Radeon HD 7870はHD 6900の
アーキテクチャーを継承
それでは、本題である2012年のRadeon、コード名「Southern Islands」について説明しよう。
製造を担当するTSMCの28nmプロセスは、何とか量産に入れるようになってきた。GPU以外で言えば、例えば旧NetLogic(現在はブロードコムに買収)は2011年1月に28nmプロセスを使った新製品を設計完了し、9月にはサンプル出荷を開始している。一応TSMCの発表によれば、高性能製品向けの「CLN28HP」とモバイル製品向けの「CLN28HPL」、および「CLN28LP」という3種類のプロセスが、11月の時点ですでに量産に入っていると説明されている。
ただし「量産に入った」とは「大量生産が可能になった」ではなく、歩留まりに関しては引き続き努力しているといった説明が、28nmプロセスを実際に使っているベンダーから漏れ聞こえてくるあたり、まだ十分に歩留まりが高いわけではなさそうだ。それでもある程度のレベルには達したもようで、AMDの場合2012年から本格的にこれを使った製品の出荷を開始する。
当初の予定では、先陣を切るのは「Radeon HD 7870」となるはずだった(実際には後述するRadeon HD 7970が先行して発表)。Radeon HD 7870のアーキテクチャーは、Radeon HD 6900シリーズの「VLIW 4」シリーズを継承する。構成はどうやら、日本では発売予定のない「Radeon HD 6930」とほぼ同じもので、動作周波数を引き上げるとともに、メモリーバスを強化したものになりそうだ。
しかしシェーダー数が1280と少ないため、性能をRadeon HD 6970と比較すると、微妙に低くなる可能性もある。
GPU | シェーダー数 | 動作周波数 | シェーダー数×周波数 |
---|---|---|---|
Radeon HD 6970 | 1536 | 0.88GHz | 1351.68 |
Radeon HD 7870 | 1280 | 1GHz | 1280 |
しかしメモリー帯域は強化されているので、トータルするとほぼ同等レベルといったところではないかと想像される。このRadeon HD 7870のコアは「Pitcairn XT」と呼ばれており、ここからややシェーダー数を減らして動作周波数も下げた「Pitcairn Pro」が「Radeon HD 7850」となるもようだ。
このPitcairnの派生型が、2月中(もしくは3月初旬)に予定されている「Cape Verde」コアの「Radeon HD 7770」である。シェーダー数は896基と減らされているが、新たなダイにするほどには違っていないのが微妙な製品である。
Pitcairn XTの「1280シェーダー/80テクスチャユニット/32 ROPユニット」という構成予想が正しい前提で書くと、新たなダイにするのであれば、少なくとも「640シェーダー/40テクスチャユニット/16 ROPユニット」程度にばっさりダイサイズを半減にするくらいでないと、元が取れないのではないか。
そう考えると、Cape Verdeは少なくとも当初はPitcairnと同じダイで、歩留まりの低さをカバーするために欠陥のある部分を無効にしたものではないかと想像される。ただ後述する理由で、いつまでもPitcairnを流用することはなく、どこかのタイミングでCape Verde専用のダイを作るものと思われる。
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