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超解像技術を最適化! 放送画質をBD並みに引き上げる

REGZAの隠れた注目機能、新アニメモードはここがスゴイ!(前編)

2012年01月17日 11時00分更新

文● 編集部、写真●小林 伸

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平坦部・グラデーション部・輪郭部を別々に処理

 REGZA Z3/ZP3では、映像設定メニューの中にある「コンテンツモード」のひとつとして「アニメモード」という項目を設けてあり、ユーザーが明示的に指定できる。また「オート」モードでも、EPG情報などを参照して、それがアニメだと分かればアニメ視聴に最適な設定が選ばれる。

映像設定のコンテンツモードで選べるアニメモード

 アニメモードの画作りでは、くっきりとした輪郭と鮮明な画作りを優先した処理が施されるが、上述したようにアニメは実写とは異なる性質を持つため、超解像処理にもそれに合わせた対策が必要だ。

 実はREGZAにおけるアニメモードの搭載は、2009年秋に登場したREGZA Z9000にさかのぼる(関連記事)。

住吉 「超解像処理の目的は、元の映像の復元です。しかし、アニメの場合どうしても輪郭線の周りに出ている“モスキートノイズ”が目立ちやすい。それを単純に超解像処理してしまうと、言い方が少しおかしいのですが、この“モスキートノイズまできれいに復元”してしまう。しかしそれは好ましくはない。REGZA Z9000のレゾリューションプラス3で初めてアニメモードを導入したのは、こうした主旨です」

 このモスキートノイズの除去のために、アニメモードでは、REGZA Z3/ZP3のレゾリューションプラス7に収められた「再構成型超解像処理」を平坦部・グラデーション部に限ってキャンセルする。

輪郭や平坦部の処理など、アニメ特有の表現に配慮した画像処理を施す

 再構成型超解像処理とは、超解像処理の精度を高めるためのアルゴリズムのひとつ。具体的には地上デジタル放送では1440ドットしかない水平方向の解像度をフルHDの1920ドット(4/3倍)に伸長する際、まず一度通常のアップコンバート処理を実施。その後、カメラの撮像関数といった特性を加味した係数を加えてダウンコンバートする。その結果を元映像と比較して、超解像処理の精度を高める手法だ。

 ただしこれには輪郭線付近のモスキートノイズを強調してしまうという欠点もある。そこで、アニメモードでは、モスキートノイズと思われる微小な輝度の変化には、再構成型超解像処理を加えない。逆にもう少し振幅差の大きな信号や輪郭線自体のちょっとしたニュアンスには利かせて、メリハリ感を出すチューニングを施している。

 グラデーション部に生じるバンディングについては、グラデーション部分の階調を最大64倍に拡張する「階調クリエーション」技術を活用。パネル自体の性能と組み合わせて、最大1万6384階調の滑らかな表現を可能としている。

 要約すると輪郭線を超解像しても、モスキートが強調されないようにするとともに、平坦面/バンディングをならして、滑らかなグラデを実現する効果が盛り込まれている。

新「アニメモード」(コンテンツモード)のポイント
 ・アニメ映像に最適化した再構成型超解像度処理
 ⇒ 平坦部検出を最適化
 ⇒ 微小信号に超解像処理をしない
 ⇒ 輪郭線のちょっとしたニュアンスは利かせる

 さらにアニメの場合、輪郭線の表現が非常に重要になってくるため、輪郭線をくっきりと見せる処理を入れている。しかし、輝度差の激しい部分では狙った階調よりも強いレベルの信号が発生して、モヤモヤとした白い縁取りが見えてきてしまう場合がある。オーバーシュートと呼ばれる現象だ。

 REGZA Z3/ZP3では水平・垂直方向のエッジだけを立てて、オーバーシュートを起こさない、水平・垂直対応シュートレスLTI/CTI(輝度と色の変化を改善する回路)を搭載しており、アニメモード時にはアクティブとなる。この利き具合はユーザーが細かく調整することが可能だ。

 一方、古いセルアニメで見られるコンポジット由来のノイズに関しては、本来放送局側が3次元Y/C分離をしていれば防げる面もある。しかし実際にはドット妨害や斜め線などにクロスカラーが生じているケースが見られる。

 REGZA Z3/ZP3では、左右に黒枠がある4:3画像を検出した際、ベースバンド3次元COMBフィルターが働く。フレーム単位で映像を比較してドット妨害やクロスカラーを検出。適切な処理を行なう仕組みとなっている。なお、この機能は4:3の映像であればアニメ以外でも動作するので、番組の合間に挟まれるSD画質のCMなどでも効果を発揮する。

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