心したのは、シリコンゴム製のスタンド。卵型のスピーカーをしっかりとホールドして設置できるし、スピーカーを置いた机がビリビリと振動しないのがいい。ものによっては、PCのキーボードに手を置いていると、振動が伝わって手のひらが痒くなることがありますから。
編集H:聴く位置に合わせて角度を自由に調節できるのもいいですね。
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