ドラムの技は「カッコイイ」「がんばろーって思っちゃう」
―― 今どんな音楽が好きですか?
千里 どっちかというとラテン?
千里パパ 変態なのが好きなんだよね。変拍子とかポリリズムとか。
千里 昔はずんたんずんたんするのが好きだったんですけど、最近はもっとバラバラに動かしたいなという衝動が。そういう複雑な曲がやりたいと思っています。
―― ニコニコ動画にもそういう変なおじさんいますよ、ラテンばっかりやっているような変態が。
千里 私の師匠が変態なので。菅沼孝三先生※。すーごいですよ。その影響もあります。
―― どんな練習するんですか?
千里 行ったらルーディメンツ(スティッキングの基本パターン)30分、その後に「この曲のドラムかっこいいから、はいお手本見せます、はい次叩いて」って。次またやるかと思って、同じ楽譜を持って行ったら、ぜんぜん違う曲が出て、もう毎回違うんです。
千里パパ 一番最初に行った9歳の時に、最初に出された課題曲が7/4拍子。いきなりですよ。
千里 今までそんな曲聴いたことがなくて、ディープ・パープルとかそういうのを聴いていて、それでいきなり「今日この曲やります、はい楽譜見て、ちょっとお手本やります」って言われた時に、もう数えられなくて。
―― 9歳までにディープ・パープルとかもいきなりですけど。そういうドラムの技を学ぶのは、何が楽しいんですか?
千里 やっぱりカッコイイんで。できたらいいなー、と思っちゃう。がんばろーって。
―― バンドを組んでこんな音楽をやりたいとか、誰それみたいになりたいということは?
千里 バンドになると音楽の種類が限られちゃうんで、個人の方が今は楽なのかなと思います。でもバンドは趣味が合う人がいたらいいなと思いますけど。
―― 大きくなったらどうなっていたいですか?
千里 大きくなったら。そうだなあ。女性ドラマーだったらSATOKOさん※みたいに、カッコ良くなりたいなあと思ったりしてます。
※ スリーピースバンド、FUZZY CONTROLのドラマー。父親は川口千里の師である菅沼孝三。
★
取材後にリハーサルスタジオに移動し、川口さんの実際の音を聴いてびっくり。音がでかい! 彼女は本当に小さくて手足も細いのだが、スティックを長く持ち、しなやかな腕の動きで無駄なくパワーを打面に伝えている。同様にフットワークも素晴らしい。このまま自分の好きな音楽を好きなやり方で続けて欲しいと切に願う私であった。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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