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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第82回

PS Vita「塊魂ノ・ビ~タ」は音楽のプラットフォームだ

2011年12月17日 12時00分更新

文● 四本淑三

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重要なのは松崎しげるが戻ってきたこと

―― ゲームマシンは音楽を能動的に楽しませる点で面白いなと思うんですけど、どうでしょう?

SEXY 音楽だけじゃなくて、プラスアルファということですよね。その相乗効果はあると思っています。ピューン、ドカン! っていう。僕の好きだった音楽というのは、ゲームのSEなんですよね。それで小学校の時にYMOを聴いてびっくりするわけですけど。その後、SEXY-SYNTHSIZERを始めて、最初は普通にテクノやハウスをやっていたんですが、どうもありきたりで自分に響くものがない。

―― なるほど、そんな頃もあったんですね。

SEXY それで、自分の音楽の原体験の音、ゲームの音のパーツを合成して音楽が作れたらと思って始めたんです。それで、似たような音楽をやっている人たちはいないかなと思ったら、チップチューンがあったんですよね。あ、仲間がいたと思って。(チップチューンがあることを)知らなかったんですよ。

―― 塊魂は超有名な歌手からコアなアーティストまで、大きな振れ幅を許容しているのがすごいと思うんですが、この人選は?

井上 シリーズもすでに長いので、正直言ってジャンルも含めて出尽くしているんですよ。なので今回はアーティスト本人の好きなようにやってもらって、そのテンションで乗り切るしかないなと思ったんです。たとえばInvisible Designs Lab.という方々も塊魂のファンで、ドコモの木琴のCMがありましたけど、ご存知ですか?

※ ドコモの携帯端末“TOUCH WOOD SH-08C”のCMとして放映された。

―― 森の中に並んだ木琴の上を玉が転がっていくやつですよね?

井上 あれの音周りを監修された方々なんです。大坂昌彦さんは塊魂をご存じなかったと思うんですけど、ど真ん中のジャズが欲しかったんですね。中塚武さんは、実は昔ナムコで働いていた方で、それも面白いつながりだなと思って。それでナムコ愛をぜひ出していただこうかなと。

―― 逆にSEXYさんは、このラインナップをご覧になってどう思われましたか?

SEXY 「あ、やっぱり松崎しげるさん戻ってきたんだ! 」って。ここ重要じゃないですか、塊魂と言ったら。

―― あ、やっぱり。

井上 今回は、最終ステージに塊がある一定の大きさ以上にならないと、松崎しげるさんの歌が流れません。クライマックスのところで松崎さんの歌が来ると、かなりグッとくるんですね。

SEXY あー、いいですねー。

―― SEXYさんはゲーム音楽でやってみたいことは? 「塊オンナムコ」で出し尽くしましたか?

SEXY 達成感ありますよ。25年くらいやってきて遂に! というこの喜び。夢かなったっていう。でも、まだ出し尽くしたという感じじゃないです。

―― じゃあ、やりたいことは何ですか?

SEXY やっぱりナムコさんのゲームを作ることです!

井上 なるほど、まるまるプロデュースみたいな。

SEXY それで音楽はSEXY-SYNTHSIZERで、トータルパッケージでやりたいです。しょぼいドットのシューティングとか。しょぼく行きたいです。縦画面でね、しょぼく。でもホントにやりたいです!

井上 じゃあ覚えておきますから。

―― なるほど、色々と転がしようがありますねえ。

SEXY 塊だけにね。

井上 さすが!



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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