お父さんは楽器がまったく分からない
―― 川口さんがドラムを始めたのはいつですか?
千里 5歳からです。
―― その年齢で始める楽器としてドラムってすごくないですか?
千里パパ ピアノなら5歳とか、6歳で始めるじゃないですか。僕らも全然知らないから、音楽ってそんなもんだと思っていたので。
千里 お父さんが機械が大好きで。それで楽器屋さんの前を通ったら、電子ドラムが置いてあったんです。新しいシリーズが出たから安売りしてますって。それを楽器としてではなく、いじりたい一心で。でも結局、お父さんは買ってきて、組み立てていいったら終わりじゃないですか。「すごいな、音出る」って言って終わって、放置しちゃう。
―― あー、そういう方だったんですか、なるほど。
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ドラムマニア |
千里 私も小さかったので、オモチャだと思って遊んでいたんです。それでゲームセンターにドラムマニア※というゲームがあって、プレステ2のソフトが出たんです。それに合わせて叩くのがすごく楽しくて。少しわがままを言って「ドラムやりたい!ドラムだったらやる!」って言ったんです。
※ DrumMania。コナミのドラムを演奏する音楽ゲーム。アーケード版は現在も稼働中。プレイステーション2版は2000年に発売開始。
―― それは誰に言われるでもなく、自分が楽しいからと。
千里 はい。
千里パパ でもスクール探そうとしたらないんですよね。
ティッシュ ドラムはそうですよねえ。
千里パパ 一ヵ所、今まで一番小さい子で5歳の子から教えたことがあります、という女性の先生がいて、じゃあお願いしますと。
―― 実はお父さんがスパルタ式で「その手は何だ!」みたいなことじゃなかったんですね。
千里パパ 僕は音楽の事は全然知らないんですよ。機械いじりだけで。音楽は雑音でしかなかった。カラオケで歌ったこともないし。
千里 本当に、ひどいです。
千里パパ だから、この子がちょっと叩くと「すげえー!」って。ハタから見ると、ただの親ばかですよね。ただ、ある程度になってくると、こっちも欲が出てきて、理屈も何もわからないので「なんかそこ気持ち悪い」とか、そういう表現しかできないんですよ。
―― 言われても対応に困るアドバイスですね。バンドを組んだことは?
千里 バンドではあんまりやっていないから良く分からないです。
―― じゃあ、個人練習?
千里パパ 練習と言うか、遊んでる。
―― でも先生についたらうるさく言われませんか?
千里 全然言いません。「こんな技があるね」「こんな技もあるね」って感じ。どう使うかは自分次第っていう感じ。
―― いい先生だなあ。
千里パパ いま付いている先生も、最初の先生もそんな感じ。ジャズもやればラテンもやればロックもという、全部できるんです。だから色んな音楽を教えてくれる。最初の先生が基礎を教えてくれて、今の先生がそれを深くしてくれている感じです。

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