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Winny開発者・金子 勇氏、担当弁護士 壇 俊光氏に聞く

逮捕から8年、やっと“一歩前進”――「Winny」無罪確定で

2011年12月23日 12時00分更新

文● 盛田 諒/ASCII.jp編集部

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日本には開発者寄りの法的支援機関が足りない

―― P2P技術も今では「クラウド」という言葉にとって代わられ、アメリカではSkypeなどITベンチャー発の通信技術がWebサービスとして大ヒットしています。

 ドッグイヤーですよね。司法制度の問題で、開発競争に出遅れたことは確かですよ。当時はNTTコミュニケーションズさんがP2P技術を使って、DRMコンテンツを自由に流せるような環境を作ろう、みたいなこともやっていたんですが(関連記事。そういうところからイノベーションっていうのは産まれるはずなんですけどね。今ではニコニコ動画さんからも、ユーザー発でいろんなコンテンツが生まれてるじゃないですか。

ドッグイヤー : 技術進化のスピードに対し、法律や制度の変化が追いつかないこと。犬にとっては1年の成長が人間にとっての7年に相当することから

NTTコミュニケーションズ : NetLeader(2003年)。1Mbpsという当時としては高画質の動画をやりとりできるという保証付きのP2Pコミュニケーションツールだった。コンテンツ提供元である松竹と組み、「わざアリ」というコンテンツを配信していた

―― 10年前はWinnyが「世界の最先端技術」だったわけですよね。言ってみれば日本の技術者が、情報流通の市場をリードしていた。

金子 当時は単に日本のネット環境が最先端だったんですよ、世界中で。私は放っておいてもこういうものが出てくると思ったんです、当時はね。あれは「こういうものが動くよ」というのを示すためだけに上げたわけなんで。たまたま日本は最先端にいるけれど、あっという間に世界が追いついてくるんだから、放っておいても誰かがこういうものを作るよ、というのを言いたかっただけなんですよ。でも意外と出てこないなって……。

―― なぜアメリカではSkypeが、Googleが、YouTubeがここまで成長できたんでしょう。

 法制度や運用を比べてみても、アメリカとかなり違うんです。日本では動画共有サイトに対する損害賠償が認められたりとかいうことがありますけど、アメリカではYouTubeはバイアコムから訴えられたんですが、今のところ勝ってるんです。大きな法制度がちがうので、それを考えなおす機会にはなると思いますね。

日本とアメリカの法制度上のちがいがWebサービスの変化に影響を与えていると壇氏

―― これから日本もアメリカ的な法制度に近づいていくんでしょうか。

 なぜ、この分野でアメリカに負けているのかを理解する基本にはなるかと思います。

―― 日本にはプログラマーの法的支援機関はあるんですか?

 NPO法人「LSE」(ソフトウェア技術者連盟)というのを作ったんですけど、全然知られてないですね。アメリカだと財団法人「EFF」(電子フロンティア財団)があるんですけど、あっちはシリコンバレーがお金を出して、ロビー活動から裁判支援までやってるんですよね。日本もそういうものがあってしかるべきと思うんですけど。

金子 とくにユーザー(開発者)寄りの団体が少ないよね。それが意外と日本には足りてない視点だと思う。

日本ではプログラマーの法的保護はNPO法人・ソフトウェア技術者連盟(LSE)が行なっているアメリカではシリコンバレーが出資する電子フロンティア財団「EFF」が担当

―― 著作権者寄りの団体がほとんどだと。

 制度にも問題があって、たとえば文化庁の著作権審議会も結局は著作権団体のための制度になってますし。

金子 ユーザー(開発者)寄りになると儲かんないからね。

 たまに「こんな弁護やめたらーっ!」って言いたくなる(笑)。

金子 おかげで私たちは助かるわけですけど。

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