リモート操作は、クラウドとは異なる選択肢
NECパーソナルコンピュータがパソコン購入者向けに実施したウェブ調査(2011年2月)では、リモート操作を使用したことがある割合は7%ほど。使ってみたいと考える層は60%ほどだったという。さらにスマホ所有者に絞って集計した結果では、約68%がLuiをスマートフォンで利用したいと答え、パソコンの35%や携帯電話機の25%を大きく上回った。
スマホ/タブレットとパソコンとの間のデータ交換には、クラウドサービスが用いられるケースが増えてきているが、DropboxやSugarSyncといった同期サービスでは無料プランで2~5GB程度、有料プランでも30~100GB程度と、テラバイトクラスの容量が当たり前のパソコンのファイルすべてをバックアップするには十分とはいえない。
またAndroid端末側で開けるファイル形式には制限があったり、暗号化されパスワード保護ができるとはいってもデータはインターネット上に置かれるため、セキュリティーやプライバシーに不安を感じる向きもあるだろう。
これらクラウドサービスでは満たせないニーズを実現できるのがLuiであるというのが、NECパーソナルコンピュータの主張。
スマホには標準でインターネットへの接続が可能という利点もあり、無線LANスポットへの接続や、データ通信カードなどアドオンで通信環境を用意しないパソコンでの利用よりも入っていきやすい面がある。設定も非常にシンプルであり、導入のハードルは非常に低いと感じた。
Luiの進化を感じさせる、快適な操作感!
発表当初は、操作できるパソコンやホームサーバーPCに専用のPCIカードが装着されている必要があり、クライアントも限られているなど、導入の壁があったLuiだが、現在ではサーバー機能はソフトウェアで実現されており、価格面でも手ごろとなっている。
上述したようなノウハウによって、Lui for Androidは動画を始めとした動きのあるコンテンツも滑らかに表示する。NTTドコモから発表されている「MEDIAS PP N-01D」(関連記事)を使った無線LAN環境では、操作感も上々。拡大縮小もスムーズだった。
もちろん表示領域の制限は確かにあり、パソコンとまったく同じ操作感とまではいかない(ソフトキーボード利用時には表示できる画面領域がかなり限定されたり、ウィンドウ内の項目を正確に操作する際などに若干使いにくさを感じる面がある)ものの、メール作成や簡単なテキスト入力も問題なくこなせた。バッファーを活用する、動画モードに切り替えれば、動画再生時のコマ落ちなどもほとんど生じない。
Luiが生きるのは、スマホでは持ち運びにくい、大容量のビデオコンテンツやデジタル一眼レフで撮った高画素の画像を見るといった用途はもちろんだが、パソコン用ウェブサイトに貼られているFlashコンテンツやエフェクトを駆使したアプリケーションのUIなど、動きの滑らかさが求められるケースは意外に多い。これらを利用する際に、不自然さを感じなくて済むという点は評価できる部分だ。
欲を言えばスマホの表示範囲にぴったりと合う形で、Windowsアプリケーションのウィンドウのサイズを調整する機能や、よく使う操作(指定したファイルをメールに添付して決められたアドレスに送信するなど)をマクロとして登録できる機能などがあればと思った。DVDやBDといった著作権保護されたコンテンツを表示できないも若干さびしい。
しかし、これもこれだけ完成度が高いのであれば……もう少し欲張りたいという意味合いが強い。それ以上に、4年の歴史の中で、Luiはずいぶんと進化したと感じたし、ほしいと思っていた内容がうまく盛り込まれているとも感じた。
対応するスマホを所有していて、パソコンとの連携に悩みがあるのなら、Lui for Androidの導入を検討してほしい。今まで足りないと思っていた不満を解消してくれるかもしれない。