プラットフォーム変更のタイミングでシェアは変動
来年はAMDのチャンス?
――「Socket F」から「Socket G34/C32」に変えたことで、既存のユーザーはマザーボードの入れ替えが発生することになりました。
フリー「ご存知のとおり、大半の顧客はCPUをアップグレードしたいとは思っていない。彼らは二度もサーバーを触りたいとは思っていない。一度ラックにサーバーをインストールしたら、3年後に再び新しいサーバーと入れ替えるまで、それを触りたいとは思っていないのだ」
「だが、そうしたことをしたい、と願っているのはHPC関係の人々だ。彼らはそれによって性能の向上が得られるから、CPUを交換したいと思っている。特にクラスターの場合、あるサーバーを停止してCPUを入れ替えても、そこにインターコネクトでつながっているほかのサーバーには影響を及ぼさないから、CPUの交換は極めて容易だ」
――AMDは一時期、およそ4割のシェアをサーバー市場で握っていた時もありましたが、インテルの追い上げもあって随分シェアを落としています。この失ったシェアをBulldozerで回復できますか?
フリー「予測に関しては言うことができないが、我々がマーケットシェアを獲得できない理由はないと考えている。前世代では、我々はプラットフォーム変更が必要になったためにマーケットシェアを失い、一方インテルは同じプラットフォームのまま行けた(それによりシェアを獲得した)。今回、我々はプラットフォーム変更がない。一方でインテルは多分2012年になると思うが、新製品の発表にあたっては大規模なプラットフォーム変更が必要になるから、今度はインテルが同じことに直面するだろう」
――マーケットシェアを握るためには、AMDは製品を潤沢に供給する必要があります。デスクトップ側(AMD FX)の様子を見ていると、6コア製品は比較的潤沢ですが、8コア製品は供給が極めて限られています(注:インタビュー時点の話。現在は多少改善している)。そのため、私を含めて多くの人が、AMDの32nm SOIはまだトラブルがあるか、もしくは歩留まりがそう高くないのではないか? と疑っています。
フリー「私はAMDの中でも幸運な男だ。なぜかというと、デスクトップはとにかく大量に出荷する必要がある。一方サーバーは、デスクトップほどの数を出荷する必要はなく、その割に売り上げがいっぱいあがる。考えても見てくれ。わずかな数を出荷するだけで売り上げがあがるサーバー向けと、大量に出荷しないと売り上げが立たないデスクトップ向け、どちらが優先されると思う?」(笑)
――AMDはAMD FXの出荷よりも、Opteronの出荷を優先しているということでしょうか。
フリー「私に言えるのは、我々はそれぞれの製品の需要に応じて出荷を調整しており、すでに大量の製品を出荷した、ということだ。そしてこれからも膨大な量の製品を継続して出荷してゆく。これこそが一番重要な点だということだ」
「当初、(32nmプロセスの)歩留まりは満足できるものではなかったが、毎週歩留まりは改善されており、現在では大量出荷が可能なほどになっている」
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